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マネー・電子マネーと景気循環 アーカイブ

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このカテゴリーにはマネー (通貨) や電子マネーに関する話題をあつめています. 上位のカテゴリーは 社会・経済 です.

SubprimeLoanProblem.jpg SSS_Card.jpg なお,このページはマネー・電子マネー アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2008-05-12 22:47:49 です).

おもくなるのをさけるためにアーカイブのページには写真がはいらないようにしていますが,個別ページにある写真をここに引用しておきます.

2007-10-13

冒頭に 2020 年におけるケータイのつかわれかたをえがく 「小説」 が書かれているが,それを読んでいきなり,がっかりさせられた. そこに書いてあることは,研究レベルではいますでにほとんど実現されていることである. まったく夢が感じられない. しかし,著者はつぎのように書いている. 「人間の基本的なライフスタイルや考え方は,半世紀単位でも思ったほど変わっていないように思える. [中略] 今現在の生活者である我々がピンと来ないものは,10 年 ~ 20 年経ったとしても使われることはないのではないだろうか.」 冒頭の小説はこのかんがえにもとづいて書かれたということだろう. 通信インフラとして出発し i モードによって IT インフラとなったケータイだが,現在すでに,おさいふケータイがだいぶ普及し,つぎのステップはそれを 「生活インフラ」 にすることだという. 日本ではまだクレジット・カードが普及していないというところに目をつけて,それをケータイのうえで実現しようという戦略はしたたかなものである.

本書でおもしろいところは,第 3 章におけるテレコム業界批判である. 顧客ではなく 「業界のため」 を第 1 にかんがえる体質やをするどく批判し,それにたちむかったことで i モードを成功させたと自負している. また,WAP (ケータイ Web 標準) に関して,標準化会議における日本人の影の薄さを指摘している. また,技術の優位性こそすべてという 「技術単独信奉」 を批判し,FOMA においてそれが成果をあげたことをのべている. ほかにもおもしろい内容がふくまれているが,ここまでにしておこう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ケータイの未来@ [bk1]ケータイの未来@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-18

最近,確定拠出年金に関するセミナーをうけました. 保険などと同様に,金融商品に関してきちんと説明しなさいという政府方針にもとづいて,いわば強制にちかいかたちで受講させられています. このセミナーのなかでは,ある程度リスクをとる運用をしなければ目標の利率が確保できないという点とともに,リスクをへらすために株式,債券などの商品をくみあわせて (ポートフォリオを組んで) 運用するのがよいという点が強調されていました. 私自身は自分のポリシーにもとづいて単独商品で運用していて変更するつもりもないのですが,ポートフォリオをくむことでリスクがへらせるという説明にも,いささか疑問を感じています. つまり,最近さわがれているサブプライム・ローン問題は不透明なポートフォリオが原因になっているとかんがえられるからです.

つづく…

2007-12-12

サブプライム・ローン問題については 「ポートフォリオの問題点 ― とくに確定拠出年金のばあい」 という項目でもふれました. そこでは 「不透明性が拡散される」 という表現をつかいましたが,ここではもっと具体的に水にたとえてみましょう.

つづく…

2008-01-19

サブプライム・ローン問題があいかわらずテレビや新聞をにぎわせています. この問題は結局,大量生産の問題なのではないかとおもいます. つまり,均質な商品を大量に生産するために,いろいろなものをまぜてつくる. そのなかにちょっとでもまずいものがまざると,全体がまずくなってしまうということだとおもえます. 期限ぎれした菓子などを販売した問題もさんざんニュースになりましたが,これもやはり大量生産からきたものだといわれています.

つづく…

2008-04-11

これまで,いろいろな種類の 「電子マネー」 が開発されてきました. そのなかには,DigiCash (デジキャッシュ) のように非常に巧妙なソフトウェア技術にささえられたものもいくつかありましたが,みな,きえさってしまいました. Visa Cash (ビザキャッシュ) もそういう電子マネーのひとつであり,これは日本でも実験的に使用され,私もその実験に参加しましたが,結局,ほとんどつかわずにおわってしまいました. しかし,ちょっとつかってみて,なぜダメなのか,それなりに納得したのでした.

つづく…

2008-04-29

ながらく借地に住んできましたが,現在は自分で土地を所有しています. そういうわけで 2 回ほど売買交渉の当事者となったのですが,土地という商品の値段の幅のおおきさにおどろかされました.

つづく…

2008-05-06

この本では退職後にゆたかな生活をおくるために 40 代,50 代にどのようなそなえをすればよいかが書かれている. 単にカネのことだけでなく,40 代から資格取得をめざすとよいということにまで言及している. しかし,この本を読むと,私に関しては気持ちが暗くなってしまう. 「40 代の転職は退職金で決める」 など,カネのために行動がしばられる話が書かれているせいかもしれない. やりたい仕事があるならこの本の内容は無視してやればよいわけなのだが,「それでは生活がなりたたなくなるよ」 といわれている気がする.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 年金をあてにしない蓄財術@ [bk1]年金をあてにしない蓄財術@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-05

新書のかぎられたページ数のなかで,現在,日本でつかわれているさまざまな電子マネーだけでなく,世界でつかわれている ISO14443 タイプ A,タイプ B にもとづく香港,中国,ヨーロッパなどのさまざまな電子マネーや標準化動向,これらの第 2 世代の電子マネーとは一線を画する第 1 世代のモンデックスやゲルトカルテなどについてもひととおり説明している. 電子マネーの概要を把握するには最適な本だということができるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 電子マネーがわかる@ [bk1]電子マネーがわかる@Amazon.co.jp

つづく…

おなじ日経文庫の 「電子マネーがわかる」 が Suica,Edy, おサイフケータイなど,第 2 世代の電子マネーを中心としているのに対して,この本は DigiCash,Mondex など,第 1 世代の電子マネーとそれをささえる技術に関する解説である. ふるびてしまった部分があることは否定できないが,両方あわせて読むことによって,電子マネーをよりよく理解できるとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子マネー入門@ [bk1]電子マネー入門@Amazon.co.jp

つづく…

この本にはその出版後にひろくつかわれるようになった Suica や Edy, おサイフケータイなどに関する記述はない. これらが第 2 世代の電子マネーであるとすれば,この本は第 1 世代の電子マネーに関するものである. 第 2 世代とは非常にことなる,暗号技術に特徴がある第 1 世代の電子マネーが存在したことは知る価値がある. この本ではその問題点もくわしく分析されていて,実際にその一部が第 1 世代の電子マネーの失敗の原因になったとかんがえられる. それを知ることは,今後の技術開発やビジネスにもやくだつかもしれない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 手にとるように電子マネーがわかる本@ [bk1]手にとるように電子マネーがわかる本@Amazon.co.jp

つづく…

Amazon.co.jp や他の書籍サイトで 「電子マネー」 を検索すると,40 冊ちかい本がみつかります. しかし,その大半は 1990 年代に出版されたものです. それらの本と最近に出版された比較的かぎられた数の本の内容をくらべると,わずかしか,かさなりがないことがわかります. この事実が,第 1 世代と第 2 世代のあいだに断絶がある電子マネーの歴史をものがたっています.

つづく…

2008-07-02

土地の仲介手数料と司法書士の報酬額の幅」 という項目で,土地取引などで必要になる司法書士への報酬額について書きました. 2 人の司法書士からあいみつもりをとりました. その効果は絶大でした. 最初にもらったみつもりのまま依頼するのにくらべると 44% も節約することができました.

つづく…

2008-08-13

1 年ほどまえにマネックス証券で売った T 社の株の株主通信がまだこちらに送付され,配当がまだこちらにふりこまれてくる. 配当がとどかないのにほうってあるのも理解できないが,半年ほどさきには株券電子化がひかえているので,名義変更しないままだと問題がおこる可能性がある (名義変更していないことを理由にこれは私の株ですなんていう主張をすることはできないだろうが). だれが買ったのかわからないのでマネックスにこの件を連絡したが,なしのつぶてである. 電子化の直前にもう一度,マネックスに連絡をとってみようとおもうが,どうなることだろうか?

これまでネットでの株取引にはマネックス証券をつかってきた. 会社の持株会で 1000 株たまると,ひきだしてマネックスにいれて,売りたいときにはそこで売っていた. いれるときの手続きはいささかめんどうくさいが,いったんいれてしまうと,あつかいは楽だった. ところが,持株会が野村證券と契約して,野村の口座にしかいれられないようにしてしまった. その結果,いろいろと不便をしいられている. つかい勝手のわるい野村はやめて,マネックスかまたはほかの口座にいれたいのだが,やめられない.

つづく…

2008-09-23

堀江 貴文 や 村上 世彰 が逮捕されたとき,NHK などのマスコミはまちにでて,ひとびとの意見をきいていた. わかいひとのなかには同情的なものもみられたが,団塊世代以上のひとは,ほとんど一様に批判的であり,「まじめに,こつこつ,はたらかなければダメなのだ」 というような意見がきかれた. 当時はそれがその世代の意見なのだと理解していたが,ほんとうにそうだったのか,それともそれはマスコミによってつくられたものだったのかが,あらためて気になってきた.

つづく…

2008-09-27

ライブドア事件はエンロン事件のような 「巨悪」 ではない,詐欺をはたらいたというのは錯覚だと主張している. そこまではただしいとおもうが,錯覚によって株価が暴落したから大損失が発生したという主張はうけいれがたい. 株価を左右する原因はさまざまあるが,それを錯覚といってしまっては,市場経済は錯覚のうえになりたっていることになるだろう. いずれにしても,ライブドア事件をみなおすきっかけとしてはよい本であるかもしれない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ライブドア・二重の虚構@ [bk1]ライブドア・二重の虚構@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-05

日本語で書かれた一般向けのサブプライム問題に関する本のなかでは,もっとも専門性がたかい本だとかんがえられる. この問題はサブプライム・ローンの証券化を通じておこっているが,証券化というしくみじたいがわるいのではないということを強調している. その一方で,本の末尾では金融工学の弱点を分析してもいる. また,「レバレッジ」 や 「優先劣後構造」 など,証券化にかかわる概念も解説している. さらに,日本の住宅金融システムや証券化市場について解説し,サブプライム問題の日本への影響をさまざまな統計などをつかって分析してもいる. じっくり読めばサブプライム問題への理解がふかまるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: サブプライム問題の正しい考え方@ [bk1]サブプライム問題の正しい考え方@Amazon.co.jp

つづく…

サブプライム問題が発生したあとにおこった,金融商品の格付けに疑問がもたれたこと,レバレッジをつかって資金をふやす方法に疑問がもたれて資金があつめにくくなったこと,欧米での資金調達ができなくなったためにアジアや中東に有利な条件をしめして資金調達せざるをえなくなったことなどが書かれている. 前著 「サブプライム問題とは何か」 では解説されていなかった,証券化でつかわれた 「優先劣後構造」 という金融技術なども丁寧に解説されている. 今後,アメリカのやくわりが中国によってとってかわられるのか,日本はどうなるのか,などについても論じられている. 前著との重複はよくおさえられているので,あわせて読むとよいだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: サブプライム後に何が起きているのか@ [bk1]サブプライム後に何が起きているのか@Amazon.co.jp

つづく…

2007 年 10 月くらいの時点で,サブプライム問題とはなにか,これからどうなるのか,などについて書いている. 金融技術を 「悪用」 しサブプライム・ローンを証券化して売ることがモラル・ハザードにつながったこと,そこに 「レバレッジ」 という手法で元手の 10 倍の資金を運用するファンドがかかわって損失を 10 倍に拡大させたことなどである. わかりにくい専門的な議論をさけているのでよみやすいが,そのために本質がつかめなくなっている部分もあるようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: サブプライム問題とは何か@ [bk1]サブプライム問題とは何か@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-02

サブプライム問題をメロンがつまったバスケットにたとえることのおもしろさに出版社が注目したことがこの本の出版につながったということだ. わかりにくいサブプライム問題をたとえ話でわかりやすくするのはけっこうだが,私にはかえって,よみにくかった. 昨年末の時点でのひととおりの話は書いてあるが,もともと本を書くためにあつめた情報ではないためか,つっこみがよわいようにおもう. 2008 年にはいってからの展開は書いてない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: サブプライム逆流する世界マネー@ [bk1]サブプライム逆流する世界マネー@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-16

この本のなかでは投資銀行と商業銀行がずっと対比されている. 証券化商品とレバレッジの技法によっておおきな収益をあげる投資銀行をうらやみ,そこにちかづこうとしながらも投資銀行にはなれない商業銀行. しかし,バブルが崩壊して投資銀行はつぎつぎにきえていった (この本が書かれた時点ではまだ一部をのぞいては存在していたが). 専門家である著者はプット・オプションなどの専門用語の解説もいれながら,こうしたことを組曲としてかなでていく. やはり金融のことは金融の専門家にかなでてもらうのがいい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 投資銀行バブルの終焉@ [bk1]投資銀行バブルの終焉@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-24

円が急騰して 95 円台から 93 円台をつけている. 急激な変化には問題がおおいことはたしかだし,輸出は減速させられるから輸出にたよる企業にとってはきびしいだろう. しかし,一方で輸入業者などにとってはむしろ,よい話題のはずだ. にもかかわらず,マスコミが取材にいくと,わざと渋面をつくっている経営者がおおいようにみえる.

つづく…

2008-10-23

資産運用理論やデリバティブについて,最小限の平易な数式だけをつかって説明している. また,こうした理論には半分だけページをさき,のこりの半分で金融工学の歴史や著者ならではの経験をはじめとするさまざまな話題をとりあげている. サブプライム危機で問題になった住宅ローンの証券化についても平易に説明されている. たとえ数式をとばしても,えられるものはすくなくない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 金融工学の挑戦@ [bk1]金融工学の挑戦@Amazon.co.jp

つづく…

2008-11-03

著者ソロスはサブプライム危機が単なる住宅バブルではなく,1980 年台から成長してきた 「超バブル」 崩壊のスイッチをいれ,1930 年代の大恐慌に匹敵する不況をもたらすことを警告している. 投資家は目先にとらわれがちだが,ソロスは経済だけにとらわれず,するどい目で世界をみているといえるだろう. ここには,まなぶべきものが多々ある.

しかし,この本の主要なテーマは 「再帰性」 であり,前半はその解説にあてられている. 「再帰性」 とは,現実が思考に影響し,思考が現実に影響するという双方向のつながりがあることを意味している. それが理解されていないことがさまざまな問題をひきおこしているという. そして,「再帰性」 が 「自己言及のパラドックス」 や量子力学の不確定性原理と関係があることをただしく指摘しつつも,それらにない点があることを主張している. しかし,実のところ,あたらしいことはないし,この本の後半を理解するうえで 「再帰性」 の概念は不要である. したがって,この本の前半は価値がなく,評価は下げざるをえない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ソロスは警告する@ [bk1]ソロスは警告する@Amazon.co.jp

つづく…

現在のアメリカ経済の状況は 1929 年ごろの状況に似ているといわれる. 1929 年にニューヨークで株価が暴落し,大恐慌につながったということはよく知られているが,それがどのようにおこったのかはあまり知られていない. この本はそれを時間にそって追い,なにがまちがっていたためにどうなったのかを検証しようとしている.

不動産の問題が最初におこった点では現在の不況と似ているが,このときはそれは 1928 年までには収束し,その後,レバレッジをきかせた投資信託の過熱がおこっている. 現在の不況とはさまざまなちがいがあるので,この本を読んだからといって現在の不況にどう対処すればよいかがわかるとはいえないだろう. とくに,どうすれば恐慌をふせぐことができるかが最大の関心事だが,この本には 「大恐慌の原因は,いまだにはっきりしていない」 とある. しかし,それでも状況を比較してみる価値はあるだろう.

ひとつ興味をひいたちがいは,当時はコンピュータがなかったので,取引量がふえると処理がまにあわず,速報が何時間もおくれて人々の不安をかりたてる,また取引じたいもまちがいがふえるということだ. 現在ではコンピュータのおかげで状況がすぐにわかるので,すくなくとも株価に関してはまちがいやデマにふりまわされなくなったのは,おおきなちがいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 大暴落1929@ [bk1]大暴落1929@Amazon.co.jp

つづく…

2008-11-08

金融を仕事としているひとはちがうかもしれないが,一般投資家が株や FX などの金融商品を売買するとき,おおくのひとはゲーム感覚をもっているようにおもえる. すくなくとも私自身はそうである. ところが,金融工学ではこのゲーム性をブラウン運動によってあつかっている. つまり,厳正に抽選される宝くじとのちがいが,すてられてしまっている. 私はそこに違和感を感じてしまう.

つづく…

2008-11-27

さまざまな国や時代の物価や金利などがグラフによってしめされ,インフレーションの本質があばかれている. すなわち,過去のインフレーションが,まちがった金融政策によってひきおこされたことが論証されている. ハイパーインフレといえばワイマール時代のドイツが有名だが,第 2 次大戦後のハンガリーや 1970 年代以降のメキシコ,アルゼンチン,チリのインフレも論じられている.

しかし,これらはいずれも統計数値だけで論じられていて,なまの感覚に欠けている. インフレが金融政策によってふせげるものであるのなら,なぜこのようにはげしいインフレがくりかえされてきたのか,その理由が知りたくなる. しかし,この本はそれにはこたえてくれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 物価迷走@ [bk1]物価迷走@Amazon.co.jp

つづく…

2008-11-18

原油価格が一時は 140 ドルをこえた第 3 次オイルショックをさまざまな統計や予測によって分析し,第 1 次,第 2 次のオイルショックと比較している. 数値的に把握することは重要だし,過去のオイルショックと比較することで,現在およびちかい将来どう対処するべきか,ある程度の指針をえることもできるだろう.

しかし,現在の経済状況においては,原油だけでなく金属資源や農産物の価格高騰や,サブプライム問題からはじまった巨大なバブル崩壊とそこからもたらされる世界不況など,さまざまな要因がからみあっている. それに対してこの本はほとんど原油とその周辺に話題をかぎり,統計や予測の数値に説明をくわえる程度の分析にとどまっている. 他の要因をかんがえない予測にどれだけの意味があるのだろうか?

私自身もそうだが,一部のエピソードをべつにすれば,この内容が一般の読者の興味をひくものだとはおもえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 第3次オイルショック@ [bk1]第3次オイルショック@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-22

年収が 「崩壊」 するなかで,どうやってくらしていけばよいか,著者は,はたらきかた,くらしかた,節約,資産運用など,さまざまな面から提案している. しかし,その内容には疑問がおおい.

たとえば,「ワークライフバランス」 についても論じているが,ワークライフバランスの意味すら説明していないし,「ワークライフバランス」 は,その [パートと正社員の] 中間のライフスタイルが実現できないと難しいという意味不明の記述ですませてしまっている.

ほかの部分も舌足らずでよくわからないことがおおい. カードでポイントをうまくためることをすすめているが,それでどのくらいの効果があるというのだろうか. 経済学者が書いた本としてはあまりにセコいのではないだろうか.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 年収防衛@ [bk1]年収防衛@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-29

90 年代,銀行への資本注入の必要性が指摘されながらも,なかなか実行できなかった. そのひとつの原因は,バブルでいい思いをした銀行にカネをつぎこんで助けることへの国民の抵抗感にあった. アメリカでも投資銀行や自動車業界などへの支援には国民の反対がつよかった. しかし,この構造はアメリカと日本・中国をはじめとする各国とのあいだにもある. 世界からあつめたカネでアメリカはうるおってきた. しかし,いまオバマによる大規模な財政出動でドルがあやうくなっている. それをたすけるために,またもや日本もカネをつぎこまなければならないのだろうか.

つづく…

2008 年 12 月時点での世界経済の状況を,アメリカ,ヨーロッパ,新興国,日本にわけて,さまざまな統計をもとにして論じている. 日本の章には,米国がデノミネーションを実施して,日本などが保有する米国債の価値が 1/10 になるかもしれないという,おそろしい話まで書いてある.

時間がたっても記録としての価値はのこるだろうが,基本的には時事的な内容であり,出版するまでに 1 月ぐらい要する新書というメディアにあっているのかどうか,いささか疑問がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 恐慌第2波@ [bk1]恐慌第2波@Amazon.co.jp

つづく…

2009-02-12

小泉政権下でずっと重要な位置をしめていた竹中平蔵が金融担当大臣だった時代をふりかえっている. 郵政民営化や道路財源に関する 「戦争」 に関してはおおくの文章があり,1 冊ならず読んでいたが,りそな,UFJ,ダイエーなどに関するいきさつは,よく知らなかった. 本書はそこで水面下でおこなわれていた熾烈なたたかいをあきらかにしてくれる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 竹中平蔵の戦争@ [bk1]竹中平蔵の戦争@Amazon.co.jp

つづく…

2009-07-30

日本では個人も組織もリスクをとろうとしない. しかし,著者は,もっと積極的にリスクをとったほうが停滞をぬけだして,よりよい方向にむかうことができると主張する. そのこと自体にはまったく賛成する.

しかし,タイトルからわかるように本書はおもに個人にリスクをとることをすすめる本である. 組織のことにページをさけばさくだけ,個人としてはどうしてよいのやら,わからなくなる. 十分な情報があたえられていないので,「本書をきっかけに,[中略] ちょっとだけリスクを意識し,リスクを分析し,リスクを取ってみてください」 といわれても,とまどってしまうだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 会社に人生を預けるな@ [bk1]会社に人生を預けるな@Amazon.co.jp

つづく…

2009-11-28

タイトルにだまされた. これからどうすればチャンスがつかめるか,そのヒントがえられるのではないかと想像したが,なにがどうチャンスなのか,わからずじまいだ. たしかに著者たちは 100 年に一度の経済状況でもうまくやっていけるのかもしれない. しかし,この本の読者はかれらからまなぶというよりは,自分でかんがえなければならないことを知るだけだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 100年に一度のチャンス@ [bk1]100年に一度のチャンス@Amazon.co.jp

つづく…

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