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マネー・電子マネーと景気循環, 情報学・計算・プログラミング

きえさった電子サイフ型電子マネーとその理由 (?)

これまで,いろいろな種類の 「電子マネー」 が開発されてきました. そのなかには,DigiCash (デジキャッシュ) のように非常に巧妙なソフトウェア技術にささえられたものもいくつかありましたが,みな,きえさってしまいました. Visa Cash (ビザキャッシュ) もそういう電子マネーのひとつであり,これは日本でも実験的に使用され,私もその実験に参加しましたが,結局,ほとんどつかわずにおわってしまいました. しかし,ちょっとつかってみて,なぜダメなのか,それなりに納得したのでした.

SSS_Card.jpg Visa Cash は Mondex (モンデックス) などと同様に,IC チップのなかに電子マネーをためるようになっていました. つまり,IC チップがはいったカードがサイフのやくわりをはたすわけです. 実験参加者にはこの IC がついたクレジットカードが配布されました. 渋谷のいくつかの店で Visa Cash をつかって買いものをすることができましたが,つかってみると,現金よりてまがかかることはあきらかでした. クレジットカードでもサインなしで暗証番号だけいれて買いものができるばあいがありますが,かかるてまはそれと同程度です. Edy (エディ) や Suica (スイカ) などはタッチするだけでよいので,現金をかぞえるより容易ですが,それにくらべるとだいぶめんどうくさかったのです.

SSS_Card2.jpg もっとわるいことは,クレジットカードといっしょになっていたので,数年たつと交換が必要になることです. Suica も定期券をかねていれば,しばしば交換が必要になりますが,そのばあいはカードそのものに現金がふくまれているわけではないので,カードはただ無効化すればよいだけです. ところが,Visa Cash は IC のなかにはいっているので,廃棄するまえにそれをほかのカードにうつしてやらなければなりません. 私はまだそこにキャッシュがのこっていることをわすれたまま,カードをきりきざんでしまったのです. この事故のあと,私は 「もう二度と Visa Cash はつかわない」 と決心しました.

2008-4-12 追記:
Web を 「電子マネー」 というキーワードで検索すると,みつかる項目のほとんどは Felica, Suica, Edy などに関するものです. DigiCash や e-cash に関する項目は 「歴史」 をキーワードにくわえても,あまりみつかりません. そのなかでは NTT の 「電子マネーのキホン」 は DigiCash 社の歴史などを簡潔に紹介しています. 内容をここに引用しておきます.

「電子マネー」が最初に市場に登場してくるのは、1990年代になります。電子マネーの誕生自体は1980年代にオランダの暗号学者、D.チャウム氏によって、匿名性を実現するディジタル署名技術が考案されたことに端を発しています。同氏は1990年にオランダにてデジキャッシュ社を設立、e- cash(イーキャッシュ)の技術開発を行ないました。そして市場において、実際に電子マネー「イーキャッシュ」を導入・取扱いを開始したのは、米国のミズーリ州にあるMark Twain銀行が初となっています(1995年)。

また1990年代には他にも、金融機関やクレジットカード業界等により、世界的には「MONDEX(モンデックス)」、日本でも「VISAキャッシュ」や「スーパーキャッシュ」といった、地域を限定した実証実験が盛んに行われました。その後、日本では2000年前後からインターネット上での商取引を中心に電子マネーは普及を始めます。利用方法としては、主にインターネット上のデジタルコンテンツ決済(オンラインゲーム等)や少額決済の利用が想定されていました。そして、現在ではネット上だけではなくリアルな世界での支払い手段としても、電子マネーの存在が注目を集めるに至っているのです。

これは,わすれるべきでない歴史だとおもいます.

キーワード: ディジキャッシュ

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