[ トップページ ]

メイン

政治・法律・憲法 アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, Web とインターネット仕事と起業メディア・アート・イベント・エンターテイメントインタフェース,アメニティとデザイン思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境生活知的生産とリテラシー社会・経済秘密・プライバシー保護とセキュリティ言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

Horiemon.jpg KoikeYuriko.png このカテゴリーにはおもに政治や法律・憲法に関する話題をあつめています. 上位のカテゴリーはカナダからのブログです. 裁判員制度構造改革と民営化に関する話題はサブカテゴリーに分類しているので,そちらをみてください.

このページには書評もふくまれていますが,政治・法律・憲法に関する書評のページにはそれらの書評だけをあつめています.

なお,このページは 政治・法律・憲法 アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 18:49 です).

おもくなるのをさけるためにアーカイブのページには写真がはいらないようにしていますが,個別ページにある写真をここに引用しておきます.

2006-06-03

10 数年まえだったら,問題の本質にせまらずにただ表面をうわすべりするだけの,このようなものいいに対して,もっと共感をおぼえただろう. しかし,もはやサヨク的な信念をもてなくなったいまでは,もっと本質をえぐってもらわないかぎりは共感することができなくなってしまった. 本質にせまれない理由としてはこの本に収録されている文章のおおくが字数のかぎられた新聞やジャーナルの記事だからということもあるだろう. しかし,80 ページをついやしている 「禁煙ファシズム」 に関しても単なる事実とそれに対する意見の列挙以上に深い議論にはなっていない.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 国家に隷従せず@ [bk1]国家に隷従せず@Amazon.co.jp

つづく…

2006-05-15

この本は全体としてはあまり冷静ですじみちたてた議論をしているとはいえないので,得るところはすくない. しかし,森前首相の 「神の国」 発言をあつかった部分 (p. 106-110) ではこの発言を冷静に分析していて,「「神の国」発言が,今日の 「愛国心」 教育や,『心のノート』や,教育基本法 「改正」 の動きを導く一つの理念なのではないかと思うのです」 という,この本の核心につながる結論にも納得させられた.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「心」と戦争@ [bk1]「心」と戦争@Amazon.co.jp

つづく…

この本は教育基本法制定から改正論の歴史と条文の抽象的な解釈がのべられているが,改正論の背景となっている現在の教育における具体的な問題点との関係がのべられていない. 改正に反対するのであれば,すくなくとも,いま教育現場でおこっているさまざまな問題が教育基本法に起因するものでないことをしめす必要があるし,できれば問題を解決するうえで教育基本法がどう役立つのかをしめしてほしい. こうした記述がない以上,改正への反対論としては失敗しているとかんがえざるをえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: いま、教育基本法を読む@ [bk1]いま、教育基本法を読む@Amazon.co.jp

つづく…

3 つの章のうち 2 つはソビエト崩壊の予測に関係している. しかし,3 章では突然,日本の非武装中立論を批判している. 1990 年前後の小室直樹の本は饒舌で脱線が多いが,それにしても…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ソビエト帝国の崩壊@Amazon.co.jp. (品切れになっているので,古書があるときだけ買えます.)

つづく…

2006-11-06

新書という,かぎられたスペースのなかで,生い立ち,北朝鮮問題や靖国問題もふくむ外交,少子化,教育など,さまざまな問題をとりあげている. そのため,それぞれをきちんと論証するゆとりがなく,誤解するひとがでてくるのはやむをえない. しかし,この文章は,安倍 晋三 という政治家のゆるぎない信念や自信がその行間にまで,つまっている感じがする. 私は著者と同世代といってもよいが,著者とはちがってサヨクにさんざんふりまわされたはてに,いまは外交・教育などについては著者と比較的ちかいかんがえにたどりついたが,著者はその祖父や父の影響もあって,サヨクにふりまわされることなく自分のかんがえをふかめてきている. このストレートさがこれから安倍首相をどちらにみちびいていくのか,期待と不安とをもって,みまもりたい. それから,この本のなかでひとつ私の注意をひいた話は,帝国主義への反動から自虐的な歴史教育がおこなわれたのは日本だけでなくイギリスでもそうであり,サッチャーがそれをかえさせたということである.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 美しい国へ@ [bk1]美しい国へ@Amazon.co.jp

つづく…

2007-05-12

憲法改正というとすぐに第 9 条の話題になります. 日本の将来をきめるうえで第 9 条をどうするかがおおきな問題であることはまちがいありません. しかし,第 9 条にとどまらず,国民が主体的に憲法をえらびとって自分のものにすることが重要だとおもいます. そこで,ここでは憲法における情報・通信の保護と情報通信技術 (ICT) との関係についてかんかえてみたいとおもいます.

つづく…

2007-05-19

憲法第 9 条についてかんがえるとき,日本の周辺国の状況やアメリカとの関係など,かんがえるべきことはおおい. ところが,この本の著者たちはそういうことをいっさいかんがえずに,ほとんど空理空論だけで憲法第 9 条を論じている. この本がよく売れているときくと,危険を感じざるをえない.

しかし,この本を批判的に反面教師として読むことができれば,得るところはあるのではないかとおもう. つまり,この本の問題点は湾岸戦争以前に日本がおちいっていた問題点だとおもえるからだ. とはいえ,おおくの読者にとってはそういう読み方をするのはむずかしいのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 憲法九条を世界遺産に@ [bk1]憲法九条を世界遺産に@Amazon.co.jp

つづく…

2007-08-10

「大論争」 というと,国民の権利のありかたや,憲法における天皇や国政組織のかたちなどについて論争がくりひろげられるさまを想像してしまう. ところが,この本のおもな内容はそれとはまったくちがっていた. 日本国憲法はマッカーサーがきめたのか国会がきめたのか,国際法上有効なのかどうか,などなど,憲法の制定過程などに関する議論がほとんどである. 民主主義にとって手続きが重要であることはもちろんだが,もっと内容に関する議論が必要なのではないだろうか.

この本の解説のなかにも 「この 50 年間,憲法改正 (中略) の論議が深まったということはなかったのである」 とかかれているが,それはいまだに議論のおおくが具体的な憲法の内容にふみこまずに,手続きなどに関する不毛な論争をくりかえしているだけだからではないだろうか. もっと条文の内容にたちいって議論しないかぎりは,いつまでたっても議論はふかまらず,日本の民主主義もふかまらない. そして,気がついたら,むりやり国民投票にかけられているということになりかねない.

こういう “からっぽの議論” が 50 年前にはじまっていたことを確認する意味で,この記録は貴重なものだといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 50 年前の憲法大論争@ [bk1]50 年前の憲法大論争@Amazon.co.jp

つづく…

2007-09-06

道路公団やそのとりまきとの壮絶なたたかいが,なまなましくえがかれている. 道路公団にたちむかうにはどれだけの調査,官僚のウソを見抜くちから,説得力・交渉力,等々が必要だったか,それにもかかわらずかぎられた成果しかあげられなかったかがわかる. 猪瀬の強引なやりかたは他の民営化委員の反発をまねくこともしばしばだが,それは猪瀬にとってはぜひ必要なことだったということが,この本を読めばわかる. 他の委員だけだったら,もっと手前で挫折していただろう. 東京都の副知事になった猪瀬にふたたび期待したい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 道路の権力@ [bk1] 道路の権力@Amazon.co.jp 道路の権力@ [bk1]道路の権力@Amazon.co.jp

つづく…

2007-09-05

櫻井よしこがすぐれたジャーナリストであるのはまちがいないだろう. しかし,この本では私怨に目をくもらされているとおもわざるをえない. 猪瀬直樹の強引さは猪瀬の著書を読んでもあきらかだし,櫻井に対して攻撃的だったこともたしかだろう. しかし,猪瀬が 「名誉欲」 で民営化委員をしていたというような記述には根拠がなく,生産的とはおもえない個人攻撃がくりかえされている. 猪瀬の個人攻撃をするのでなく,どのように民営化がだめにされていったのかを冷徹にとらえれば,もっと価値ある本になったのではないだろうか.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 権力の道化@ [bk1]権力の道化@Amazon.co.jp改革の虚像@ [bk1]改革の虚像@Amazon.co.jp

つづく…

2007-09-15

著者は,ことなる立場にたちつつも真剣に道路公団の民営化にむきあってきた 7 人の民営化委員のうちのひとりだった. 民営化委員のひとりが作家の猪瀬直樹であり,この本のなかで,国交省や道路族と通じていたとしてするどく批判されている. 結局,著者は民営化委員としての立場や委員のあるべきすがたにこだわったのに対して,猪瀬は民営化委員としての立場をこえて (越権して),田中のことばによれば “フィクサー作家” としてぎりぎりまで自分や小泉首相のかんがえを民営化に反映させようとしたことが,両者をこれだけ対立させたのだとかんがえられる. 私には妥協をいとわず最後までたたかった猪瀬の本 「道路の決着」 のほうが迫力があるように感じられる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 偽りの民営化@ [bk1]偽りの民営化@Amazon.co.jp

つづく…

道路公団に関しては,猪瀬 直樹 が 「日本国の研究」 でするどく追及し,猪瀬自身が民営化委員会のありさまを 「道路の権力」 と 「道路の決着」 に記録している. しかし,とくに後 2 者は当事者による記録である. この本の価値は中立的な立場で調査し,公団や民営化の問題点を追及したところにある. 猪瀬 直樹 の本や 田中 一昭 の 「偽りの民営化」 などとあわせて読むとこの問題をよく把握することができる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本道路公団@ [bk1]日本道路公団@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-28

山一証券以来,不正をおこなった企業が政府機関の処分をうけて倒産・破産する事件がつづいています. もうだいぶまえのことりなりますが,ライブドアと村上ファンドはだれの記憶にものこっているでしょう. 最近ではコムスンや NOVA (ノヴァ,ノバ) があります. これらの企業のなかには行政処分の内容によっては事業撤退をまぬがれたケースもあるのではないでしょうか. 処分によってその企業だけでなく顧客までおおきな影響をうけていますが,顧客である国民までまきこむ,きびしすぎる処分がおこなわれているようにおもわれてなりません.

つづく…

2007-11-10

日華事変以来,日中の関係はよかったとはいいがたいのですが,小泉政権下で最悪になり,現在も十分回復したとはいえません. その原因としては中国の日本への (あるいは中国人の日本人への) 誤解もあるでしょう. しかし,日本人に欠けているもののひとつは,ながい歴史と文化をもつ中国への敬意ではないかとおもいます.

つづく…

ここ数年のあいだに,生活保護をうちきられて,ついには餓死にいたるという事件がときどき発生しています. 生活保護の予算が削減されていることが背景にありますが,はたしてそれだけの問題なのでしょうか? 「福祉」 というものの本質がみうしなわれた結果なのではないでしょうか?

つづく…

2007-11-09

民主党代表の小沢一郎が福田康夫首相と 1 対 1 で会談して 自民-民主-公明 大連立の話をもちかえって否定され,会見して代表を辞任するといった 2 日後にはそれを撤回したという騒動. 理解できるとしたひとがおおいようにみえますが,理解できないという意見をもっているひともすくなくないようです. 理解できないのは,なぜ “大連立” なのかが理解できないか,挫折をあじわったことがない (あるいは政治が人間がつくるドラマだということが理解できない) か,いずれかであるようにおもえます.

つづく…

2007-11-10

小泉首相が辞任してから,もう 1 年以上がたちました. いまさらという感じはありますが,私の小泉首相に関するかんがえを書いてみようとおもいます. ひとことでいえば,小泉元首相はカリスマをもっていたが,自分でその危険もよく知っていたということです.

つづく…

参議院議員選挙以来,衆議院とのあいだで 「ねじれ」 が発生しています. いま国会では法案がほとんどとおらない状況になっています. この状態を打開するために福田首相は民主党の小沢代表と 1 対 1 で会談して,自民-民主-公明 の大連立を提案しました. この提案はうけいれられず,小沢代表の民主党代表辞任表明,辞任撤回という騒動をまきおこしました (この顛末については 「人間くさい政治ドラマ ― 小沢民主党代表辞任騒動」 という項目でも書きました) が,これで 「ねじれ」 問題はふりだしにもどってしまいました. はたしてこの状況を打開するのに大連立以外にどのような方法があるのでしょうか?

つづく…

2007-11-28

小池 百合子 前防衛大臣が,やめるときに 「女子の本懐」 ということばを語っていました. これが,狙撃されたのちに死亡した 濱口 雄幸 首相の 「男子の本懐」 を意識して語られたのはあきらかですが,なぜこれほどおもいことばをつかうのか,そのときはわかりませんでした. しかし,最近,毎日のようにマスコミをさわがせている守屋事件によって,ようやくその意味がわかりました.

つづく…

2007-12-01

小池 百合子 が防衛大臣だった 55 日間と環境問題などに関する意見を自身のおいたちなどもまじえながら日記風に書いている. 政治家はとくに大臣ともなれば大局的な判断が重要だが,小池氏がそういう男女をとわずもとめられることだけでなく,女性でなければなかなかできないこともあわせてやろうとしていたことがわかる. また,こまかい気配りも内政・外交をとわず重要であることに気づかせてくれる. 一方,守屋次官との確執については,まだこの本だけで十分にあきらかにされているとはいえないだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 女子の本懐@ [bk1]女子の本懐@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-14

中国は南京事件で 30 万人が虐殺されたと主張しています. この数字が非常にうたがわしいことは,おおくのひとが指摘しています. 30 万人という数が捏造されたのには,日本軍を糾弾するためにそういうおおきな数字が必要だったからではないかとかんがえられます. つまり,先日の四川省の大地震でも死者数が 3 万人をこえるのではないかといわれていますが,中国では数万人にのぼる死者数をだすことがしばしばあります. インパクトをあたえるにはすくなくとも 10 万をこえる数字が必要だったのではないでしょうか? これは,おなじ数字をだしても日本人と中国人とでは,うけとりかたがちがうということを意味しています.

つづく…

2008-05-13

もともと日本の福祉はヨーロッパを規範としていました. しかし,1990 年代の不況から脱却するため,小泉政権下でいわばやむなく,よりアメリカにちかい政策がとられてきました. その甲斐あって景気はほぼ回復したわけですが,いまその 「大手術」 の後遺症になやまされているわけです. これから本格的な制度改革をめざさなければならないわけですが,そこでアメリカ型をめざすのか,ヨーロッパ型をめざすのかが問題だといわれてきました. しかし,最近の状況をみると,めざすべきはヨーロッパ型に独自のいろづけをした政策だということはあきらかなようにおもわれます.

つづく…

2008-05-16

ヨーロッパ型にちかづけるべき日本の福祉政策」 という項目では,生活保護の予算が削減されるとともに自立可能なひとには自立をうながすという方針がたてられたことが原因で問題がおこっていることについて書きました. 生活保護をうけるひとはいわば競争社会の敗者ですが,公正な社会の実現のためには,すくなくとも敗者やその家族がいつまでも敗者の立場にあまんじなければならないことを避けなければなりません. そのためには 「機会の平等」 を確保する必要があります. ところが,現在,現場でおこっていることは 「機会の平等」 が確保されるまえに無理に自立をうながしているために,機会が不平等なまま,いつまでも底辺からぬけだせないでいるひとがおおいということだとおもえます.

つづく…

2008-05-15

本をよまなくなり,モラルも低下し,若者はちょっとしたことで死にたくなり,リベラリズムは弱体化し,寛容さがなくなり,… といった現代日本の問題点を “劣化” ということばでくくって論じている. とりあげられている問題には深刻な問題がおおいが,そうした問題が発生しているのは日本の社会や政治が “質的” に変化しているからであって,それを “劣化” という量的なことばで,ひとまとめにしてとらえようとしているところにおおきな疑問がある. 旧体制勢力からみればこうした変化は “劣化” にほかならないかもしれないが,私にはこれは産みのくるしみだとおもえる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: なぜ日本人は劣化したか@ [bk1]なぜ日本人は劣化したか@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-18

著者は 2005 年に 「しのびよるネオ階級社会」 という本を書いて,おおきな反響をえた. そのなかには批判もおおかった. 本書はその最初から名指しでそういう批判に反論している. 5 章までは比較的ていねいに反論をこころみていて,議論がかたよっていることが気にはなるものの,いろいろ示唆をあたえている. しかし,本書のタイトルとおなじタイトルをもつ 6 章になると,おおくのひとの名前をつぎつぎにあげて,揚げ足取りな議論をはじめる. これ以降の章はもはや読む価値がない. 後半の章が前半をだいなしにしていて,興ざめである.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ネオ階級社会を待望する人々@ [bk1]ネオ階級社会を待望する人々@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-30

イラン・イラク戦争がおこった 1985 年 3 月にイランにとりのこされた日本人は,日本の航空会社によってはすくわれませんでした. そのとき救援の飛行機をとばしてくれたのはトルコ航空でした. 危険をおかして救援してくれたのは,1890 年に日本近海でエルトゥールル号が台風にあった (エルトゥールル号遭難事件) とき,日本人の献身的なはたらきでその乗組員のおおくがすくわれたことにむくいたのだといわれています. こうした友好関係はトルコにかぎらず,だいじにしていくべきでしょう.

つづく…

2008-06-11

日本では基本的には両親のうちのいずれかが日本人であるときに子供も日本国籍をえることができます. しかし,最近問題になっている婚外子の問題をはじめ,子供が無国籍になってしまうばあいがでてきます. これは人権上,不適切なあつかい (機会不平等) であり,このようなことがおこる原因になっている国籍法には根本的な問題があるようにおもえます. 国内でうまれた子供にすべて市民権をあたえるという米国の制度のほうが民主的だとかんがえられます.

つづく…

2008-06-20

本書では裁判員制度のさまざまな問題点を攻撃している. 問題点を知ることは重要だが,悪意をもって攻撃し,問題を解決するのでなく問題があるから破壊してしまおうという態度が適切なものだとはかんがえられない. 本書では裁判員制度が憲法に違反しているということをくりかえし主張しているが,それは裁判員制度が他の法律とのあいだには矛盾がないので,無理矢理,憲法をもちだして屁理屈をならべているとしかおもえなかった. 問題点を知るのには役にたつだろうが,あまりおすすめできない.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 裁判員制度の正体@ [bk1]裁判員制度の正体@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-03

米国政府は北朝鮮のテロ支援国家指定解除への手続きをすすめている. それが実現すれば北朝鮮の拉致問題解決に関してつかえる重要なカードが 1 枚へってしまうといわれている. これに対して,北朝鮮につけこまれないためには 6 カ国協議の各国の政府が協調することが必要であり,日本の内閣にできることはかぎられているとかんがえられる. しかし,米国でも議会のなかには政府の決定に反対し,テロ支援国家指定解除を阻止しようとするうごきがある (「北朝鮮のテロ支援国家指定 解除停止狙い米下院に法案」 など). 日本でも内閣以外の機関がそれにしばられる必然性はない. 家族会とその支援者がこういうひとびとと協調していくことが,北朝鮮にさらなる圧力をかけていくことになるだろう.

つづく…

2008-07-05

ひとは熟練すると複雑な仕事 (作業) をほとんど無意識にこなせるようになる [Eda 07]. こういう人間の能力すなわちスキルがさまざまな分野の専門家の仕事をささえているとかんがえられる. その一方でその仕事の前提 (北岡 [Kit 08] がいう 「リンチピン」) がくずれても,いままでどおりのやりかたで仕事をつづけようとする. 裁判もそういう複雑な仕事のひとつだといえるのではないだろうか.

つづく…

「インテリジェンス」 という専門用語は国防・外交などにおける情報分析を意味している (らしい). タイトルには 「仕事に役立つ」 とあるが,民間の仕事のための情報分析の本としては他に適切なものがあるから,この本は政治における情報分析や 「仕事」 における分析とのちがいを知るためのものとかんがえるべきだろう.

民間の情報分析とくらべると,直観によるバイアスを軽減し 「当然の前提」 を再検討する必要がある (「サイエンス」 を重視する) ことは同様だが,「アート」 あるいは 「ヒューリスティクス」 におおきなやくわりをみとめている点にちがいがある.

ケーススタディのひとつとして看護師による殺人がうたがわれた事件がとりあげられている. ここではマトリクスをつかった分析を読者の演習問題としている. ここから感じたのは,これまで 「アート」 の世界だった裁判に 「アート」 を知らない裁判員がはいったときに,その不足をおぎない裁判をより客観的なものにしていくために 「サイエンス」 をとりいれることができるのではないかということである.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 仕事に役立つインテリジェンス@ [bk1]仕事に役立つインテリジェンス@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-24

裁判員制度に批判的な本がおおいなかで,この本はむしろ積極的である. 著者は陪審制度推進派であり,あとがきに 「投書の理念を失い,国民の司法参加の理想からどんどん後退していくこの制度の制度設計の現実に落胆し」 と書きながらも,陪審制度と裁判員制度のちがいや日本における戦前の陪審制度の歴史と裁判員制度導入の経緯などを冷静に分析し,将来の陪審制度確立への一里塚として裁判員制度をみとめている. 2004 年に出版された本だが,批判本からはえられない貴重な情報をふくんでいる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 裁判員制度@ [bk1]裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-28

著者は 「サラリーマンであれば … 上司の命令や指図に従って毎日の仕事をしている」 ので裁判における 「独立」 つまりだれからの命令も指図もうけずに決断することは想像がつかないと書いている. また,裁判員は法律の素養がないから,「法令の要件ひとつとっても … まともな議論を期待するのは,無理なように思います」 と書いている. つまりは国民はバカだから裁判など担当させられないといっているのにひとしい. 裁判に困難が多々あることはまちがいないだろうが,それを国民にちかづける努力をせずに裁判官の特権的な地位をまもろうという,うけいれがたい主張だとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: つぶせ!裁判員制度@ [bk1]つぶせ!裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-27

第 1 章では裁判員制度への反発がつよいことをえがいているが,誇張されているようにおもえる. 第 2 章では裁判員制度が憲法違反だと主張しているが,それほどつよい根拠があるとはおもえない. 第 3 章では裁判員制度がなぜ必要か,どのように実施されるべきなのかがはっきりしないということをのべている.必要性をもっとはっきりさせる必要があるだろうが,あたらしい制度なのでやってみなければわからないことがあるのはやむをえないだろう. 第 4 章では裁判員制度の陪審制度とのちがい,陪審制度の理想をうけついでいないことなどが書かれている. 裁判員制度は妥協の産物だが,妥協の産物でしか制度改革ができないのが日本の実情だから,やむをえないとおもえる. 第 5 章では裁判員に対する強制や守秘義務,処罰などを問題にし,第 6 章では裁判員制度が人権や民主主義をふみにじるものだとしている. 全体として本書の論理やいいまわしは社民党的なステレオタイプや誇張にみちていて,うんざりしてくる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 裁判員制度はいらない@ [bk1]裁判員制度はいらない@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-26

本のタイトルは 「裁判員制度」 だが,内容はほとんど米国における冤罪事件やそれへの対策などである. 最後の章だけが裁判員制度にあてられている. 米国の法律は日本よりは被疑者を保護するようになっているが,この本からすると日本より冤罪事件はおおいようである. 陪審制が原因になっているばあいもあるだろうが,この本でとくにそういう件がとりあげられているわけではない. 米国の犯罪捜査や裁判の紹介としてはすぐれているが,大半の内容は裁判員制度ととくに関係はない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 誤判を生まない裁判員制度への課題@ [bk1]誤判を生まない裁判員制度への課題@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-25

2 つの最高裁判決と 1 つの地裁判決をとりあげて司法の範囲を越権していると指摘し,さらに裁判員制度が廃止するべきものだと論じている. 最初にとりあげられているのは尊属殺重罰規定違反判決であり,ひろくみとめられた判決に異論をとなえている. 裁判は訴えられたことを判断するものであり,一般論すなわち尊属殺が平等原則に違反するかどうかを論じるのは越権だという. しかし,判決において本件に尊属殺の規定を適用しないときめたならその理由をのべるべきであり,理由がその一般論にもとづいているのなら,それを論じるのをさけるのはむしろ不自然だとおもえる.

尊属殺の問題にかぎらず著者の論調は独善的であり,説得力がない. 著者は 10 年間,地裁の判事をしていたということである. 裁判の被告の立場にたったならもちろんだが,裁判員になってもこういう判事にはあたりたくないものである.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 司法は腐り人権滅ぶ@ [bk1]司法は腐り人権滅ぶ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-31

裁判員制度に関する本は多々あるが,本書はそれをその問題点を中心としてもっとも詳細に紹介している. 現在の刑事裁判は問題がないからかえる必要がないという意見もあるが,本書ではそこにおおきな問題があり,しかもそれが裁判員制度によってかえって悪化させられると主張している. しかし,著者らがめざすのは陪審制であり,裁判員制度を廃止してもとにもどせばよいとはかんがえていない. 陪審制がほんとうによいのかどうかは私にはわからないが,制度改革の一過程としての裁判員制度をよりよく理解するのに本書がやくにたつだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: えん罪を生む裁判員制度@ [bk1]えん罪を生む裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-29

逮捕歴 4 回の札付きのワルだった著者は改心したが,脅迫事件によってふたたび逮捕され,裁判で最高裁まで争い,さらに再審まで請求するが主張がみとめられていない. 裁判員制度に希望をつないでいるから 「裁判員に選ばれるあなたへ」 というタイトルをつけたのだろうが,この本の内容は裁判員制度とは無関係であり,だまされて買ってしまった. 意図がよくわからないまま長い文章をよまされるのは,いささか苦痛である. 残念ながら裁判員制度は著者をすくうのにはやくにたたないだろう.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 裁判員に選ばれるあなたへ@ [bk1]裁判員に選ばれるあなたへ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-28

裁判員制度をわかりやすくひろめようというのはよいが,裁判員制度そのものについてはわずか 20 ページくらいしか書いていない. そのあとは判例を 60 個ならべているが,ひとつあたり 2~4 ページくらいなので,ほんのさわりしかわからない. もうすこししぼってくわしく解説したほうがよいのではないだろうか. そもそもなぜ判例を 60 個ならべたのか,その理由が書いてない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: みんなの裁判@ [bk1]みんなの裁判@Amazon.co.jp

つづく…

著者は 2007 年に最高裁で同日に判決がだされた 5 件の中国人による戦争被害賠償請求において,独立に判決をだすべき裁判官が談合したのではないかというネタを執拗に論じている. 談合が問題なのかどうかもよくわからないが,明白な証拠がない問題を執拗に追求してみてもはじまらない. さらに著者はさらに判決の理由欄に理由以外の蛇足を書くことを越権行為として非難している. しかし,理由以外につたえたいことがあれば書いてもよいのではないだろうか. それを禁止する法律はないようだから… こうしたことをとって最高裁が法を犯しているとか暴走しているというが,誇張された表現である. 重箱の隅をつつく議論だとおもえる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 最高裁が法を犯している!@ [bk1]最高裁が法を犯している!@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-06

まじめな本なのかどうかをうたがってしまうタイトルだが,月刊 「現代」 への連載をまとめた内容ということである. 裁判記録や他の文献にもとづいていて信頼できる. 陪審制を実現すべき制度としていて,戦前の日本における陪審制の評価もたかく評価している. 裁判において裁判官がなにをたよりにし,なにをかんがえるかということにもふみこんでいる. 裁判員になるひとが裁判官を理解するのにやくだつのではないかとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 司法崩壊@ [bk1]司法崩壊@Amazon.co.jp

つづく…

裁判員がおおきな負担を感じるのは死刑判決をだすときだといわれている.これはそのときのために準備するための本である.死刑か無期懲役かをきめるためにこれまでの裁判でつかわれてきた客観的な基準をあきらかにすることにもっとも重点をおいているが,あわせて,その妥当性についても議論している.

裁判官と裁判員との合議において,裁判官は裁判員に対してこれまでの基準にしたがうようにつよくもとめてくることが予想される.そのとき裁判員はどうしたらよいか? この本が重要なヒントをあたえてくれるだろう.

また,この本は文章だけで記述されているが,ここでしめされた基準を図式的に整理すれば裁判員にわかりやすいだろう.

評価: ★★★★☆

つづく…

2008-08-08

“おかしな” 民事裁判をあつめて解説している. 裁判官をこてんぱんに批判しているが,どういう対策をとるべきかはほとんど書いてない. とくに,裁判がおかしくなるおおきな原因として 「自由心証主義」 をあげているが,それについてもどうすればよいのか書いてない. 批判する理由も明確でないことがおおく,独善的であり非建設的である. おどろくべきことは,民事裁判ばかりを例にあげていながら,民事をあつかわない裁判員制度とむすびつけようとしていることである.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: あきれる裁判と裁判員制度@ [bk1]あきれる裁判と裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-12

小泉内閣で農水相や党幹事長などをつとめ,郵政解散・総選挙でも中心となってはたらいた 武部 勤 が小泉時代をふりかえるとともに,「改革フォーラム 新しい風」 を代表して今後すすめるべき改革について書いている. どちらも書くに値するテーマだとおもうし,わかりやすく書いているともおもうが,1 冊の新書のなかで両方を論じると中途半端になってしまうようにおもう. 民主党を応援するそぶりもみせながら 小沢 一郎 を攻撃するなど,プロパガンダ的な要素もあって,散漫な印象である.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: それでも改革はやまぬ@ [bk1]それでも改革はやまぬ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-26

日本では消費者政策がもっとももとめられていた時代には生産者中心の政策がすすめられてきたが,より生産者政策が重要になってきたいまになって,消費者庁の設立というような消費者政策を重視しているようにみえる. これはもしかすると日本にとって危機的な事態なのではないだろうか?

つづく…

2008-08-24

アメリカで殺人事件の陪審員にえらばれた学者が,召喚されて陪審長とされてから無罪の評決をするまでを記憶をたどりながら書いている. 検察が被告が正当防衛でないことを証明できていないことが無罪とする理由だが,その結論を全員が支持するまでに 4 日かかり,その間にさまざまな経験をしている. 著者は陪審員にえらばれて自由をうばわれ,へたをすると投獄さえされかねない 4 日間の経験をした結果,国家にもっともおもい立証責任を課すべきであることを痛感し,それが無罪判決をささえている.

この記述のなかから,アメリカの陪審制度や裁判に関する問題点をかいまみることもできる. この陪審においては理知的な陪審長がうまく陪審をリードしているが,いつもそんなにうまくはいかないだろう. また,時間をかけて証拠品のビデオを再検討したりしているが,そうしなければ検察のいいぶんをそのままみとめてしまっていたかもしれない. こうしたことは裁判員制度についてかんがえるときにも,やくだつだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ある陪審員の四日間@ [bk1]ある陪審員の四日間@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-17

殺人事件の裁判をあつかっている. 裁判員制度に関する本は多数出版されているが,そのなかで裁判のながれを裁判員選任から判決までとおしてえがいているのは,最高裁発行の 「裁判員制度ナビゲーション」 という冊子をのぞけば,いまのところこの本だけのようである. 最後の部分で公判前整理手続きの問題点などにもふれているが,最低限である. たぶん読みやすさのために記述は十分でなく食いたりないが,現時点では類書がないことをかんがえると貴重である.

裁判官が理想的な対応をみせればこの本のように裁判はうまくいくかもしれないが,実際にはなかなかこうはいかないのではないかとおもえる部分もある. これほど理想化されていないストーリーもほかの本で読めるとよい.

争点が表にまとめられているが,実際の裁判でもこのような図表がうまくつかわれるとよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エブリワン氏の「裁判員日記」@ [bk1]エブリワン氏の「裁判員日記」@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-15

きのう,NHK スペシャル 「戦場 心の傷(1)兵士はどう戦わされてきたか」 という番組をみた. かつてはベトナム戦争をたたかい,いまはイラクでテロリストとたたかうアメリカの歩兵たち,その訓練の様子や PTSD (心的外傷後ストレス障害) などがえがかれていた. 今後もアフガニスタンのテロリストとたたかわなければならないとしたら,兵士をおくらないようにすることによってこの問題を解決するということはできないだろう. そして,日本にとってもこれは無関係なできごとではないはずである.

つづく…

2008-09-30

麻生内閣の発足は,もはやニュースではなくなってしまいました. しかし,首相自身による閣僚の発表について,ひとこと書いておきたいとおもいます. マスコミの大半は 「閣僚名簿発表」 ということばをつかっていますが,名簿をよみあげるだけでなく,任命者である首相本人が,ひとりひとりの閣僚について,やってほしい仕事についてひとことずつコメントしたところに,これまでのような官房長官による発表でなく首相による発表の意味があるとおもうのです.

つづく…

2008-09-28

中山国土交通相が,日本人を 「単一民族」 と言った,大分県教育委員汚職事件に関して 「日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる.だから大分県の学力は低い」 と言ったなどの放言のために辞任の方向だという. 他の発言は撤回したが,日教組に関しては 「ぶっ壊せ」,「教育のがんだと思っている」 というような爆弾発言をくりかえしている. ひとりの政治家としてどのようなかんがえをもつかは自由だが,大臣になって内閣の方針に反する爆弾発言をくりかえすのはテロのようなものであり,ゆるされることではない.

つづく…

2008-10-24

この本のタイトルには 「資源」 がふくまれている. たしかに石油のことは書いてあるが,他の資源についてはほとんど言及していないし,レアメタルの宝庫である中国に 「資源がない」 と書いているのは疑問がある.

いずれにしてもこれは経済の本ではなくて国際政治の本である. 日本が今後,パートナーとしてアメリカをとるか,中国をとるか,独立独歩でいくか,その選択の指針をあたえているといえるだろう.

しかし,著者はアメリカ生活がながく,日本人の感覚とはずれがあるようにおもう. 自民党が 3 つに分裂しているという日本の政治のとらえかたもアメリカ的であり,参考にはなるが,疑問である.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 資源世界大戦が始まった@ [bk1]資源世界大戦が始まった@Amazon.co.jp

つづく…

2008-10-21

世界の食料事情が逼迫するなかで,日本政府は未来を予測せず,過去の分析をもとに 「農政を転換する根拠はない」 といっている. 著者は,いまこそ政策を転換して,減反政策をやめて食料を大増産し,積極的な農家を優遇する政策をとるべきだと主張している. 私もこの本が国民の意識をかえ,食料自給率をたかめる方向に作用することを希望する.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 飢餓国家ニッポン@ [bk1]飢餓国家ニッポン@Amazon.co.jp

つづく…

2008-11-11

政府は総額 2 兆円の定額給付金を国民にくばるという.所得制限をもうけるのは給付にてまがかかりすぎて困難だというので全国民に給付する方向だが,麻生首相は高額所得者には辞退してもらうのがよいというような発言をしている. 私は世論動向と同様に定額給付そのものには反対だが,もし全国民に給付するというのであれば,自由につかえるはずのカネをわざわざ辞退するつもりはない. 年末年始の炊き出しなどですぐに消費してもらえるところに寄付するのが給付金の目的からしても一番よいのではないかとおもう.

つづく…

2008-11-28

著者は,男ならだれでも,痴漢としてつかまり,冤罪 (えんざい) をきせられる可能性があるという. 「被害者」 の女性が 「犯人」 だというと,警察も検察もそれにしたがって犯人にしたてあげる. それだけでなく,おおくの裁判官は理由にもならない理由で有罪にするという. もと裁判官だった著者が書いているから,信じられる気がしてくる. 痴漢事件のうちどれだけが冤罪なのかはわからないが,もしかすると大半の事件は冤罪なのではないかともおもえる. 重大事件に関しては裁判員制度によって冤罪が減少する可能性もあるが,痴漢は重大事件ではないから,今後も冤罪がなくならないのだろう. 満員電車に乗るときは痴漢冤罪にご注意!

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 痴漢冤罪の恐怖@ [bk1]痴漢冤罪の恐怖@Amazon.co.jp

つづく…

2008-11-19

アメリカ人であり弁護士である著者による裁判員制度と日本の政治や法律の批判の書である.

第 1 章においては,日本の法律や政治の非民主性が徹底的に批判されている. 日本の法律が国民のためでなく役所のためのものだということがつぎのような論理で説明されている. 「ある法律が誰のためにあるのかを知るには,その法律が誰の自由を制限し,誰に裁量の余地を残しているかが重要なヒントになると思う」. 日本の法律は曖昧でグレーだが,それは役所や警察が介入したり介入しなかったり,自由にふるまえるようになっていて,かつ市民がクレームをつけることが難しくなっているのだという. 「人権」 や 「三権分立」 に関するかんがえかた,刑事事件における自白の重視や個人情報保護法からウィニー事件やコンピュータウィルス作成者が逮捕された事件までも,こういう視点で痛烈に批判されている. これを読むと,日本はここまで非民主的な国だったのかとおもわされてしまうが,著者は 「多少大げさかつ簡単に書いてきた」 とことわってもいる.

第 2 章では陪審制度とはどういうものか,裁判員制度とはどうちがうかが説明されている. ここは比較的淡々と書かれている.

第 3 章はいよいよ著者による裁判員制度の解釈とそれへの痛烈な批判が展開されている. 著者によれば裁判員制度は 「裁判を十分理解していない国民がいけない」 ことが前提になっている. 法律の専門家は裁判員にはなれないことになっているので,深い法律知識がないことが裁判員になる条件であって,そういう国民のために 「分かりやすい事件」 だけを対象にしているという. 裁判員には守秘義務があり,それは裁判員をまもるためだと説明されているが,裁判官と裁判所が秘密の範囲を勝手にきめることができ,裁判官がなにをしても外部にもらされないようにするという,裁判官をまもり,裁判所に対する批判をなくすためのしくみだという.

しかし,それだけ痛烈に批判しながらも,著者は 「裁判員制度に反対しているわけではない. むしろ,うまく機能してほしい」 と書いている. これまで裁判官には被告人を有罪にしなければならないという圧力がかかる結果として 99% の裁判で有罪判決がいいわたされて冤罪がおおくなっていたが,「裁判員制度のおかげで,被告人を無罪にしても [中略] 裁判員たちがどうしても,ということだったので」 ということで無罪にすることができるようになるかもしれないという. 私もこれで,裁判員制度によって冤罪が減ることが期待できるとおもった. 著者はまた裁判員になることを 「義務」 ではなく 「権利」 とかんがえようと提案している.

この本は裁判員制度の解説書とはいえないので,それが 「どういうつもりで」 つくられたのかは,あらかじめ知っておく必要があるだろう. そのうえで読めば,解説書や日本人が書いた裁判員制度の批判とはまったくちがう視点をあたえてくれて,目からウロコというおもいをいだかせる. いろいろ裁判員制度やその周辺の法律の本を読んできたが,この本が一番のオススメである.

評価: ★★★★★

関連リンク: アメリカ人弁護士が見た裁判員制度@ [bk1]アメリカ人弁護士が見た裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-12-04

「諸君!」 12 月号の 渡部 昇一 著 「まやかしの 「A 級戦犯・分祀論」 に終止符を打て」 には 「東京裁判の判決 (judgement) にしたがう」 ことと 「東京裁判 (tribunal / court) にしたがう」 ことが混同されていることの重大性が指摘されている. 戦争に負けた以上は判決にはしたがわざるをえないが,裁判そのものをみとめるべきでないということだ. しかし,なぜ裁判と判決とが混同されてしまうのだろうか?

つづく…

2008-12-03

タイのソムチャイ首相は憲法裁判所の命令により失職した. 首相の政治活動は 5 年間禁止され,最大与党の国民の力党は解党を命じられたという. おおくの市民が空港を占拠して観光客は迷惑をこうむったが,無血にちかいかたちで 「クーデター」 がおこなわれたことは画期的だとかんがえられる.

つづく…

2008-12-12

麻生首相が消費税率の 3 年以内のひきあげを税制改正大綱に記述するよう要求していたのに対して,公明党を中心とする反対によって記述しないことに決着したという. 公明党は第 2 次補正予算案みおくり等で首相への不満をつのらせているとみられるが,与党であるにもかかわらず首相方針に反対して,ただでさえ弱体化している内閣をさらに弱体化させているのは,ゆるしがたいことだとおもえる.

つづく…

2009-01-11

米国人の大多数はオバマ大統領を歓迎しているようだ. しかし,白人のなかには黒人大統領の誕生を良からぬこととおもっているひともいるはずだ. 暗殺というようなことがおこらなければよいが…

つづく…

非正規労働者によまれているというので 「蟹工船」 を読んだが,それ以来,非正規労働者の見方になれる政治勢力がいるとすれば,それは日本共産党をおいてほかにはないとおもってきた. きょう (2009 年 1 月 11 日) の朝日新聞には,共産党が実際にそういう方向にうごいているらしいことが報道されている.

つづく…

2009-01-09

本書は厚生労働省が無理に医師をへらし,製薬会社や医療機器の会社には手厚く医師や病院にはきびしい政策を撮っていることを批判している. すこし意外だったのは,「医療を軽視する日本政府のあり方は,明治維新で決定的に」 なり,現在,崩壊の危機のなかにある国民皆保険制度の導入時から医療崩壊がはじまっているという指摘である. それでは日本にどういう制度をきずけばよいのか? この本のなかには解をみいだすことはできない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 誰が日本の医療を殺すのか@ [bk1]誰が日本の医療を殺すのか@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-17

これまで,いくつかの国家プロジェクトにかかわってきた. しかし,どうも,国家プロジェクトというものがすきになれない. しばしば税金がむだづかいされているとおもうからだ.

公共事業のむだづかいは糾弾されつづけてきたが,いまだにむだガネがつかわれている. 金額はそれよりちいさいとはいえ,同様のむだづかいはいたるところにあるだろう. むしろ,公共事業のように糾弾されていないがゆえに,もっとむだなカネがつかわれているのではないだろうか. 国家プロジェクトもそのひとつだとおもえる.

つづく…

2009-02-19

小泉政権下での竹中大臣のさまざまな挑戦を挑戦者自身がえがいている. 個々の問題をもっとくわしくあつかった本はほかにあるが,金融改革,郵政民営化,政策プロセスの改革など,全部をとおしてみるにはこの本を読むのがよいだろう. 竹中大臣がただしかったかどかはより客観的にみる必要があるだろうが,彼自身がなにをかんがえ,なにをやってきたかを知ることができる.

(実名はあまり書いてないが) 批判されているひとがおおいなかで,北朝鮮訪問もふくめて,小泉首相には最大限の賛辞が書かれている. また,自民党税調のドンといわれた」山中貞則に対して 「政界のドンと言われる人の志の大きさと人間の奥深さを,様々な形で学ばせてもらった」 というのも興味ぶかい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 構造改革の真実@ [bk1]構造改革の真実@Amazon.co.jp

つづく…

2009-02-13

イギリスの事情にくわしい著者が,おもにサッチャーからブレアまでの時代のイギリスの福祉政策や医療制度などについて書いている. 「ゆりかごから墓場まで」 といわれた福祉国家イギリスだが,サッチャーの時代に 「聖域なき構造改革」 がおこなわれて,経済は活性化したが医療制度はズタズタにされた. それを修復するはずのブレアも失策をおかしているという. しかし,そういうサッチャーでも無料の医療制度 NHS まではこわせなかったという.

こういうイギリスの現状をもとにして,著者は日本の現状も検討している. いくつかの提案はあるが,決め手はなく,歯切れはよくない.やはり日本は日本独自の道をさがすしかないということだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: カリスマ編集者の「読む技術」@ [bk1]カリスマ編集者の「読む技術」@Amazon.co.jp

つづく…

2009-02-12

小泉政権下でずっと重要な位置をしめていた竹中平蔵が金融担当大臣だった時代をふりかえっている. 郵政民営化や道路財源に関する 「戦争」 に関してはおおくの文章があり,1 冊ならず読んでいたが,りそな,UFJ,ダイエーなどに関するいきさつは,よく知らなかった. 本書はそこで水面下でおこなわれていた熾烈なたたかいをあきらかにしてくれる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 竹中平蔵の戦争@ [bk1]竹中平蔵の戦争@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-18

タイトルをみて,おもわず買ってしまった. しかし,この話題は最初の 20 ページくらいをしめているだけである. 著者は権力者にはありとあらゆる罵詈雑言をあびせるが同士にはやさしい. それは単に敵と味方をくべつして敵だけを攻撃しているようにしかみえない. 彼自身にはそこに論理があるのかもしれないが,それがこの浅薄な文章からは読者に十分にはつたわってこない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 佐高信の政経外科XI@ [bk1]佐高信の政経外科XI@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-15

Newsweek 日本版 2009.3.11 には,東京支局長のクリスチャン・カリルによる 「リーダー不在のポンコツ日本政治」 という記事がある. そこでは地元と無縁な世襲議員がおおいことや,有権者が受け身であることなどが原因として指摘されている. それらも理由の一部だろうが,もっとほかに重要な原因があるのではないだろうか.

つづく…

2009-03-14

「思考停止」 をタイトルにふくむ本が 6 冊はあるが,その意味はさまざまである. この本では法令をはじめとするさまざまな規則をその本来の目的などかんがえずに盲目的に 「遵守」 しようとすることをさしている. 最初にとりあげられている食の 「偽装」,「隠蔽」 の問題においては,実質的には問題がないにもかかわらず規則を 「遵守」 していなかった食品企業をマスコミがバッシングし,そのために食品企業のほうもむだをだしても厳格に規則を 「遵守」 せざるをえなくなっている. 著者はさらに,同様の問題が他の業界についても,また司法や行政についても指摘している.

著者はこうした問題の解決策もしめそうとしているが,それは抽象的だったり,すぐに実現できないものだったりしている. 問題がおおきいだけに,容易に解決策がしめせるものではないということだろう. それは読者にあたえられた課題である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 思考停止社会@ [bk1]思考停止社会@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-04

朱鎔基は中国に市場経済を根づかせ 「資本主義を不言実行」 した,もっとも注目するべき指導者である. にもかかわらず,日本ではあまり有名だとはいえないのは,著者によれば日本のマスコミが 「痴呆状態」 だったからだという. それでも 1998-2000 年ころには日本でも朱鎔基をとりあげた本が何冊か出版されていた. しかし,私自身,最近まで朱鎔基に注目していなかったので,これらの本も目にとまっていなかった.

江沢民が中国のナンバーワンだったことは,もちろんよく知られている. 江沢民がみいだされたのは天安門事件がおこったとき上海ではおおきな混乱をおこさずにすんだためだというが,それも朱鎔基がいたからだという. 市場経済化にあたっても地域ごとに具体的な指示をだし正確な数値の報告をもとめたという. また,自分がだした指示にあやまりがあればすみやかにそれをみとめて補足したという.

私はまだ朱鎔基に関する本をこれ 1 冊しか読んでいないので,これが彼を知るのに最適かどうかはわからない. しかし,この本を読めば朱鎔基がどういう人でありどういう経済政策を実行したのかをいろいろな角度から知ることができる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「朱鎔基」@ [bk1]「朱鎔基」@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-31

白洲次郎が文藝春秋などの雑誌にのせた文章をまとめた本である. 日本国憲法の成立,戦前や米軍占領下の政治にかかわった著者が,政治や政治家などについて,きわめて率直に,あるときは弱点もさらして,書いている. 憲法についてかんがえるときにも,参考になるだろう.

現在の雑誌にこのような文章をのせたなら,たちまちひどい攻撃の対象になってしまうのではないだろうか. プリンシプルの有無をいう以前に,そこに現代の問題を感じてしまう.率直に表現し,率直に読むことをまなびたい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: プリンシプルのない日本@ [bk1]プリンシプルのない日本@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-10

「パトスの首相」,「強い首相」 という観点から小泉元首相の政治手法を分析し,内政,外交をそれぞれ分析している. そのうえで日本の政治のながれを 「利益の政治」 と 「アイディアの政治」 の対立という視座からとらえて,小泉が 「アイディアの政治」 を復活させ,日本の政治をおおきくかえたとしている. しかし,「アイディアの政治」 の意味が十分説明されていないので中途半端になっている.

「あとがき」 で著者は過小評価していた小泉首相を 2005 年の総選挙以降,注目するようになったということを書いている. この選挙の結果として郵政民営化が実現したのは事実だが,それ以外ではむしろ徐々にちからをぬいていっていたように私は感じていたので,違和感があった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 小泉政権@ [bk1]小泉政権@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-16

現代中国においてもっとも注目するべき指導者である朱鎔基が首相になるまでをえがいている. 日本で出版された朱鎔基に関する本はほとんどが 1998~2000 年に出版されているが,この本は 1998 年であり,重要な部分が欠けていることが惜しまれる. 比較的淡々と書かれていて迫力はないが,朱鎔基と他の中国指導者とくに鄧小平との関係,日本の政治家との類似点などが比較的くわしくえがかれている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 朱鎔基の中国改革@ [bk1]朱鎔基の中国改革@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-13

裁判員制度に関する本はおおいが,大半は法律の専門家が書いている. この本は理科系的な目からみた貴重なものである. 裁判員制度は市民の常識を裁判にとりいれる目的で導入されるのに,法律家の常識でしきられようとしていることへの疑問,グラフやマルチメディアに関する十分な知識がないままにそれらがとりいれられようとしていることの危険などは,他の本にはほとんど書かれていない貴重な指摘である.

また,法律家をはじめとするさまざまなひとにインタビューするなかで,「公判前整理手続き」 と 「被害者参加制度」 の問題点があきらかにされる. さらに,中坊氏が陪審制を主張したのにそれが裁判官や検察官の利益に反するために現在の制度になったという. いずれにしても,もはやとめられない裁判員制度に関する建設的な内容である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ニッポンの岐路裁判員制度@ [bk1]ニッポンの岐路裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-18

自民党も社会党・社民党もソ連型社会主義が崩壊した 1980 年代にやくわりをおえた,かわらなければならないと主張する. ところが,著者は自民党をかえようとした小泉・竹中の政治をするどく批判する. 彼らは 「日本というシステム」 を破壊し,地域コミュニティを崩壊させたという.

社会主義の崩壊に言及し,「新自由主義」 とアメリカ発の 「グローバリゼーション」 を批判してはいるが,著者の視点はほとんど日本のなかにとどまっている. 地域コミュニティや日本の農業など,国内にもっと目をむけるべきであることはたしかだろう. しかし,「新自由主義」 が失敗したからといって 「グローバリゼーション」 もどこかにきえてしまうわけではないだろう. 中国やインドが台頭し,BRICS など,それにつづく国々もあることをわすれた経済政策をたてても,日本をたてなおすことはできないだろう. 視野のせまい,あぶない議論だとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 劇場政治の誤算@ [bk1]劇場政治の誤算@Amazon.co.jp

つづく…

コスタリカは 1948 年に軍隊をなくして 「丸腰」 になった. その歴史・国民性などを分析し,軍隊がなくてもやっていけるのか,ほんとうに軍隊がないのかを検証している.

コスタリカが軍隊なしにやっていけるのは国の規模や米国との関係がうまくいっているからだろう. 米国との関係についてはこの本でも分析しているが,十分とはいえないようにおもえる. また,なぜコスタリカが周辺国とちがうみちをあゆむことができたのかも十分にあきらかにされているとはいえない.

あとがきで非武装化に関して,国の規模・歴史もまったくちがい米国からの物理的距離もまったくちがう日本について 「現状としては日本のほうがはるかに有利な状況にいるはずだ」 と書いているが,これはまったく説得力がない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 丸腰国家@ [bk1]丸腰国家@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-16

防衛医科大学校教授の名倉正博被告 (63) が 3 年前に女子高校生のからだをさわったとして強制わいせつの罪にとわれた事件で,1 審,2 審は有罪だったが 4 月 14 日,最高裁において無罪判決がだされた (痴漢裁判 最高裁で逆転無罪). 無罪になったのは画期的だが,どうも判決の内容には疑問がのこる.

つづく…

2009-04-29

350 ページをこえる,新書としては大作である. 大学法人化へのみちすじを行政改革とグローバル化,筑波大学の設立,東大医学部紛争にまでさかのぼって検討している.

行政改革とグローバル化はまだそれほどとおい過去のことではないが,筑波大学が設立された時代にはまだ私にはその背景がよく理解できていなかった. 当時は上からの改革ということで反感をもっていたが,この本を読むことで,あらためて改革の必要性を問いなおすことができた. しかし,著者は筑波大学の改革が結局は挫折し,従来の大学にもどってしまったと書いている.

法人化に関してはこの本が書かれたのはまだ進行中の時期だが,各大学のとりくみが紹介されている. その効果に関しては続編に書かれているのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大学法人化@ [bk1]大学法人化@Amazon.co.jp

つづく…

2009-05-12

たまにしか日本にかえらないというバクチ打ちの著者が,石原慎太郎を斬り,愛国心,教育,性,ドラッグ,死刑,人種差別など,さまざまな問題を論じていく. これで,日本のなかしか見ていない読者は開眼されるのかもしれない. しかし,私にはどうも迫力が感じられない. 退屈な文章だ. チンピラがわめいているようにしか,きこえない (失礼!). めったに日本にいないからズレているということだろうか.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 越境者的ニッポン@ [bk1]越境者的ニッポン@Amazon.co.jp

つづく…

2009-05-16

厚生労働省による医薬品ネット販売規制は一部が延期されたものの,ネットで継続的に購入していない医薬品については 6 月から買うことができなくなるという. 私はこれまで不定期にネット販売を利用してきたので,影響をうける. そのため,反対意見をパブリック・コメントとして投稿した. 以下はその内容である.

つづく…

2009-06-04

小泉改革の時計を逆まわししようと陰謀をめぐらす鳩山総務相」 にも書いた鳩山総務相による日本郵政タタキはその後もつづき,ついには日本郵政の株主総会をまえにして辞任をつよくせまっている. 麻生首相がみとめても所轄大臣として自分は西川社長の再任をみとめないとまでいっている. 改革のじゃまをするうえに首相までバカにしている鳩山邦夫には大臣をやめてもらうのがよいだろう.

つづく…

2009-06-19

ETC を入手できないために,いまだに高速値下げの恩恵をうけられないひとがおおいようだ. 私自身もそのひとりだ. これはいちじるしく公平性を欠いた政策だといわざるをえない.

つづく…

2009-08-24

タイトルだけでなく内容においてもいわゆる 「村山談話」 にこだわりがあるが,「村山談話」 についての本というよりは,村山 富市 というひとがどういう政治家だったのかをあきらかにしてくれる本といえるだろう.

総理大臣になるとはまったくかんがえられていなかったひとが総理大臣になり,後藤田正晴によれば 「保革の対立の中でやらなければならないけれどできなかった仕事 [中略] がある内閣のときに解決したんです」 というだけの仕事をした. しかし,この本を読んでもやはり一方では総理になるはずでなかったひとがなったことによる限界も感じとれる. 「村山談話」 もそのどちらであったのかは,ひとによって評価がわれるということなのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「村山談話」 とは何か@ [bk1]「村山談話」 とは何か@Amazon.co.jp

つづく…

2009-09-13

郵政民営化がはじまってまもない頃に書かれた本である.そのため,2/3 くらいは郵政公社と民営化による労働問題の告発などにあてられているが,大半は民営化以前の話題だ.その意味ではタイトルからはずれている.のこりの 1/3 は宅配便や公的機関による派遣業者への委託がひきおこしている労働問題などをあつかっている.つまりこの本は民営化をあつかっているのではなくてワーキングプア問題をあつかっていることになる.深刻な問題であることはまちがいないが,焦点がぼけてしまっているのが惜しい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民営化という名の労働破壊@ [bk1]民営化という名の労働破壊@Amazon.co.jp

つづく…

2009-09-25

最近民主党が政府内にあつめている人材をみると,いろいろ興味ぶかい. 自民党政権時代にさまざまな理由で政府や自民党からとおざけられてしまったひとが,つぎつぎに政府にとりこまれている.

つづく…

2009-09-23

前原国土交通大臣は就任したその日に八ッ場ダム建設中止をうちだしたが,地元住民が納得するまで手続きをはじめないといっている. しかし,地元住民は中止の方針を白紙にもどさないかぎり話し合いには応じないといっている. もともと住民はながらくダム建設に反対してきたが,ようやく建設に同意してまもなく,民主党によって一方的に中止がきめられた. 強引に中止するのであれば,そのやりかたはこれまで自民党がやってきたこととおなじだ. 国民のための政治をめざすのであれば,白紙から再検討するべきだろう.

つづく…

2009-09-21

「なぜ日本の政治家はダメなのか」 という副題から,ずっとまえから日本の政治家はダメだったといいたいのかとうけとった. しかし,読んでみるとそうではなくて,田中 角栄,金丸 信,梶山 清六 をはじめ 小泉 純一郎 までがとりあげられて,ホジティブに評価している. 売り上げをのばすために故意に本の内容とはちがうタイトルをつけたのではないだろうか.

政治記者だった著者の反省の弁もふくまれているが,結局はマスコミが政治家のわるいところばかりを誇張するので国民も政治家はダメだとおもいこみ,それがかえって (政治家ではなく) 政治をますますダメにしているのではないだろうか. 民主党政権の成立とともに,そういうながれも変化することをのぞみたい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 政治家失格@ [bk1]政治家失格@Amazon.co.jp

つづく…

2009-10-08

アメリカ人は冷静に判断すればマケインをえらんだはずなのに,まちがってオバマをえらんでしまったという. 著者はオバマ自身の能力にも否定的だが,オバマのスタッフや,これまでの民主党政権とくにカーター政権に対する評価がひくい.

著者はまた,オバマ暗殺の可能性を示唆し,アメリカへのあらたなテロの可能性を指摘する.

著者は国際紛争を解決する最終手段は戦争しかないという. そして,1929 年の大恐慌からアメリカをすくったのはニューディール政策ではなくて第 2 世界大戦だという. それなのに民主党政権はいつも緊張をきらい,外交で失敗するという.

しかし,そういう戦略が現代のアジアにおいては 「合理性のあるものになってきている」 ともいう. また,アメリカ経済回復への可能性のひとつとして,大規模な代替エネルギー産業を起こすことだとも書いている. 全体のトーンはオバマ大統領に否定的だが,よくみれば可能性もしめしている. そして,代替エネルギー政策をはじめとして,実際にオバマはその方向にむかっているようにみえる. 過去にとらわれた著者のおおくの言説よりも,こうした可能性に期待をかけたい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 不幸を選択したアメリカ@ [bk1]不幸を選択したアメリカ@Amazon.co.jp

つづく…

たまたま見たケンプラッツという建築・住宅情報 Web サイトの記事のなかに,先日の衆議院議員の比例代表選挙における年齢別の投票に関するインターネット上でのアンケート結果があった.建築関係者へのアンケートなので一般調査とは結果にずれはあるだろうが,それによると 20 ~ 29 歳では民主党 40.7% に対して自民党 40.7% と同率になっているのに対して,年齢とともに自民党への投票が減り,70 歳以上では自民党は 0 という劇的な結果がえられている.

つづく…

2009-10-14

前原国土交通相が羽田空港の 24 時間ハブ空港化にとりくむという. 大賛成だ. これに対して,きのうは森田千葉県知事が 「冗談じゃない」 とまで言い,成田空港の地元が大反対していることがつたえられた. ところが,1 日たって前原-森田会談がおこなわれて,成田-羽田の一体的運営で合意したという. どうなっているのだろうか?

つづく…

2009-10-21

麻生前首相が衆議院を解散せず,首相の座にいすわりつづけたことに関しては,当時から批判されていた. 結果論にはなるが,現在の状況からかんがえると,これは 「麻生の罪」 というほかはない.

つづく…

2009-10-17

歴史上の国や地域の状況を想像することは,すくなくとも私にとっては現在の国や地域を想像することよりむずかしい. だから,大東亜戦争当時の中国の状況を現在のアフガニスタンの状況とくらべて理解するようにこころみてみよう.

つづく…

2009-11-28

政府の事業仕分けで科学技術予算も大幅にカットされた. スーパーコンの予算化みおくりが最大の話題になっているが,他の予算も大幅にカットされている. 事業仕分けによって省庁間にまたがる事業のみなおしが可能になり,全体としてはおおきな効果をあげているのはたしかだ. しかし,とくに科学技術予算に関して予算を削減する理由をみてみると,いくつか,おおきな問題があることがわかる.

つづく…

2009-11-24

民主党政権によるスパコン開発予算削減の是非が議論されている. 世界一をめざすのかどうかというような点が争点になっているが,ほんとうはどうすれば予算をより効率的につかうことができるかを議論するべきなのではないかとおもう.

つづく…

2009-12-03

すでに何人も大統領が暗殺されてきたアメリカ,そして南部に白人優越主義者をかかえるアメリカで誕生した黒人大統領は暗殺される危険がたかいのではないかと危惧してきた. しかし,マスコミなどでその話題がとりあげられているのをほとんどきいたことがない. この本はこの話題を正面からあつかう,かずすくない本だ.

この本では実際に,オバマをねらった事件を,かれが大統領になるまえからリストアップしている. しかし,それだけでは 1 冊の本をうめることはできなかったようだ. 歴代の大統領の暗殺あるいは暗殺未遂事件をとりあげ,オバマの再選を阻止するうごきもとりあげている. オバマに関してはまだ暗殺者の存在がそれほどおおきな問題になっていないのだとしたら,すこし安心してもよいだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: オバマを狙う「白いアメリカ」@ [bk1]オバマを狙う「白いアメリカ」@Amazon.co.jp

つづく…

2009-12-15

タイトルに 「デタラメ」 というつよいことばをつかうならば,これまでの議論のどこがデタラメなのか,きちんと論じるべきだろう. 著者がこれまでのおおくのジャーナリストなどと意見をことにしていることはこの本を読めばわかる. しかし,従来の議論はデタラメで著者の意見はそうでないと主張するなら,どこがデタラメだったのか,なぜ著者の議論はデタラメでないといえるのかを,もっときちんと論じるべきだろう. たとえば,著者は 「後期高齢者医療制度そのものは悪い制度ではない」 と書いているが,その理由はまったく書かれていない. これでは,おそまつというほかはない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 政策論争のデタラメ@ [bk1]政策論争のデタラメ@Amazon.co.jp

つづく…

2009-12-08

自民党政権時代には決してあきらかにされることがなかった米軍による核兵器もちこみに関する密約の存在が,民主党政権のもとであきらかにされた.

つづく…

2009-12-22

民主党に関してはいろいろ書きたいことがあるが,全部を書いている時間はない. そのなかで,最近の小沢一郎の発言や彼を中心とする民主党の政府に対する行動に関してはひとこと,書いておきたい.

つづく…

鳩山首相は子ども手当に所得制限をもうけないという決断をした. 所得制限をするべきだという意見が民主党からあがり,その上限に関してもさまざまな意見があったときく. 所得上限を 2000 万円とする意見がつよいと報道されていたが,これは税収を確保するのにはまったく無意味であり,制限しないという決定を支持したい.

つづく…

2010-01-17

ここ数十年のあいだに,政治資金にからむさまざまな問題が追及されてきた. あきらかな不正もあるが,おおくは 「疑獄」 といわれるような疑問点のおおい事件だ. いま問題にされている小沢一郎の事実上の秘書である石川議員による虚偽記載問題もそのひとつだ. こうした事件を追及することは,日本の政治に裏支配構造をつくったり,政治不信をまねいたりといった,むしろさまざまなわるい影響をあたえているのではないだろうか?

つづく…

2010-05-28

福島大臣が罷免された. 普天間基地の辺野古への移転をふくむ政府方針に反対して署名を拒否し,辞任も拒否したという. 辞任が妥当だったようにおもうが,みずからの意思と社民党の意見をつらぬいたことに理解することはできる. しかし,閣内にいながら鳩山首相のかんがえに反し,代案もださず,さらには辞任すらしないのは無責任きわまる態度といわざるをえない. これしかできない社民党は内閣には不要だし,日本の政治にも不要ではないだろうか.

つづく…

2010-05-08

米軍基地移転問題で 5 月末決着を約束した鳩山首相が苦境にたっている. 普天間基地からの移転は安全を確保するうえでぜひ必要なことだ. また,キャンプ・シュワブへの全面移転は沖縄の負担軽減という意味からも,海をまもるということからも,うけいれられない. したがって,県外候補として唯一の徳之島への一部移転は必須とかんがえられるが,つよい反対にあっている. その結果として鳩山首相の責任がとわれている. しかし,政治あるいは政治家に過大な期待や失望感をもっても,問題は解決されない.

つづく…

2010-05-04

日本語や日本のさまざまな規則の間違いというよりは,おもにあいまいさを突いている. 「あいまいさは間違いではない」 などといってみても,はじまらないのだろう. これは雑学であって,あまりまじめに反論してみてもしかたがない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本のルールは間違いだらけ@ [bk1] 日本のルールは間違いだらけ@Amazon.co.jp

つづく…

2010-06-11

民主党政権による事業仕分けで主役をはたした著者が,そのいきさつから経過,結果などについて書いている. 事業仕分けを企画し実行した側からの記録なので自画自賛も感じられる. しかし,事業仕分けの実現にいたる軌跡に関しては,自民党政権時代につみかさねられてきた努力を民主党がひきついで実現されたことが記述されている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「事業仕分け」の力@ [bk1] 「事業仕分け」の力@Amazon.co.jp

つづく…

2010-05-31

鳩山内閣への支持率は低下の一途をたどり,20% をしたまわっている. 最近は普天間問題で辺野古への移設がきめられ,それによって社民党は連立を離脱してしまった. 危機的な状況をまねいた責任は鳩山首相にあるが,それでもなお,鳩山内閣を支持したい.

つづく…

2010-06-27

菅総理大臣が消費税増税の議論をはじめることを宣言した. 自民党がマニフェストにかかげた 10% を考慮するという. これに対していくつかの党が反対し民主党がすぐにも増税するかのようにいっているが,実際のところは増税には時間がかかる. いますぐ増税するかのような錯覚をおこすのは景気に悪影響をあたえる禁じ手だろう.

つづく…

2010-07-03

参議院議員選挙がちかづいている. 民主党をすくなくともつぎの総選挙までのあいだ応援したいとおもっているのだが,候補者のなかから経済ツウをえらびたいとおもっても,民主党候補者のなかに適当なひとがいない. 民主党候補者のなかからえらぶのはあきらめざるをえないと,おもいはじめている.

つづく…

2010-07-19

国の予算は本来,税金によってまかなわれるべきものだ. ところが,いまや税金より借金のほうがおおくなってしまっている. 借金は若い世代や未来の世代に負担をおしつけるものだと主張するひともいる. その一方で,借金も国内から調達しているのだから債務超過におちいることはなくて,さほど問題はないと主張するひともいる. しかし,どちらもちがうのではないかとおもえてきた.

つづく…

2010-07-18

「日本の財政は債務超過になる! 危険だから借金をへらさなければならない」 というようなかんがえかたに対して,著者は債務超過になることはない,国債の金利もずっと,あがっていない,などとこたえていく. 豊富なデータをつかった議論には説得力がある.

しかし,所詮は 「これまでだいじょうぶだったやりかたを,今後もとればよい」 というだけのことだ. これからも長期金利があがらない,国内なら借金をかかえていてもだいじょうぶだ,などといえる保証はない. そういう議論にふれずに著者自身のかんがえだけをのべていくやりかたは歯切れはよいが,危険を感じてしまう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民主党政権で日本経済が危ない!@ [bk1] 民主党政権で日本経済が危ない!@Amazon.co.jp

つづく…

2010-07-26

民主党の中堅と新人を取材して,その行動,カネ,その他さまざまなことを書いている. 2009 年の選挙で民主党に風が吹かなければ,この本も書かれることはなかったのだろう. 民主党にかぎったことではないが,代議士になるには,本人はもちろん家族にもおおきな経済・時間その他の犠牲をしいていることが印象にのこった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民主党代議士の作られ方@ [bk1] 民主党代議士の作られ方@Amazon.co.jp

つづく…

2010-07-24

小泉首相時代に道路公団民営化で中心的やくわりをはたしてきた著者が,石原都知事に説得されて副知事になったいきさつから,参議院議員宿舎の建設をやめさせた話,羽田空港国際化や東京の地下鉄経営統合など,さまざまな話題がとりあげられている. 道路公団の話題もところどころ登場してくる.

副知事としていろいろ努力しているようすはわかるが,あまりまとまりのある本とはいえない. とくによくわからないのは,田中真紀子の税金物納にからむ電話に対応した話など,なぜこの本に書く必要があったのか? まとまりがなくて,作家が書いた本とはおもえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 東京の副知事になってみたら@ [bk1] 東京の副知事になってみたら@Amazon.co.jp

つづく…

2010-07-23

タイトルは過激だが,内容はそれほどではない. 民主党批判にあてられた章はわずかであり,あとは著者の政治家としての回顧や,いまどういう政策をとるべきかといった内容である.

著者は衆議院議員になって 30 年以上だというが,この本を読んだ印象ではいまも庶民感覚をうしなっていないようだ. 「構造改革」 に関する意見も 「常識的」 だ. 逆にいえば経済・社会に関する専門知識があまり感じられないので,たよりなくも感じる. 本を読むひまもなかなかないということだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 民主党が日本経済を破壊する@ [bk1] 民主党が日本経済を破壊する@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-11

「凜の会」 の郵便不正にかかわったとして逮捕された厚生省の村木元局長に無罪判決がだされた. 検察にひどいめにあわされた村木氏だが,記者会見では 「検察を信じたいとおもっている」 と語った. 検察でのとりしらべで他の関係者は検察がでっちあげたストーリーをみとめたなかで,最後まで否認した 「つよさ」 をもつ村木氏だが,同時に検察官への 「やさしさ」 ももっているということだろう. ぜひ厚労省のしかるべき役職に復帰してもらいたい.

つづく…

2010-09-25

尖閣諸島沖での衝突事件でつかまっていた中国人船長が突如,釈放された. 検察の判断で釈放したというコメントがだされているが,まったく不可解だ. 海外のメディアは 「日本が白旗」 というような報道をしている. こんな解釈がされるようなことを日本政府はゆるす (する) べきでなかった.

つづく…

2010-11-12

おもに太平洋戦争後の日本の歴史をたどって,国家戦略のなさをうきぼりにしている. 国家戦略をたてようとした政治家についても書かれているが,結局のところ成功しなかった. それは冷戦終結と湾岸戦争以後の日本にとっておおきな課題となっているが,いまも課題は解決されていない. まだ当分は解決できない課題なのだろうが,それだけにじっくりかんがえるべきテーマだ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本に国家戦略はあるのか@ [bk1] 日本に国家戦略はあるのか@Amazon.co.jp

つづく…

2010-11-22

著者は 「コンクリートから人へ」 という民主党の政策のもとでは国がほろびるという. 民主党が公共事業をめがたきにしているかのように書き,それに反論している. たしかに,著者が指摘するように,最近は道路建設などの公共事業費がおさえられているにもかかわらず,過去をみてバッシングをつづけていると,必要な道路建設費などをけずってしまうことになるだろう. しかし,著者がとりあげているデータは都合のよいものだけをとりあげているようにみえるし,議論もあらけずりだ.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 公共事業が日本を救う@ [bk1] 公共事業が日本を救う@Amazon.co.jp

つづく…

2011-01-07

「著作権の世紀」 というタイトルからは 20 世紀のことだけを書いているような印象をうけるが,実際は 21 世紀にはいってからのクリエイティブ・コモンズや 「グーグル・ブック検索」 に関する訴訟と和解などについてが半分以上のウェイトをしめている. これらは著作権に挑戦するこころみのようにみえるが,著者によればクリエイティブ・コモンズは 「著作権を前提にしてその条件を一部緩和したいときに有効なモデル」 だという. 現代におけるこういう意味での著作権に関する諸問題を理解するのに最適な一冊といえるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 著作権の世紀@ [bk1]著作権の世紀@Amazon.co.jp

つづく…

2011-01-17

このタイトルには違和感を感じる. 「視点をずらす」 というよりは,KY をおそれず,自分の思考や感じ方に忠実に行動してきた著者が書いてきた短文をあつめた本である. 雑多な内容だが,著者の憲法や天皇,オウム真理教などに対する 「世間」 とはちがう著者のかんがえや生き方から,まなべる点があるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 視点をずらす思考術@ [bk1]視点をずらす思考術@Amazon.co.jp

つづく…

2011-02-03

ハーグ条約に批准するべきかどうか,日本では賛成・反対が相なかばする状態になっている. ハーグ条約では,国際離婚したとき勝手に出身国につれかえられたこどもを配偶者のもとにもどすことをさだめている. 反対派はそれが日本の習慣や法律などにあわないことを理由に批准するべきでないとしているようだが,国際結婚をみとめる以上は国際的なルールが必要であり,すくなくとも出発点はハーグ条約しかないから,批准するべきだろう.

つづく…

2011-01-30

これまで日本は西洋化し,都市化と地方の過疎化とが進行してきた. 著者によれば,このながれをかえるのは都市の 「農村化」 だという. 都市における自然を重視し,日本全体を野の洲 (くに.関東平野),森の洲 (北部),山の洲 (中部),海の洲 (南部) に再編することを提案している.

著者が書いているように,都市の自然環境の整備はすでにすすんできている. 日本を 4 分割するのが妥当化どうかはわからないが,この提案は道州制にちかいものだということができるだろう. 首都は国会で議論したように那須におけばよいという. したがって,それほど独自性のつよい案というわけではない.

この本の文章はいくつかの文章をあつめたものであり,重複している部分がおおいのが難点である. むしろ,ここに書かなかったエピソードのほうがおもしろい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「美の国」日本をつくる@ [bk1]「美の国」日本をつくる@Amazon.co.jp

つづく…

カテゴリー

Creative Commons License
このブログはつぎのライセンスで保護されています. クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.