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裁判員制度 アーカイブ

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Mogi-saiban02.jpg このカテゴリーには裁判員制度に関する話題をあつめています. 上位のカテゴリーは 政治・法律・憲法 です.

私は法律の専門家ではありませんが,裁判員制度をよりよいものにするための方法を模索しています. これまでの研究を 「裁判員制度に関する研究の中間報告」 として,まとめています. また,未完成のアイデアを,このページにアーカイブされている

に書いています. そのヒントになったのが,このページにある 北岡 元 著 「仕事に役立つインテリジェンス」 という本です.

なお,このページは裁判員制度アーカイブ のページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2008-08-19 10:55:32 です).

おもくなるのをさけるためにアーカイブのページには写真がはいらないようにしていますが,個別ページにある写真をここに引用しておきます.

2008-06-20

本書では裁判員制度のさまざまな問題点を攻撃している. 問題点を知ることは重要だが,悪意をもって攻撃し,問題を解決するのでなく問題があるから破壊してしまおうという態度が適切なものだとはかんがえられない. 本書では裁判員制度が憲法に違反しているということをくりかえし主張しているが,それは裁判員制度が他の法律とのあいだには矛盾がないので,無理矢理,憲法をもちだして屁理屈をならべているとしかおもえなかった. 問題点を知るのには役にたつだろうが,あまりおすすめできない.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 裁判員制度の正体@ [bk1]裁判員制度の正体@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-05

ひとは熟練すると複雑な仕事 (作業) をほとんど無意識にこなせるようになる [Eda 07]. こういう人間の能力すなわちスキルがさまざまな分野の専門家の仕事をささえているとかんがえられる. その一方でその仕事の前提 (北岡 [Kit 08] がいう 「リンチピン」) がくずれても,いままでどおりのやりかたで仕事をつづけようとする. 裁判もそういう複雑な仕事のひとつだといえるのではないだろうか.

つづく…

「インテリジェンス」 という専門用語は国防・外交などにおける情報分析を意味している (らしい). タイトルには 「仕事に役立つ」 とあるが,民間の仕事のための情報分析の本としては他に適切なものがあるから,この本は政治における情報分析や 「仕事」 における分析とのちがいを知るためのものとかんがえるべきだろう.

民間の情報分析とくらべると,直観によるバイアスを軽減し 「当然の前提」 を再検討する必要がある (「サイエンス」 を重視する) ことは同様だが,「アート」 あるいは 「ヒューリスティクス」 におおきなやくわりをみとめている点にちがいがある.

ケーススタディのひとつとして看護師による殺人がうたがわれた事件がとりあげられている. ここではマトリクスをつかった分析を読者の演習問題としている. ここから感じたのは,これまで 「アート」 の世界だった裁判に 「アート」 を知らない裁判員がはいったときに,その不足をおぎない裁判をより客観的なものにしていくために 「サイエンス」 をとりいれることができるのではないかということである.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 仕事に役立つインテリジェンス@ [bk1]仕事に役立つインテリジェンス@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-24

裁判員制度に批判的な本がおおいなかで,この本はむしろ積極的である. 著者は陪審制度推進派であり,あとがきに 「投書の理念を失い,国民の司法参加の理想からどんどん後退していくこの制度の制度設計の現実に落胆し」 と書きながらも,陪審制度と裁判員制度のちがいや日本における戦前の陪審制度の歴史と裁判員制度導入の経緯などを冷静に分析し,将来の陪審制度確立への一里塚として裁判員制度をみとめている. 2004 年に出版された本だが,批判本からはえられない貴重な情報をふくんでいる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 裁判員制度@ [bk1]裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-28

著者は 「サラリーマンであれば … 上司の命令や指図に従って毎日の仕事をしている」 ので裁判における 「独立」 つまりだれからの命令も指図もうけずに決断することは想像がつかないと書いている. また,裁判員は法律の素養がないから,「法令の要件ひとつとっても … まともな議論を期待するのは,無理なように思います」 と書いている. つまりは国民はバカだから裁判など担当させられないといっているのにひとしい. 裁判に困難が多々あることはまちがいないだろうが,それを国民にちかづける努力をせずに裁判官の特権的な地位をまもろうという,うけいれがたい主張だとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: つぶせ!裁判員制度@ [bk1]つぶせ!裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-27

第 1 章では裁判員制度への反発がつよいことをえがいているが,誇張されているようにおもえる. 第 2 章では裁判員制度が憲法違反だと主張しているが,それほどつよい根拠があるとはおもえない. 第 3 章では裁判員制度がなぜ必要か,どのように実施されるべきなのかがはっきりしないということをのべている.必要性をもっとはっきりさせる必要があるだろうが,あたらしい制度なのでやってみなければわからないことがあるのはやむをえないだろう. 第 4 章では裁判員制度の陪審制度とのちがい,陪審制度の理想をうけついでいないことなどが書かれている. 裁判員制度は妥協の産物だが,妥協の産物でしか制度改革ができないのが日本の実情だから,やむをえないとおもえる. 第 5 章では裁判員に対する強制や守秘義務,処罰などを問題にし,第 6 章では裁判員制度が人権や民主主義をふみにじるものだとしている. 全体として本書の論理やいいまわしは社民党的なステレオタイプや誇張にみちていて,うんざりしてくる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 裁判員制度はいらない@ [bk1]裁判員制度はいらない@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-26

本のタイトルは 「裁判員制度」 だが,内容はほとんど米国における冤罪事件やそれへの対策などである. 最後の章だけが裁判員制度にあてられている. 米国の法律は日本よりは被疑者を保護するようになっているが,この本からすると日本より冤罪事件はおおいようである. 陪審制が原因になっているばあいもあるだろうが,この本でとくにそういう件がとりあげられているわけではない. 米国の犯罪捜査や裁判の紹介としてはすぐれているが,大半の内容は裁判員制度ととくに関係はない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 誤判を生まない裁判員制度への課題@ [bk1]誤判を生まない裁判員制度への課題@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-25

2 つの最高裁判決と 1 つの地裁判決をとりあげて司法の範囲を越権していると指摘し,さらに裁判員制度が廃止するべきものだと論じている. 最初にとりあげられているのは尊属殺重罰規定違反判決であり,ひろくみとめられた判決に異論をとなえている. 裁判は訴えられたことを判断するものであり,一般論すなわち尊属殺が平等原則に違反するかどうかを論じるのは越権だという. しかし,判決において本件に尊属殺の規定を適用しないときめたならその理由をのべるべきであり,理由がその一般論にもとづいているのなら,それを論じるのをさけるのはむしろ不自然だとおもえる.

尊属殺の問題にかぎらず著者の論調は独善的であり,説得力がない. 著者は 10 年間,地裁の判事をしていたということである. 裁判の被告の立場にたったならもちろんだが,裁判員になってもこういう判事にはあたりたくないものである.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 司法は腐り人権滅ぶ@ [bk1]司法は腐り人権滅ぶ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-31

裁判の判決においては結論としての主文とあわせてその結論がみちびかれた理由を記述することになっている. しかし,その理由が理由になっていないことがおおいという [Ino 08]. この問題を裁判官自身の努力によって解決することも不可能ではないだろうが,せっかく導入される裁判員制度をうまくつかうことで,よりよく解決することができるのではないだろうか.

つづく…

裁判員制度に関する本は多々あるが,本書はそれをその問題点を中心としてもっとも詳細に紹介している. 現在の刑事裁判は問題がないからかえる必要がないという意見もあるが,本書ではそこにおおきな問題があり,しかもそれが裁判員制度によってかえって悪化させられると主張している. しかし,著者らがめざすのは陪審制であり,裁判員制度を廃止してもとにもどせばよいとはかんがえていない. 陪審制がほんとうによいのかどうかは私にはわからないが,制度改革の一過程としての裁判員制度をよりよく理解するのに本書がやくにたつだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: えん罪を生む裁判員制度@ [bk1]えん罪を生む裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-29

逮捕歴 4 回の札付きのワルだった著者は改心したが,脅迫事件によってふたたび逮捕され,裁判で最高裁まで争い,さらに再審まで請求するが主張がみとめられていない. 裁判員制度に希望をつないでいるから 「裁判員に選ばれるあなたへ」 というタイトルをつけたのだろうが,この本の内容は裁判員制度とは無関係であり,だまされて買ってしまった. 意図がよくわからないまま長い文章をよまされるのは,いささか苦痛である. 残念ながら裁判員制度は著者をすくうのにはやくにたたないだろう.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: 裁判員に選ばれるあなたへ@ [bk1]裁判員に選ばれるあなたへ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-07-28

裁判員制度をわかりやすくひろめようというのはよいが,裁判員制度そのものについてはわずか 20 ページくらいしか書いていない. そのあとは判例を 60 個ならべているが,ひとつあたり 2~4 ページくらいなので,ほんのさわりしかわからない. もうすこししぼってくわしく解説したほうがよいのではないだろうか. そもそもなぜ判例を 60 個ならべたのか,その理由が書いてない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: みんなの裁判@ [bk1]みんなの裁判@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-06

まじめな本なのかどうかをうたがってしまうタイトルだが,月刊 「現代」 への連載をまとめた内容ということである. 裁判記録や他の文献にもとづいていて信頼できる. 陪審制を実現すべき制度としていて,戦前の日本における陪審制の評価もたかく評価している. 裁判において裁判官がなにをたよりにし,なにをかんがえるかということにもふみこんでいる. 裁判員になるひとが裁判官を理解するのにやくだつのではないかとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 司法崩壊@ [bk1]司法崩壊@Amazon.co.jp

つづく…

裁判員がおおきな負担を感じるのは死刑判決をだすときだといわれている.これはそのときのために準備するための本である.死刑か無期懲役かをきめるためにこれまでの裁判でつかわれてきた客観的な基準をあきらかにすることにもっとも重点をおいているが,あわせて,その妥当性についても議論している.

裁判官と裁判員との合議において,裁判官は裁判員に対してこれまでの基準にしたがうようにつよくもとめてくることが予想される.そのとき裁判員はどうしたらよいか? この本が重要なヒントをあたえてくれるだろう.

また,この本は文章だけで記述されているが,ここでしめされた基準を図式的に整理すれば裁判員にわかりやすいだろう.

評価: ★★★★☆

つづく…

2008-08-08

“おかしな” 民事裁判をあつめて解説している. 裁判官をこてんぱんに批判しているが,どういう対策をとるべきかはほとんど書いてない. とくに,裁判がおかしくなるおおきな原因として 「自由心証主義」 をあげているが,それについてもどうすればよいのか書いてない. 批判する理由も明確でないことがおおく,独善的であり非建設的である. おどろくべきことは,民事裁判ばかりを例にあげていながら,民事をあつかわない裁判員制度とむすびつけようとしていることである.

評価: ★☆☆☆☆

関連リンク: あきれる裁判と裁判員制度@ [bk1]あきれる裁判と裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-19

システマティックな情報分析法・思考法と裁判員制度」 という項目に書いたように,裁判のスキルがない裁判員にはスキルにかわる手段が必要である. その手段はわかりやすいものでなければならない. そのためには,べったりと文章によって記述されたものではなく,ダイヤグラム,表,図解といった視覚的な手段をつかうのがよいだろう. ここではまだまったく未完成のかたちながら,そういう手段の案をしめしてみたい.

つづく…

2008-08-24

アメリカで殺人事件の陪審員にえらばれた学者が,召喚されて陪審長とされてから無罪の評決をするまでを記憶をたどりながら書いている. 検察が被告が正当防衛でないことを証明できていないことが無罪とする理由だが,その結論を全員が支持するまでに 4 日かかり,その間にさまざまな経験をしている. 著者は陪審員にえらばれて自由をうばわれ,へたをすると投獄さえされかねない 4 日間の経験をした結果,国家にもっともおもい立証責任を課すべきであることを痛感し,それが無罪判決をささえている.

この記述のなかから,アメリカの陪審制度や裁判に関する問題点をかいまみることもできる. この陪審においては理知的な陪審長がうまく陪審をリードしているが,いつもそんなにうまくはいかないだろう. また,時間をかけて証拠品のビデオを再検討したりしているが,そうしなければ検察のいいぶんをそのままみとめてしまっていたかもしれない. こうしたことは裁判員制度についてかんがえるときにも,やくだつだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ある陪審員の四日間@ [bk1]ある陪審員の四日間@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-31

裁判員のための図式化された情報分析判定法の案」 においては,判決をくだすための情報分析法が裁判員に理解しやすいように図式的にしめされるべきだとのべた. そこでは第 1 のステップが有罪か無罪かの判定だとのべたが,そのための方法はしめせなかった. ここでは刑法の理論すなわち刑法総論にもとづいてその判定法についてかんがえる.

つづく…

2008-09-17

殺人事件の裁判をあつかっている. 裁判員制度に関する本は多数出版されているが,そのなかで裁判のながれを裁判員選任から判決までとおしてえがいているのは,最高裁発行の 「裁判員制度ナビゲーション」 という冊子をのぞけば,いまのところこの本だけのようである. 最後の部分で公判前整理手続きの問題点などにもふれているが,最低限である. たぶん読みやすさのために記述は十分でなく食いたりないが,現時点では類書がないことをかんがえると貴重である.

裁判官が理想的な対応をみせればこの本のように裁判はうまくいくかもしれないが,実際にはなかなかこうはいかないのではないかとおもえる部分もある. これほど理想化されていないストーリーもほかの本で読めるとよい.

争点が表にまとめられているが,実際の裁判でもこのような図表がうまくつかわれるとよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: エブリワン氏の「裁判員日記」@ [bk1]エブリワン氏の「裁判員日記」@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-28

仕事に役立つインテリジェンス」 (北岡 元 著) という本を読んだときにえたアイデアをもとにして,裁判員制度に貢献することができないかと,調査・研究してきた. その目的は 「システマティックな情報分析法・思考法と裁判員制度」 という項目に書いたが,ひとことでいえば裁判員が裁判官に対抗できるようにすることである. そのために,裁判員をガイドすることができる,マトリクスやフローチャートのような図式化された,わかりやすいしかけがつくれないものかとかんがえた. いろいろ本を読んでかんがえたが,まだほとんど,いりぐちに立っているところである. ここではこの研究について中間報告する.

つづく…

2008-11-19

アメリカ人であり弁護士である著者による裁判員制度と日本の政治や法律の批判の書である.

第 1 章においては,日本の法律や政治の非民主性が徹底的に批判されている. 日本の法律が国民のためでなく役所のためのものだということがつぎのような論理で説明されている. 「ある法律が誰のためにあるのかを知るには,その法律が誰の自由を制限し,誰に裁量の余地を残しているかが重要なヒントになると思う」. 日本の法律は曖昧でグレーだが,それは役所や警察が介入したり介入しなかったり,自由にふるまえるようになっていて,かつ市民がクレームをつけることが難しくなっているのだという. 「人権」 や 「三権分立」 に関するかんがえかた,刑事事件における自白の重視や個人情報保護法からウィニー事件やコンピュータウィルス作成者が逮捕された事件までも,こういう視点で痛烈に批判されている. これを読むと,日本はここまで非民主的な国だったのかとおもわされてしまうが,著者は 「多少大げさかつ簡単に書いてきた」 とことわってもいる.

第 2 章では陪審制度とはどういうものか,裁判員制度とはどうちがうかが説明されている. ここは比較的淡々と書かれている.

第 3 章はいよいよ著者による裁判員制度の解釈とそれへの痛烈な批判が展開されている. 著者によれば裁判員制度は 「裁判を十分理解していない国民がいけない」 ことが前提になっている. 法律の専門家は裁判員にはなれないことになっているので,深い法律知識がないことが裁判員になる条件であって,そういう国民のために 「分かりやすい事件」 だけを対象にしているという. 裁判員には守秘義務があり,それは裁判員をまもるためだと説明されているが,裁判官と裁判所が秘密の範囲を勝手にきめることができ,裁判官がなにをしても外部にもらされないようにするという,裁判官をまもり,裁判所に対する批判をなくすためのしくみだという.

しかし,それだけ痛烈に批判しながらも,著者は 「裁判員制度に反対しているわけではない. むしろ,うまく機能してほしい」 と書いている. これまで裁判官には被告人を有罪にしなければならないという圧力がかかる結果として 99% の裁判で有罪判決がいいわたされて冤罪がおおくなっていたが,「裁判員制度のおかげで,被告人を無罪にしても [中略] 裁判員たちがどうしても,ということだったので」 ということで無罪にすることができるようになるかもしれないという. 私もこれで,裁判員制度によって冤罪が減ることが期待できるとおもった. 著者はまた裁判員になることを 「義務」 ではなく 「権利」 とかんがえようと提案している.

この本は裁判員制度の解説書とはいえないので,それが 「どういうつもりで」 つくられたのかは,あらかじめ知っておく必要があるだろう. そのうえで読めば,解説書や日本人が書いた裁判員制度の批判とはまったくちがう視点をあたえてくれて,目からウロコというおもいをいだかせる. いろいろ裁判員制度やその周辺の法律の本を読んできたが,この本が一番のオススメである.

評価: ★★★★★

関連リンク: アメリカ人弁護士が見た裁判員制度@ [bk1]アメリカ人弁護士が見た裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-13

裁判員制度に関する本はおおいが,大半は法律の専門家が書いている. この本は理科系的な目からみた貴重なものである. 裁判員制度は市民の常識を裁判にとりいれる目的で導入されるのに,法律家の常識でしきられようとしていることへの疑問,グラフやマルチメディアに関する十分な知識がないままにそれらがとりいれられようとしていることの危険などは,他の本にはほとんど書かれていない貴重な指摘である.

また,法律家をはじめとするさまざまなひとにインタビューするなかで,「公判前整理手続き」 と 「被害者参加制度」 の問題点があきらかにされる. さらに,中坊氏が陪審制を主張したのにそれが裁判官や検察官の利益に反するために現在の制度になったという. いずれにしても,もはやとめられない裁判員制度に関する建設的な内容である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ニッポンの岐路裁判員制度@ [bk1]ニッポンの岐路裁判員制度@Amazon.co.jp

つづく…

2009-11-28

裁判員制度に関して私はいろいろ本を読み,しろうとながらも 「研究」 して,その結果をこのブログに書いてきた. 裁判員制度の導入には最初から賛成だったが,それをはじめるといろいろな問題がおこりうるということを想定して,いろいろかんがえてきた. しかし,実際にそれがはじまってみると,すくなくともいまのところはおおきな成功をおさめているようにみえる. 今後もいつもうまくいくとはかぎらないし,改善するべき点はあるし,それに私の 「研究」 結果がやくだつことをのぞむ. しかし,ともかく,裁判員制度が成功している現状をすなおによろこびたい.

つづく…

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