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Web とインターネット アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, Web とインターネット仕事と起業メディア・アート・イベント・エンターテイメントインタフェース,アメニティとデザイン思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境生活知的生産とリテラシー社会・経済秘密・プライバシー保護とセキュリティ言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

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2006-10-22

この本を読んだからといって満足できるデザインのブログサイトは,なかなか,つくれないだろう. この本の後半 (実践編) ではこまかいコンテンツ・デザインのための方法たとえばスタイルシートのかきかたなどが解説されているが,すくなくともアマチュアにはここまではできないとおもわれる. 私も Movable Type をインストールしたときにつくられるファイルを,よくわけもわからないまま変更して,およそ満足できるサイトをつくっている. そういう私にとっては前半の基礎編はそれなりにやくにたった. かんたんな例が多数かいてあるので,それをためせば Movable Type のしくみを理解することができる. タグに関する記述がないことなどは Web 上のタグ・リファレンスでおぎなう必要があったが,それ以外はだいたいこの本でまにあっている. もっとあたらしい版 (3.3 など) に準拠した本はあって,そのほうがよかったかもしれないが,私はわるくない本だとおもっている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Movable Type スタイル & コンテンツデザインガイド@ [bk1]Movable Type スタイル & コンテンツデザインガイド@Amazon.co.jp

つづく…

2006-10-25

本来のテンプレート集のよいところは,印刷された多種多様なデザインのなかから,自分がすきなものをえらべることにある. カスタマイズのしかたが書いてあれば,さらにそこから自分がすきなようにちょっとカスタマイズすることで,他人とはちがうデザインをつくることができる. ところが,この本には 77 個という,個数としてはわるくない数のデザインが写真つきで紹介されているが,それらは “ちょっとずつ” しかちがわない. WWW 上をみれば,ほんとうに多種多様なブログ・デザインがあることがわかる. それらのバリエーションの 5% 以下でもいいから,もっといろいろなデザインをとりあげていれば,この本はずっと価値のあるものになっただろう. 現在のままでは,自分でカスタマイズするときのたすけにはなるが,Movable Type の初期画面からあまりとおくにいくことはできない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: Dr. Blog の Movable Type スタイルデザイン & テンプレート集@ [bk1]Dr.Blog の Movable Type スタイルデザイン & テンプレート集@Amazon.co.jp

つづく…

2007-07-10

雑誌とはいっても,臨時増刊なのでほぼ全ページをセカンドライフにさいています. セカンドライフをやりたいとおもっているひとにも,やらずにみてみたいとおもっているひとにも,もっとも安価にセカンドライフをのぞいてみるには,これをみるのが最適でしょう. ほかに安価なものとしては新書がありますが,やはり写真をいろいろみてみないとわかりません.

評価: ★★★★☆

関連リンク: セカンドライフのすべて 週刊アスキー 2007年 7/24号 臨時増刊 [雑誌]@Amazon.co.jp

つづく…

2007-09-29

本書は YouTube がうまれたいきさつや背景について語っている. 240 ぺージほどの本のなかで YouTube そのものについて書いているのは 40 ページくらいでしかないが,なぜ 「燃える 3 人組」 が成功したかがえがかれている. そして,その背景にある 「ビデオ・ハイク (俳句)」 やテレビとの関係,著作権問題,そして果ては中国,BRICs,日本の将来まで,はばひろい話題がとりあげられている. でも,YouTube の話はそれだけですか?

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: YouTube はなぜ成功したのか@ [bk1]YouTube はなぜ成功したのか@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-01

本書はおもにインターネットがもたらした変化,とくに言論のフラット化 (匿名でも権威があっても 「何を言ったか」 だけで判断される) と,ウィキペディアなどにおいて意見の集約が困難になっいること,セレンディピティによって人と人とが出会いやすくなったことについてのべている. しかし,それと同時に日本において 2000 年代前半に 「戦後世界」 のわくぐみとそれを象徴する共同体が完全に崩壊した崩壊したことによって人々がばらばらにされたこともフラット化のひとつであり,それが 「出会い系」 へののめりこみを生んでいることも指摘している. このようなネットだけにとらわれないはばひろい視野はまなぶ価値がある.

評価: ★★★★★

関連リンク: フラット革命@ [bk1]フラット革命@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-06

最近,自分のブログに関してもっと反応をもらいたいとおもいはじめたことをきっかけに,ながらく,つん読していたこの本をよむことにした. この本では 11 人のアルファ・ブロガーへのインタビューの結果が書かれているが,その意見は,当然のことながら,さまざまである. 読者をつよく意識して書くひともいるし,自分のためのメモというつもりで書くひともいる. しかし,読者を意識しているといっても,新聞や雑誌に書くのとはちがって読者からの直接の反応をきくことができる. まだまとまっていないかんがえを読者にぶつけることもできる. ほかにもさまざまなことが書かれている. 私自身は結局,反応をえるために特別のことをするのではなく,自分のポリシーをつらぬいて待つべきなのだと悟った.

評価: ★★★★☆

関連リンク: アルファブロガー@ [bk1]アルファブロガー@Amazon.co.jp, 「ブログと画像の親和性」.

つづく…

2007-10-07

著者は元毎日新聞記者であり,現在もフリー・ジャーナリストである. その経験をいかして,記事や提案書などを書くためのインターネットからの情報収集の方法を書いている. その方法はまず,直観的な世界把握 (クオリア) をもとに,必要な情報要素と取材先を縦横にならべたマトリックスをえがいて全体像を把握する. そして,4 種類のインターネット情報源,つまり新聞や雑誌の (有料) 記事データベース,一般のウェブサイト,個人や企業のブログ,2 ちゃんねるなどのネット掲示板をこの順に調査していく. インターネットをつかった調査は拡散的になりがちなので,「ニューロン型」 という方法をすすめている. これは,拡散的な調査法と直線的な調査法とをくみあわせた方法である. そして,調査途中でのいきづまりをセレンディピティ (偶然の出会い) によって克服することについても記述している.

インターネットで情報収集しているひとは,ある程度はここに書かれたのとちかい方法で情報収集しているだろうが,かならずしも著者ほど確立された方法にしたがっているわけではないだろう. おおくのひとにとって,ここからまなべる点はすくなくないものとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 3 時間で「専門家」になる私の方法@ [bk1]3 時間で「専門家」になる私の方法@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-09

本書においては,一般市民がブログを通じてジャーナリズムに参加できるようになったいまジャーナリズムがどうなり,また将来どうあるべきかという点を論じている. 著者のジャーナリストとしてのこれまでの経験,ジャーナリズムがこれからどうなっていくのか,プロのジャーナリストや新聞社はどうするべきなのか,などなど,さまざまな問題があつかわれている. しかし,よみおわってみて,雑然とした印象しかのこらない. 前著 「ネットは新聞を殺すのか」 を出版したあと,著者は 「不完全燃焼のような思いを抱いていた」 とあとがきに書いているが,本書においてもまた不完全燃焼におわっているようにみえる. むずかしい問題が山積しているので,不完全燃焼するのはやむをえないのだろうが,もうすこし明確な主張をもりこんでほしかった.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ブログがジャーナリズムを変える@ [bk1]ブログがジャーナリズムを変える@Amazon.co.jp

つづく…

技術中心にブログについてひととおり語っている. 200 ページ強のコンパクトな本のなかに,ブログ誕生の背景から IT 基礎知識,構造,アフィリエイトなどのビジネス,ツールの導入と利用などの話題がつめこまれている. 理科系でないと理解しづらい部分もあるが,それをとばして読んでも価値があるとかんがえられる. ただし,ここには決して 「ブログのすべて」 が書かれているわけではない. たとえば,ここに書かれているカネ (ビジネス) の話におどらされないためには,ほかの本でブログを書く姿勢などについてまなぶ必要があるかもしれない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ブログのすべて@ [bk1]ブログのすべて@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-13

ブログの本は多数あるが,文章のかきかたについての本はほとんどない. したがって,本書は希少なものだといえる. とはいっても,本書ではブログの文章を特別なものとかんがえているわけではなく,まずコラムとエッセイに分類し,エッセイのかきかたとして 「枕草子」,「方丈記」,「徒然草」 という 3 つのコースからえらぶことをすすめている. 非常に古典的な分類だといってよいだろう. しかし,文章法について書いているにしては文章構成について書いてないのが弱点である. 後半はブログの内容を出版することからはじまり,小説のかきかたまで書かれている.

全体をとおしてみると,中途半端だという印象がぬぐえない. エッセイはともかくコラムはどう書けばよいのかもよく書いてない. 著者は小説家なので小説へのおもいいれが書かれているが,ブログをもとにしてどうやって小説が書けるのかもわからない. 著者の文章とくに小説に関する古典的なかんがえかたとブログというあたらしいスタイルとのミスマッチを解くことができない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「書ける人」になるブログ文章教室@ [bk1]「書ける人」になるブログ文章教室@Amazon.co.jp

つづく…

書店でみたら,私だったら手にとるのをためらってしまいそうなカバーがついている. また 「ブログ魂」 という,読んでもなお理由のわからない書名がついている. しかし,内容はすばらしい. 本書ではつぎのようにブログに 2 種類の分類をあたえている.

A: Q & A 系,B: ホームページ系,C: 掲示板系,D: 日記系

1: 情報系,2: 共感系,3: エンタメ系

自分のブログがどれにあたるかをかんがえれば,これからどうすればよいかもみえてくるというわけである.

本書でもっとも価値があるのは,どうすればブログをもっと読んでもらえるか,コメントがもらえるか,トラックバックをどう利用したらよいか,他のブロガーとつながることができるか,などに関する記述である. これらについては類書にないくらいさまざまな内容が書かれている. たとえば,タイトルひとつにしても,10 種類に分類して論じている. 読んでもらうためには投稿する時間までかんがえたほうがよいと書いている. 他のブロガーとのつながりに関しては,「ブログ・コネクター」 になること,「ハブ・ブログ」 とつながることをすすめている. ほかにもさまざまなことが書かれている.

最近ブログに関する本をあつめていろいろ読んだが,この本が一番,私が知りたかったことにこたえてくれた.

評価: ★★★★★

関連リンク: ブログ魂@ [bk1]ブログ魂@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-28

著者は 「グーグル」 (文春新書) という本などで Google のすごさを指摘してきた. 本書でも商品検索において Google が楽天などの顧客をうばってしまう可能性を指摘している. しかし,本書ではむしろ Google の支配にほころびがみえること,すなわちその信頼性がゆらぎ,グーグルラボから先進的なサービス,Web 2.0 的なサービスがうまれにくくなっていることなどを指摘している. そして,あたらしいサービスの可能性を,Google モデルが適用できない YouTube,ニコニコ市場,Twitter などにみている. これらで実現されている会話と独白がいりまじった非同期的なコミュニケーションが支持されていて,それをビジネスにすることができた企業がつぎの覇者になるという.

この種の本では現在のコミュニケーション・スタイルや現在の覇者を未来に延長しようとしていることがおおいが,本書ではもっとさきをみようとしている. 刺激的な本である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ネット未来地図@ [bk1]ネット未来地図@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-29

Web をあまりつかわないひとにはもちろん,つかっているひとでも Web 上でおこっていることの全体像はみえにくい. 「炎上」 という現象についても,炎上しているところにぶつかることはあるとしても,その原因や過程をおいかけることは,ふつうの Web ユーザにはなかなかできないだろう. 著者はそういうひとたちにもわかるように,炎上やサイバーカスケードや他のさまざまな現象を分析してみせるだけでなく,この世界の用語をゴシック体にしてめだつように本書のなかにちりばめて教養主義的に解説している. これまでモヤモヤとしかわかっていなかった Web 上の現象が,本書を読めばもっとはっきりわかるようになるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ウェブ炎上@ [bk1]ウェブ炎上@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-31

Amazon.com (アマゾン・ドット・コム) はロングテールによって利益をあげている Web 2.0 の代表選手とみなされています. そして,このロングテールはいまでは Amazon がもつ巨大な物流倉庫にささえられています. しかし,もともとの Amazon はこんな巨大資本にたよるやりかたをしていませんでした. そして,いまでも古書に関しては Amazon の出発点にちかいやりかたをとっています.

つづく…

2007-11-02

本書は Amazon や Google のさきをさぐろうとしているが,このテーマではおなじ著者が 「ネット未来地図」 という本を書いていて,そちらのほうがおもしろい. 本書はまだ Google のつぎにせまれていないようにおもわれる. むしろ,本書のおもしろいところは第 1 章,Web 2.0 ということばがまだなかった時代に Web 2.0 の世界にせまってきたさまざまなベンチャーについての記述である. これからベンチャーをおこそうとするひとにとっても価値のある記述だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 次世代ウェブ@ [bk1]次世代ウェブ@Amazon.co.jp

つづく…

他の入門書とちがって,本書は実際にコンピュータにコマンドをうちこみながら,IPv6 を IPsec を中心にまなんでいくことができる本である. さわってみてはじめてわかることもすくなくない. しかし,いま,さわりながらまなぶとしたら,Windows XP や Windows Vista をつかいたいひとが多数だろう. この本は KAME (カメ) プロジェクトの IPv6 実装を前提としているので,読者は Free BSD をのせたマシンを用意する必要がある. Linux に IPv6 を実装した USAGI (ウサギ) プロジェクトはこの本が出版される約 2 年前にはじまっているが,それへの配慮もない. したがって,かなり,つかいにくい本だということはいえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 使って学ぶ IPv6@ [bk1]使って学ぶ IPv6@Amazon.co.jp

つづく…

本書は入門書としてできるだけていねいな記述をこころがけているとおもわれる. IPv4 と IPv6 とのちがいもよく説明されている. 実験システムやコマンドの記述もあるので,読者もそれをためしてみることができるだろう. ルーターが必要なところでは Free BSD をのせた PC が必要だが,ほかは Windows XP でためすことができる. ただ,文章の完成度や記述の正確さではいささか疑問がある. また,本書は 2003 年に出版されているが,その後 IPv6 は改訂されているので,最新情報はほかの本などにたよる必要がある.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 入門 IPv6 ネット@ [bk1]入門 IPv6 ネット@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-04

2007 年 10 月時点での日本語の本としては,IPv6 の最新仕様に関する唯一のものであり,また入門書には書いてないややくわしいことを知ろうとしたときにもほとんど唯一のものである.500 ページをこえる分量であるが,日本人が書いた筋肉質の本とくらべるとエピソード的な内容が随所にふくまれていて,刺激的である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: IPv6 エッセンシャルズ@ [bk1]IPv6 エッセンシャルズ@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-07

本書の一番のテーマは,Web 2.0 によって社会は 「フラット化」 するといわれているが,Google や Amazon は一極集中している,「ロングテール」 といわれる現象も Amazon のように巨大な在庫をもつことによって実現されているということである. この論旨をささえるためにスケールフリー・ネットワークの理論まで,もちだされる. 著者は多様なものや異質なものをみとめることによって,こうした傾向に歯止めをかけたいとかんがえているが,そのためのみちすじはあきらかにされていない. この本の結末は悲観的にみえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: グーグル・アマゾン化する社会@ [bk1]グーグル・アマゾン化する社会@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-13

本書は,おおくのひとびとが Web などをつかって共同で創造していくさまざまなしかけをとりあげている. そのうちのいくつかは,ほかの本や Web などを通じて,すでにおなじみになっている. しかし,「サイエンス 2.0」 などについては,まだ日本ではあまり議論されていないようにおもわれる.

また,本書を読めばウィキノミクスの弱点もわかってくる. たとえば,「ピアリング」 が機能するための条件のひとつとして生産物が部分に分割できることがあげられているが,これは複雑系のように分割できないものはウィキノミクスでつくりにくいことを意味している. いろいろと興味ぶかい内容をふくんだ本である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ウィキノミクス@ [bk1]ウィキノミクス@Amazon.co.jp

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2007-11-14

アルファ・ブロガーらによる対談集である. 出版されてからすでに 2 年,そのあいだにブログは急速に普及して,本書の内容は現在の日本の状況にはあわなくなってしまった. また,対談中心であるために,いささか内容がうすいという印象がある. さらに,章のタイトルは対談の内容からははずれている. 対談を無理に 20 ページくらいずつ切ってタイトルをつけているという印象をうける.

タイトルはブログにフォーカスしているが,最初の何章かは新聞や新聞記者の批判が中心になっている. むしろ,この部分は現在でもふるくなっていないので,興味がもてる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ブログ・ジャーナリズム@ [bk1]ブログ・ジャーナリズム@Amazon.co.jp

つづく…

2007-11-15

インターネットに関する本で 5 年前に書かれたものといえば,通常はもう陳腐化している. しかし,本書は 5 年たったいまでも示唆に富んでいる. 3 章では “現在” の若者の労働観が 「遊ぶように働く」 スタイルだと指摘し,それとハッカーの労働観とむすびつけている. 最近,仕事と遊びを区別しない,公私をはっきり区別しない生き方を肯定するひとがふえているとおもわれるが,そのルーツがハッカーにあるという指摘は,私自身をかんがえても納得がいく. 本書のなかには最近の 「環境管理型アーキテクチャ」 論につながる内容もあり,これも興味ぶかい. 興味をひかれる点はほかにもいろいろある.

評価: ★★★★★

関連リンク: 暴走するインターネット@ [bk1]暴走するインターネット@Amazon.co.jp

つづく…

2007-12-01

2002 年におなじ監修者によるおなじタイトルの本が出版されているが,2007 年に出版された本書においては,内容・著者とも一新されている. 一応 IPv6 の初歩から書いてあるが,第 2 章以降を理解するためには基礎に重点をおいた他の本などで知識をえておく必要があるだろう. この本はすでに IPv6 についてある程度知っているひとが携帯電話,WiMax,Windows Vista など,他の技術と IPv6 との関係が知りたいときに読むのに適しているとかんがえられる. おおくの著者によって書かれているのでひとつの話題があちらこちらに分散されているが,それは逆につまみ食いしてもよいということでもある.IPv6 に関する 「雑学」 のためにはよい本だといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: IPv6 教科書@ [bk1]IPv6 教科書@Amazon.co.jp

つづく…

2007 年におなじ監修者によるおなじタイトルの本が出版されているが,2002 年に出版された本書とは,内容・著者とも一新されている. 2007 年版がさまざまな応用に重点をおいているのに対して,本書は基礎により重点がある. ただし,IPv6 に関する基礎的な内容が第 1 章と第 5 章とに泣きわかれている. モバイル技術や IPv4 との共存に関する技術がとりあげられている点は 2007 年版と共通しているが,それらをのぞけば比較的 2007 年版との重複はすくない. Windows における IPv6 も両方でとりあげられているが,2007 年版では対象が Vista であるのに対して本書では XP であるから,両方を必要とするひともいるだろう. もはや古書としてしか入手できないが,いまでも価値のある本だとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: IPv6 教科書@Amazon.co.jp

つづく…

2007-12-24

この本の中心的な思想はヒマネンらの著書 「リナックスの革命」 におけるような 「ハッカー倫理」 が今後,世界にひろがっていくというかんがえである. したがって,この本やそれに関連する本を読んでいれば,この本の内容に特別,めあたらしいことはない. しかし,著者は自分の経験や思考をそこにかさねているので,それだけ迫力がある. 自分の生き方を根本的に見直す気がある読者にとっては,よい機会をあたえてくれるかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブ時代をゆく@ [bk1]ウェブ時代をゆく@Amazon.co.jp

つづく…

2007-12-29

本書では約 300 ページかけてパケット・フィルタリングについて解説している. パケット・フィルタリングとはどういうものか,なにをフィルタするのか,どういう効果があるか,などの点について,ていねいに解説している.

しかし,そもそもパケット・フィルタリングの目的に関する記述が希薄である. パケット・フィルタは QoS のためにもつかうが,読んでいくと,QoS 保証につかうつもりはないらしいことがわかってくる. 目的を明確にしないままでは,読者はどこにつれていかれるのか,わからない. ネットワークやサーバをインターネット上の脅威からどうやって保護すればよいのか,その実践的な方法に関しては最後までわからないままである. どういう読者を想定しているのか,わからない. すくなくとも実践的には価値のない本である.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: パケットフィルタリング入門@ [bk1]パケットフィルタリング入門@Amazon.co.jp

つづく…

2008-04-12

この本を読むと,著者が学生のころから夢をえがき,まわりのひとびとをまきこんで,それを実現しようとしてきたことがわかる. あるときは自分の夢ばかりを追ってまわりのひとへの配慮がたりなかったために失敗している. そういうよわみももった人間が,夢をもちつづけて,つよみをいかしてオーケイウェブという Web サイトをつくり,さまざまなツールを開発していく過程がえがかれている. えがかれた過程からは,彼の成功は単なる偶然ではないことがわかる. おおくの日本人がもっていないものを彼はもっている. それが成功の秘訣だとおもえる. この本からそれを知ることができる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: グーグルを超える日@ [bk1]グーグルを超える日@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-09

著者があげている 「5 つの定理」 すなわち 「アントレプレナーシップ」,「チーム力」,「技術者の眼」,「グーグリネス」,「大人の流儀」 はたしかにこれから Web などでなにごとかをしようとするひとが知っておくべきことだろう. しかし,これらは未来よりは過去につながっている. 「未来を切り開く!」 ためには,これだけでは十分とはいえないだろう. これらをヒントにするのはよいが,とらわれないほうがよいようにおもえる. それから,技術者である私の眼には,著者がいう 「技術者の眼」 はちょっとずれているようにおもえる. このあたりは,やはり技術者が書いているものをみたほうがよい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブ時代 5つの定理@ [bk1]ウェブ時代 5つの定理@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-13

(Web ではなくて) テレビや新聞に関するちょっとおもしろいエピソードがいくつか目にとまったが,Web に関してはそれほど新鮮な話はなかった.ちょっと散漫な印象であり,なにがいいたいのか,あまりよくわからない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: グーグルが日本を破壊する@ [bk1]グーグルが日本を破壊する@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-23

地域活性化のために (Web にかぎらない) インターネットなどを利用した例を 6 件ほど紹介している. 実践例を紹介するだけでなく,それにさきだって大店法や 「まちづくり三法」 の失敗など,政治や社会を分析し,それをのりこえて地域情報化をはかるための理論をしめしている. さきに理論だけが紹介されているため理論だおれなのではないかとおもったが,例の紹介のなかできちんとそれがフォローされている.

とはいえ,こうしたとりくみはまだはじまったばかりであり,この理論がただしいにせよ,まちがっているにせよ,この本がさらにいろいろなこころみがおこなわれていくきっかけになればよいのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブが創る新しい郷土@ [bk1]ウェブが創る新しい郷土@Amazon.co.jp

つづく…

楽天の取締役たちへのインタビューを中心として,楽天の経営者のひととなりをうきぼりにしている. それをつうじて楽天の経営方針などもしめされるが,人物をえがくことが中心であるため,技術についてはほとんど書かれていないし,経営についての記述も散漫な印象をうける. 「楽天の研究」 というタイトルをつけるからには,もうすこしひろくカバーしてほしいとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 楽天の研究@ [bk1]楽天の研究@Amazon.co.jp

つづく…

2008-05-31

240 ページしかないので,すべての疑問点にこたえてくれるとはいえないが,PukiWiki をつかいはじめるとき一読するにはよい本だとおもう. しかし,セキュリティに関する記述はほとんどない.イントラネットでつかうならこれでもよいかもしれない. だが,「まとめサイトをつくろう!」 という副題からするとインターネット上での使用を想定しているのだろうから,最低限のことは書くべきだろう. PukiWiki じたい,digest 認証に対応していないなどセキュリティ上の弱点があるが,それならなおさら注意が必要だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: PukiWiki入門@ [bk1]PukiWiki入門@Amazon.co.jp

つづく…

2008-06-12

この本のタイトルからは,いかがわしい雰囲気がつよく感じられる. しかし,内容は三木谷のおいたちから興銀就職,MBA 取得,孫正義との出会い,楽天のたちあげ,楽天球団誕生,フジテレビ問題などをまじめに論じていく. なぜこのようなタイトルをつけたのか,不明である. 三木谷と孫,ホリエモンなどとの関係やちがいの記述をはじめ,おもしろいエピソードはいろいろ書かれているが,280 ページほどのなかであまりにおおくのことを書いているので,食い足りないのはやむをえないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: “教祖” 降臨@ [bk1]“教祖” 降臨@Amazon.co.jp

つづく…

2008-08-12

この本がとりあげている問題は重大である. 子供がケータイを何にどのようにつかっているかを分析し,ネットいじめ,ケータイがもたらす心理的な罠,フィルタリングの問題などについて論じている. しかし,子供をすごく,とおくから見ている印象だ. 直接,子供にきいたナマの情報というのはないようにみえる. こういう情報はもう聞きあきたし,そういう本ならほかにも,いくらもあるようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ケータイ世界の子どもたち@ [bk1]ケータイ世界の子どもたち@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-03

ウィキペディアのさまざまな問題点を教育現場を中心としてえがいている. それほどあたらしい視点があるわけではないが,「ウィキペディアは上下両院の全てのコンピュータから行われる修正をブロックすることにした」 など,知らなかった内容もいろいろあった.

本書でもウィキペディアと従来の百科事典との比較をしているが,ウィキペディアの混乱の原因はむしろウィキペディアが百科事典のふりをし,百科事典だとおもわれていることにあるとかんがえられる. しょっちゅう書きかえられるものがリファレンスとしての百科事典であるはずがない. 最後の章は 「ウィキペディアの賢い利用法」 にあてられているが,そのことに気づけば 「賢い利用」 ができるにちがいない.

この訳書にはちいさな活字で 41 ページにもわたる 「解説」 がつけられている. しかし,これは解説ではなくて独立の内容であり,なぜ本書の末尾につけられているのか,よくわからない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウィキペディア革命@ [bk1]ウィキペディア革命@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-04

著者は 「Google = アメリカ」 とみなし,それに対抗しうるヨーロッパの検索エンジンや図書データベースなどをつくることを主張している (アジアやアフリカはどうなるのだ?!). しかし,そこには Google に対抗しうるあたらしいものがあるようにはみえない.

Google によって文化の多様性がうしなわれることへの危機感は理解できる. しかし,Google とのちがいをもっと明確にしなければ,対抗するものをつくったとしても多様性はえられないだろうし,したがって成功しないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: Google との闘い@ [bk1]Google との闘い@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-07

ひとが情報にアクセスするときの枠組みあるいは文脈を著者は 「情報共有圏 (インフォコモンズ)」 と呼んでいる. このことばじたいは 「場所」 とむすびついているが,著者はむしろひとのグループとむすびつけている. 情報検索における絞り込みも情報共有圏のひろさを制御するものだととらえている. いずれにしても,きわめてあいまいな概念である.

著者はユーザごとにこの情報共有圏を適切に選択するためのしかけが 「暗黙 (インプリシット) ウェブ」,たとえばフェースブック・ビーコンのようなしかけだという. そこでは情報共有圏を適切に設定するためにさまざまな技術がつかわれるが,困難がおおく,たとえばマイクロソフトはベイズ理論をつかったユーザ支援で失敗している. そこで著者は Web 3.0 を登場させ,さらに考察をかさねている.

いろいろな知識が動員されくみあわされているが,それで現在の状況になにがつけくわえられ,問題が解決されるのか,私には理解できない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: インフォコモンズ@ [bk1]インフォコモンズ@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-09

本書では日本語版のウィキペディアでおこった事件,管理者の仕事のたいへんさや管理者になるひとがすくない現状などが書かれている.事件に関しては部分的には知っていたが,10 件をこえる事件や 10 人をこえる問題ユーザの解説を読むことで全体像を把握することができた.

解決のむずかしい問題もあるが,いまのところはそれほど深刻な状態ではない. 日本語版に特有の問題もあり,他言語版とはちがう発展のみちをたどる可能性も示唆している. 末尾の 「ウィキペディアはどこに向かうのか」 では 「百科事典的だが,既存の百科事典の価値を超える何か」,「他に代用のきかない何か」 がうみだされると予想しているが,それははっきりとことばで表現されてはいないとしても,すでにあるように私にはおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウィキペディアで何が起こっているのか@ [bk1]ウィキペディアで何が起こっているのか@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-12

本のタイトルにはウィニーはあらわれていないが,目次をみると 4 つの章のうちの 3 つにウィニーがあらわれている. それだけ,ネットにおける情報共有・セキュリティ・匿名性についてかんがえるとき,ウィニーの存在がおおきいということだろう.

第 1 章は完全にウィニーにあてられ,開発のいきかさつから著作権問題,情報漏洩問題,そして 47 氏の逮捕・判決までがかたられる. 第 2 章以降はもっと範囲をひろげて,P2P,インターネットの可能性,コモンズ,著作権,匿名性などの問題がかたられる.

ウィニーに関する本は,47 氏つまり金子氏本人のものもふくめて他に数冊あるが,そのおおくはハウツー本や一部の問題だけをあつかったものである. そのなかで,本書はウィニーが提起したさまざまな問題の全体像をとらえている貴重な本である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: アウト・オブ・コントロール@ [bk1]アウト・オブ・コントロール@Amazon.co.jp

つづく…

2008-09-23

この本のタイトルをみたとき,なぜいまさらこんなタイトルをつけるのだろうとおもった. 「ブログ論壇」 が話題になったのはもうずいぶんまえのことだ. 実際,読んでみると章のタイトルにはいちいち 「ブログ論壇」 がついているが,内容はかならずしもそうでないことがわかる.

とりあげられている問題はマスコミ関係として,毎日デイリーニュースの低俗記事問題,あらたにす,ウィキスキャナー,いくつかの政治がらみの問題,秋葉原事件,ケータイ論壇,青少年ネット規制法などなど. 種々雑多でつっこみもよわいので,全体としては雑然とした印象しかあたえない.

佐々木 俊尚 というネット・ワッチャーがみたネットのすがたという意味では価値があるのだろう. しかし,もうすこしつっこんだ議論をするのでなければ,価値ある議論とはいえないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ブログ論壇の誕生@ [bk1]ブログ論壇の誕生@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-06

第 1 章は新聞とネットとのたたかいについて書いている. 質のたかい情報にカネをはらうひとは新聞を支持するというが,問題はその数がどのくらいかということだろう.

第 2 章はひとびとがネットにカネをはらわなくなってことなどについて書いている. 「国民の総専門家化」 など,さまざまな話題がふくまれているが,消化不良の感がある.

第 3 章はホリエモンについていろいろ書いている. なにがいいたいのかは,結局,よくわからない.

第 4 章は SBM (ソフトバンク・モバイル) による携帯業界へのなぐりこみについて書いている. 著者は SBM の将来には悲観的だ.

第 5 章はネットの中立性とネット無料文化のみなおしについてであり,ここでも著者は Yahoo! BB による xDSL ビジネスに批判的である.

いろいろなことが書いてあるが,数値的におさえられている部分は比較的すくなく,なにが真実なのかわからない. ただ書き散らしているだけという印象はぬぐえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 情報革命バブルの崩壊@ [bk1]情報革命バブルの崩壊@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-17

Google を他のさまざまな Web サイトや企業との関係を中心にえがいている. つまり,ほとんどのプロジェクトが日の目をみることがないシリコンバレーのなかでどうやって成功し,どうやって同業他社に勝ち,どのように買収されたか,あるいは買収したか,などである. 最初はメール削除ボタンがなかった G メールにどういういきさつでそれが追加されたというようなエピソードもおもしろい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: プラネット・グーグル@ [bk1]プラネット・グーグル@Amazon.co.jp

つづく…

2009-03-31

日本語のタイトルをみるとクラウド・コンピューティングの本だと誤解してしまうが,原題は “The Big Switch ― Rewriting the World, from Edison to Google” である. つまり,実際は Google, YouTube など,インターネット上での無償サービスを電力供給サービスと対比し,その可能性や危険を論じている. しかし,第 2 部のタイトルは “Living in the Cloud” であり,これらのインターネット・サービスのほうがいわゆるクラウド・コンピューティングよりもその名にふさわしく,未来をさししめしているのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クラウド化する世界@ [bk1]クラウド化する世界@Amazon.co.jp

つづく…

2009-04-09

クラウド・コンピューティングをちゃんと定義し,グリッド・コンピューティングやユーティリティ・コンピューティングなどの類義語とのちがいを明確化するなどして,クラウド・コンピューティングというものがクリアにわかるようにしている. そして,グーグル,アマゾン,ヤフー,マイクロソフト,IBM などの企業がどういう戦略をもってそれにのぞんでいるかを分析している. しかしながら,内容は常識的であり,それ以上に注目するべき内容がふくまれているわけでないのも事実である.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クラウドの衝撃@ [bk1]クラウドの衝撃@Amazon.co.jp

つづく…

さまざまな情報を実世界や WWW からみつける (みつけられるようにする) ことに関する本である. カラー写真を駆使して論じる個々の話題はおもしろい.しかし,それらの関係はアンビエントである. 「アンビエント・ファインダビリティ」 ということばの意味もよくわからないままである. もうすこしはっきりしたものがほしい.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: アンビエント・ファインダビリティ@ [bk1]アンビエント・ファインダビリティ@Amazon.co.jp

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2009-04-16

著者は 「学校裏サイト」 に関する報道が偏見にみちていることをするどく批判する. いじめや危険が強調され,そのプラスの面をみていないという. そして,「学校裏サイト」 の実態をただしくしめすためにいろいろな統計が引用されている. しかし,それらの統計は著者の議論をうらづけるにはよわい. また,ケータイを 「教育の妨げ」 とする議論を 「「教える側」 の能力や方法論の欠如」 と批判している. しかし,ここでも感覚的な批判にとどまっている. もっと迫力のある数値にうらづけられた説得力のある議論をしないかぎり,現状をかえることはできないだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ネットいじめ@ [bk1]ネットいじめ@Amazon.co.jp

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2009-06-01

著者がいうには,ネットでは 「バカ [= モンスター ?!] と暇人」 によって,ちょっとしたことで炎上がおこるから,自由には書けない. それはそうだが,モンスターがいるのはネットだけではなくて,患者や児童・生徒の親や,そのほかいろいろなところにいる. だが,もの書きにとっては新聞・雑誌などの従来のメディアでは彼らが著者を直接攻撃できないように保護されているのに対して,ネットでは彼らを直接相手にしなければならないということだろう. だから 「ネガティブな書き込みをスルーする耐性が必要」 と著者も書いているが,なかなか実際にはそうはいかず,サイトを閉鎖したりするハメになる.

ネットに期待をもてない著者は 「ネットでバカなこと,B 級なことができないのであれば,ネットでは最低限の情報公開を除き,何もすべきではない」 とまで書いている. しかし,かきこみの量では 「バカと暇人」 に勝てないものの,従来のメディアには書けないか書きにくいことに関する賢い読み手やコメンターもいるのだ. 何もしなければ,そういうひとたちとめぐりあうこともできない. ネットに対してあまりに悲観的なこの議論に同意することはできない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ウェブはバカと暇人のもの@ [bk1]ウェブはバカと暇人のもの@Amazon.co.jp

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2009-09-04

ローレンス・レッシグがつかいはじめた意味での 「アーキテクチャ」 は,権力がひとびとを規制するためというネガティブな意味をおびていたが,著者はそれをもっとポジティブにとらえようとしている. ミクシィ,ウィニーなどの P2P ソフト,ニコニコ動画,初音ミクなどがとりあげられて,アーキテクチャという観点から論じられる. あたらしい視点のはずだが,そのわりには新鮮味が感じられない. 著者の議論をすでにブログなどでみているせいかもしれないが…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: アーキテクチャの生態系@ [bk1]アーキテクチャの生態系@Amazon.co.jp

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2009-09-11

Apache のインストールからログ解析,セキュリティ対策,運用管理などについて書いている. Web サーバへのいろいろな脅威,つまりストリーミング配信やロボットなどに対する対策や,ユーザの追跡のしかた,時計管理の方法なども書かれている. もはや最新の情報ではないので,現在ではあたらしい脅威もあるだろうが,おおくの点は現在でもやくにたつし,ほかの本にはあまり書いてない点も参考になるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: Webサーバ・メンテナンス@ [bk1]Webサーバ・メンテナンス@Amazon.co.jp

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おなじ 「最強の自宅サーバー」 というタイトルで Fedora によるサーバ構築の本もある. それとくらべると,この本のほうが XAMPP というツールをつかうことによって手順がかんたんになり,そのぶんだけ外向けのサービス構築の記述にちからがはいっている. 実際に外向けにサービスを提供するにはもっとセキュリティ対策などが必要になるが,記述のバランスとしてはよいようにおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 最強の自宅サーバー@ [bk1]最強の自宅サーバー@Amazon.co.jp

つづく…

Fedora のインストールは初期にくらべるとよりかんたんになった. しかし,それでもこの本を最初から読んでいくと,まずインストールと OS の設定でかなりのページをさいているので,(何 10 回もインストール経験がある私でも) ハードルはたかいと感じてしまう. おなじ 「最強の自宅サーバー」 というタイトルのべつの本にある Windows によるサーバ構築のほうがかんたんにみえる. しかも,メールサーバなど,内向きの設定に関する記述がおおくて,Web のような外向きの機能の記述はすくない. 初心者にはやはり Windows のほうがよいのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 最強の自宅サーバー@ [bk1]最強の自宅サーバー@Amazon.co.jp

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ウィキペディアの歴史をていねいに追い,これまでに経験してきたさまざまな危機やその他のエピソードについても書いている. ユニコードの成功によりうまく国際化されてきたこと,日本語版の特徴や成長のかげりなどもあつかわれている. 著者はウィキペディアの将来については楽観的ではない. ふくれあがったユーザをうまくあつかうためにルールが複雑化し,「ウィキペディア・コミュニティは,ゆっくりと死に近づいているカエルのようなものかもしれない」 とまで書いている. 「ブリタニカはウィキペディアから学ぼうとしている. ウィキペディアは,ブリタニカから何を学ぼうとしているだろうか」 という記述も示唆的だ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ウィキペディア・レボリューション@ [bk1]ウィキペディア・レボリューション@Amazon.co.jp

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ドロップシッピング一般の解説ではなく,Seesaa DS というドロップッピング・サイトのつかいかたに関する本である.このサイト固有の操作の説明などに 80 ページちかくをついやしている.もっとも,Seesaa DS はそんなに特殊なやりかたをとっているわけではないので,それをつかわないひとにとってもこの部分はひとつの例としての意味があるだろう.

それでも,操作の説明にウェイトがおかれているために,ほかの部分はほぼ一般的な説明だけについやされて,ドロップシッピング固有のノウハウなどを知るには他書を読む必要があるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ドロップシッピングスタートブック@ [bk1]ドロップシッピングスタートブック@Amazon.co.jp

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2009-09-13

ドロップシッピングについての本はすくなくないが,DSP (ドロップシッピング・プロバイダ) をつかう方法だけを書いたものがおおいようだ. この本には DSP のつかいかたも書いてあるが,DSP という仲介業者をとおさない,発送業務をおこなうサプライヤと直接契約する方法のノウハウが書かれ,DSP をつかう方法とくらべての利点がしめされている. これはドロップシッピングをはじめたいひとがぜひ検討するべき内容だろう.

それにしても,著者のドロップシッピング・サイトはいまはもう存在しないようであり,ドロップシッピングのきびしさ,ないし変化のはげしさをものがたっている.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: はじめよう!ドロップシッピング@ [bk1]はじめよう!ドロップシッピング@Amazon.co.jp

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2009-09-19

2006~2007 年に新聞に連載した記事がもとになっているということであり,かならずしもそれほど鮮度がたかいわけではない. しかし,オバマのネット戦略など,もっと新鮮な話題もとりこんでいる. タイトルは 「ブログ革命」 となっているが,ブログだけでなくインターネット上のマスコミにちかいメディアもとりあげられている.

中国などの話題もふくまれているが,大半はアメリカの話題だ. 「米国発」 というタイトルはアメリカでおこっていることがやがて世界に波及するという予想にもとづいているのだろうが,実際はそうはなっていないようにみえる. アメリカとおなじことが世界でおこるわけではないし,おこるのがのぞましいわけでもないだろうが,すくなくともアメリカでおこったことは知るに値することであり,そのためにはこの本がやくにたつだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 米国発ブログ革命@ [bk1]米国発ブログ革命@Amazon.co.jp

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2009-09-20

“Ads by Google” つまりアドセンスをのせた Web ページは多数ある. しかし,アドセンスにしぼって書いた本は日本ではまだこれ 1 冊しかないようだ. Google の Web ページをみればアドセンスのつかいかたは一応わかるが,それだけでは不十分なことも多い. 効果的につかっていないページもあれば,本来のコンテンツをアドセンスがじゃましているページもある. この本はアドセンスの基本から,どうつかえば効果的かという点まで,多数の例をいれて示している. すでにアドセンスをつかっているひとも,この本をみてチェックするとよいだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: グーグル・アドセンスの歩き方@ [bk1]グーグル・アドセンスの歩き方@Amazon.co.jp

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2009-09-21

Google (グーグル) の研究者が書いたいくつもの英語の論文を日本語でまとめている. 専門的な内容の論文をできるだけわかりやすく解説している. Google のしくみに興味はあるが原論文を読もうとはおもわないひとにはよい本である. ただし,Google は現在の検索アルゴリズムについてはあきらかにしていないので,どちらかといえば周縁的な内容だということができる. しかし,検索技術だけが Google のすごさでないことはもちろんであり,知るべきことがいろいろ書いてある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Googleを支える技術@ [bk1]Googleを支える技術@Amazon.co.jp

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2009-09-28

NHK の番組のおおくは徹底的な取材にもとづいているが,この本もまた,グーグルの取材にもとづいて,番組でとりあげた内容,そこからはずれた内容をあつめたものである. グーグルに関する本は多数あるが,全体像を知るにはよい本といえるだろう.

すでに初版が出版されてから 2 年がたち,その間にもグーグルはさまざまなこころみをつづけている. 著者もそれをある程度この本に反映させようとしたようだ. しかし,この 2 年はグーグルの歴史のなかではみじかい. そしてなによりも,グーグルの成功はキーワード検索の成功にもとづいている. グーグルだけでなく,さまざまな組織や研究者がキーワード以外の検索法をくふうしているが,いまだにおおきな成功をおさめたものはない. この本には,やたらにあたらしいものにふりまわされずに本質を把握することができるだけの内容がふくまれている.

評価: ★★★★☆

関連リンク: グーグル革命の衝撃@ [bk1]グーグル革命の衝撃@Amazon.co.jp

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これはドロップシッピングの本というよりは,海外向けのネット通販の本だ. 海外の商品を日本向けに売ることに関する本は多いが,逆はすくない. しかし,日本から海外に売る商品に関してもロングテールの法則がなりたつはずであり,まだ売れるものはあるはずだ. それが商品を売るだけでなく日本の文化を海外につたえることにもなるだろう. この本の価値はそういうビジネスの具体例にある. それに 「ドロップシッピング」 というタイトルをつけて,だいじな点をわからなくしてしまっているのは惜しい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ネットで稼ぐ新手法@ [bk1]ネットで稼ぐ新手法@Amazon.co.jp

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2009-10-05

さまざまな Web メディアにかかわってきた著者が,Web メディアを中心として新聞・雑誌という既存のメディアまで,さまざまな点を論じている. さまざまな Web サイトがとりあげられているが,それらを知らない読者が本書をよりよく理解するには,それらをみずから体験する必要があるだろう. だから,本書はじっくり読む必要があるし,そうすればいろいろなたのしみがあるのだろう.残念ながら私はまだそれだけの時間がとれていない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 新世紀メディア論@ [bk1]新世紀メディア論@Amazon.co.jp

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2009-10-07

いろいろな 「ネット通販」 の方法を著者の経験をおりまぜながら比較して,これから商売しようというひとをガイドしている.食品を売るときは 「おいしそうな写真」 をのせるとよいなど,ちょっとしたヒントがあちこちにある.キャッチコピーについても,記述はみじかいが適切な例が多数あげられている.ネット通販ショップの M & A についてさえ書いてある.密度の濃い本だ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: となりの「ネット通販」@ [bk1]となりの「ネット通販」@Amazon.co.jp

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2009-10-10

Web 3.0 といえばセマンティック・ウェブのこと,という感じになっているが,この本はもっとずっとひろい 「Web 2.0 の次」 をみている. セマンティック・ウェブやそれをささえるべき自然言語処理については,むしろ悲観的な見方のほうを紹介している. いわゆる Web 3.0 について知りたいのであればこの本は適切でないが,もっとひろく次世代の Web についてかんがえたいのであれば,えるところがあるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 神々のWeb3.0@ [bk1]神々のWeb3.0@Amazon.co.jp

つづく…

2009-11-04

著者はプロのものかきではあるが,ブログをはじめたのは今年だという. そういう著者が,ブログになにを書くべきかにも言及してはいるが,おもにブログの文章技術を説明しているのがこの本である. 本書の副題も 「心をつかむ文章術」 となっているから,タイトルにふさわしい内容だといえるだろう.

たしかに,よりおおくのひとに読んでもらうためには 「心をつかむ」 ことが必要だろう. しかし,著者もこの本のなかで手術の体験を他人のブログのなかにさがしたという経験を書いている. そういう検索中心の読み方をするときには,問題なのは内容であって,「心をつかむ」 ことはそれほど重要とはおもえない. そういう内容をめざしている私にはあまり役にたつ気がしなかった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 読ませるブログ@ [bk1]読ませるブログ@Amazon.co.jp

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2009-11-23

ライブドアの技術力を結集した一冊ということのようだ. Google などが独自のインターネット・サービス技術をほこっているいま,ホリエモンですっかりイメージ・ダウンしてしまったライブドアがもう一度,スゴイ技術をみせようということか? 残念ながら Google にはくらべるべくもないが,いろいろ,おしえられることはある. ただ,「Web サービス構築術」 といわれると XML Web サービスを想像してしまうが,XML の話はなくて,データベースやキャッシュの話が中心だ. タイトルには 「4 Gbps を超える」 とあるが,ネットワークの部分はよわい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Webサービス構築術@ [bk1]Webサービス構築術@Amazon.co.jp

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2009-11-30

著者は緒言でいきなり 「ウェブ空間」 ということばをつかっている. それはメイルなどもふくんでいるようだが,その意味が明確にされないまま議論がすすんでいく. 4~5 章で 「ウェブ空間」 について論じているので,「ウェブ空間」 がなんであるかもしだいにあきらかになっていくとはいうものの,読みにくい本である.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「場所」論@ [bk1]「場所」論@Amazon.co.jp

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2009-12-01

Web 2.0 によってタダで他人のちからを借りて儲けようという虫のいい話である. たしかにそれをうまくやった先人はいるし,成功するためのこころがけも書いてある. しかし,こういう虫のよい話でもうけるには,まだこの本に書いてないさまざまな点があるのではないかとおもえる. なによりも,こんな本から儲け話を仕入れようという欲張りな読者は,きっと儲けられないだろう :-)

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: Web2.0的仕事術@Amazon.co.jp

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2010-04-05

インターネットに関して知っておくとよいだろう 40 の 「話」 をあつめている. アフィリエイトでかせぐのは容易でないとか,学校裏サイトでのいじめとか,だいたいは,ほかの本などにも書いてあって,よく知られている話である. しかし,すくなくとも私にとっては,いくつかおもしろい話もあった. たとえば,「グーグル・アドセンス狩り」 (アドセンスの広告を攻撃してグーグルに解約させてしまうこと) にあわないためにはひかえめにふるまうのがよいという話が書いてある. ほかの読者もきっと,このなかからおもしろい話をみつけることができるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: インターネット怖い話@ [bk1] インターネット怖い話@Amazon.co.jp

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2010-05-04

すっかりおかしくなってしまった日本の紙の本の流通. その救世主となるべきなのが電子書籍だという. その論旨をうらづけるためにアマゾンやアップルの電子書籍に関するたたかいぶりをくわしく書いている.

しかし,日本の本の流通の問題点からいきなり電子書籍に話がいくのには疑問がある. そもそもアマゾンは紙の書籍の流通を変革しようとしたはずだ. それがどこまでうまくいき,電子書籍はそれをさらにどう変えようとしているのか? そこまでみていかないと説得力のある議論にはならないのではないだろうか. そうかんがえると,すでに新書としてはかなりあついこの本. 新書として出版することがそもそも無理だったのではないだろうか? 電子書籍として出版すれば,あつさを気にしなくてもよかったかも…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍の衝撃@ [bk1] 電子書籍の衝撃@Amazon.co.jp

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2010-05-30

こういうタイトルをみると,ついつい買ってしまう. 私自身もブログへのコメントに気をつかった経験はあるが,幸か不幸か炎上したことはない. そういう私にとっては読む必要のない本だったかもしれない. 炎上のタイプを 6 種類に分類してみせられても,あまり興味はわかなかった. とはいえ,ウェブだけでなくメイリングリストに書くときなどにも共通する部分はあるとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブを炎上させるイタい人たち@ [bk1] ウェブを炎上させるイタい人たち@Amazon.co.jp

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2010-06-20

著者は経営者の立場にあって,「知のグローバリゼーション」,Web 2.0 やクラウド・コンピューティングへのながれを経験してきた. 「21 世紀の産業革命」 もアメリカからおこるなかで,日本は IT ではなく 「クール・ジャパン」,ガラパゴス文化を世界に発信していくのがよいという.

世間でいわれているいろいろなことをつなぎあわせた内容であり,著者独自のかんがえは希薄である. しいていえば,大衆文化が次世代をひらくというかんがえに独自性があるようにみえる. 著者は Twitter を評価し,「大衆自身がコンテンツを作り,公開することでウェブ空間に 「巨大知」 が形成され」 と書いている. しかし,Twitter が 「巨大知」 を形成できるメディアだとはおもえない. こういうひとの意見にしたがっているだけでは,日本はますます没落していくだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: クラウド時代と〈クール革命〉@ [bk1] クラウド時代と〈クール革命〉@Amazon.co.jp

つづく…

Twitter のさまざまなつかいかたからその周辺の Web サイトである Favotter, buzztter, twinavi などや,さまざまなツールまで,さまざまな内容が 190 ページの本のなかにつめこまれている. コアの部分だけ読めば 「30 分で達人に」 なれるということだろうが,もっといろいろたのしめる話題がふくまれている. ほかの本は読んでいないので比較はできないが,自分で Twitter をやろうとおもわない私でも,そこでおこっていることを知るのに,やくだった.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 30分で達人になるツイッター@ [bk1] 30分で達人になるツイッター@Amazon.co.jp

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2010-06-24

Twitter のつかいかたをマニュアル的に説明したあと,著者の経験をもとに分析したり,著者の経験にもとづいてもっと高度なつかいかたを紹介したり,創業者にインタビューしたりしている. Twitter のいろいろな面をとりあげていて,初心者からある程度つかいこんだひとまで,たのしめる本なのではないだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: つながる力@ [bk1] つながる力@Amazon.co.jp

つづく…

2010-06-26

Twitter はどういう特徴をもったメディアであり,どのように世界を変えようとしているのかを分析している. 現時点での Twitter の全体像をもっともよくとらえている本といってよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: Twitter革命@ [bk1] Twitter革命@Amazon.co.jp

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2010-06-29

Twitter について 10 人の著者が書いている. Twitter に関する本は何冊か読んだが,他の本であまりみなかったのは,何人かの著者がシステム的な視点で書いていることだ. Twitter のシステムが最初は Ruby on Rails で書かれたが,あとで性能向上のために一部かきなおされたこと,たびたびシステム停止をおこしながらもどんどんサービスを更新していったことなど,ちょっと興味をひかれる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Twitterの衝撃@ [bk1] Twitterの衝撃@Amazon.co.jp

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2010-07-01

タイトルのとおり,iPad とキンドル (Kindle) がおもな話題だが,それらだけにとどまらず,ソニーの eBook やボイジャー・ジャパンの T-Time などもとりあげられている. eBook に関してどういう歴史があったのか,それらと iPad やキンドルはどうちがうのか,キンドルのビジネスモデルはどうなっているのか. そういうエピソードがおりこまれ,さまざまな知識をえることができる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: iPad vs. キンドル@ [bk1] iPad vs. キンドル@Amazon.co.jp

つづく…

2010-07-03

Twitter でさまざまな会議を中継し,そのやりかたが 「tsudaる」 とよばれるようになった著者が,彼自身の Twitter 活用法や,報道,政治,企業でのその活用法などについて書いている. Twitter 活用法に関する本のなかには 「あなたもつかってみよう」 的なものがおおいが,この本はもっと 「重い」 つかいかたを紹介している.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Twitter社会論@ [bk1] Twitter社会論@Amazon.co.jp

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2010-07-12

ネットでの自分の評判をたしかめ (エゴサーチ),それを向上させるための技術について書いている. ブログや Twitter やウェブサービスなどといった Web 上の手段をつかって,自分のブランドを向上させる. 著者は相当の努力をはらっているらしい.

その重要性はわかる. しかし,努力すればするだけ,過去の自分と現在の自分とのあいだのギャップをうめるのはむずかしくなってしまうのではないだろうか? Web からわかるのは過去からつみかさねてきたものすべてだ. そこが,すぐにかきかえられる履歴書とはちがうところだ. 現在をきわだたせる必要があるのではないか? もっとも,この本のなかにはこの疑問をとくヒントもあるようにはおもうが…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ネットがあれば履歴書はいらない@ [bk1] ネットがあれば履歴書はいらない@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-19

前半 2/3 くらいが対談,後半は電子書籍に関する紙の書籍の紹介や電子書籍の読みかたや書きかたにあてられている. 内容はそれほど濃いわけではないが,電子書籍を対面販売するという 「電子書籍フリマ」 について書かれているところに特徴がある.

日本ではとくに,まだ電子書籍の流通がよわい. 対面販売もおもしろいが,フリマにいけなかったひとが見れる,買えるしかけがないと,この本を読んでもよくわからない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 誰でも作れる電子書籍@ [bk1] 誰でも作れる電子書籍@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-22

通常の出版社をとおさずにオンデマンド出版の本をアマゾンで売ってきた著者が売り上げをのばす方法について書いている. 本の表紙のつくりかたやそれをどういうかたちでアマゾンにのせるか,「なか見! 検索」 をするべきかどうかなど,非常にこまかい (とみえる) 点が多々とりあげられている.

内容は売り上げをどうのばすかという点にかたよっているという印象をうける. 編集者の手をへずに出版するのだから,それにかわる方法論がもっとあってしかるべきだが,原稿をひとにみせてコメントをもらうという程度のことしか書いてない. そこがちょっと期待はずれだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 私にはもう出版社はいらない@ [bk1] 私にはもう出版社はいらない@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-23

アメリカでは電子書籍が爆発的に売れるようになっているのに,日本ではまだないにひとしい. それは日本がおくれているからというよりは,アメリカと日本との出版,流通などのちがいからきていることをこの本はあきらかにしている. 携帯電話の存在もちがいのひとつだが,フォーマットの問題があること,つまり日本では重要な組み版ルールがまだ国際標準である ePub にははいっていないこと,外字や異体字の問題など,日本固有の問題が解決されないと紙の書籍にかわれないことが指摘されている. ほかにも流通,権利などにおいて日本固有の問題があることが指摘されている.

この本は電子書籍を従来の書籍からの発展としてとらえている. しかし,あまりのしがらみのおおきさに,もしかしたら,のぞまれるのは革新ではなくて革命なのではないかとも,おもえてくる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍の真実@ [bk1] 電子書籍の真実@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-24

大半のページが対談でうめられている. そのなかには,このギョーカイを知らないものにはちょっとおもしろいエピソードがいろいろある. しかし,すぐにほかの話にうつってしまうので,結局ほとんどなにもわからないままだ.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 電子書籍と出版@ [bk1] 電子書籍と出版@Amazon.co.jp

つづく…

著者のアメリカでの経験をもとに日本の本の将来についても語っている. 電子書籍に関する本のなかには日本の出版社にひきずられたものも多いが,そこから距離をおいたこの本からしかえられないものもあるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍の真実@ [bk1] 電子書籍の真実@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-28

電子書籍の本は最近,急にふえた. そのなかには著者がかさなっているものもすくなくない. この本もおなじみの著者陣であり,内容にあまり新鮮さがない. ただ,クリエイティブ・コモンズやウィキペディアがとりあげられているのは他の本にあまりないところだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ブックビジネス2.0@ [bk1] ブックビジネス2.0@Amazon.co.jp

つづく…

編集などに長年かかわってきたひとりの著者によるまとまった電子書籍論である. iPhone, iPad, Kindle などについて,ひととおりのことが書いてある. しかし,著者がくわしいのは電子書籍より従来の書籍についてだ. そこにはいろいろ,おしえられる点がある. しかし,電子書籍については新鮮な情報は比較的かぎられている. 書籍になぞらえて電子書籍の収支をいろいろ計算しているが,書籍とおなじつくりになるのかどうか,ちょっと疑問がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍元年@ [bk1] 電子書籍元年@Amazon.co.jp

つづく…

2010-09-29

最近,Kindle や iPad の登場で電子書籍あるいは電子出版がブームになっているが,1999 年ごろにもブームになったことがあった. この本はこのころの記述が中心だ. しかし,アメリカではこのブームは一時的なものにおわり,いままた復活している. 日本ではその間に携帯電子出版がはやってきた.

こうやって歴史をたどっている本書だが,淡々と記述がつみあげられていて,「構図」 にはなりえていない印象だ. ときどきみえてくる著者の意見にも,あまり共感できるところがない. たとえば,フリーソフトに対して 「ソフトウェアの創作的行為で収入を得ることが卑下されている」 と書いているが,これもオープン・ソフトウェアなどへの誤解から生じているとかんがえられる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 電子出版の構図@ [bk1] 電子出版の構図@Amazon.co.jp

つづく…

iPad や Kindle をつかってみなくても,この本をみるとある程度のことがわかる. 電子書籍の本はいろいろあるが,たいていは iPad や Kindle をすでに知っていることが前提になっている. それにくらべるとこの本は親切だといえるだろう. 電子書籍の種類,値段や流通などについてもよく説明されている.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 電子書籍の基本からカラクリまでわかる本@ [bk1] 電子書籍の基本からカラクリまでわかる本@Amazon.co.jp

つづく…

2010-10-01

最近の電子書籍ブームにさきだつこと 7 年,最近の本ではあっさりあつかわれている,まえのブームをホットにあつかっている本だ. テキスト派と画像派との対立,シャープが BVF と XMDF という電子書籍フォーマットを開発したいきさつなど,貴重な記録といえるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ブック革命@ [bk1] ブック革命@Amazon.co.jp

つづく…

2010-10-06

改装して 2010 年に出版されているが,もとは 1994 年に出版された本だ. 「新装版の読み方」 と題されたあとがきにあるように,当時としては画期的な内容だったといえるだろう. しかし,現在からみれば (当然のことながら) Web 2.0 的なものはまったくふれられていない古典的な電子図書館や電子書籍についての本であり,いま読みかえす価値がどこにあるのか,よくわからない. もはや歴史的な本だといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

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つづく…

ネットをつかったセルフ・ブランディングに関する先駆的な本ということだ. しかし,いまではセルフ・ブランディングというかんがえかたが,すっかりひろまってしまったために,あまり新鮮味がない. 330 ページをこえる厚さの本だが,それほどの内容があるかどうかは疑問だ. アメリカでの就職活動に興味があるとか,特別な理由があればべつだが,ふつうの日本人にとっては冗長な部分がおおい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: Me2.0@ [bk1] Me2.0@Amazon.co.jp

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「ソーシャルな関係性 (ソーシャルグラフ) の中を伝わる情報の流れ」 を 「ソーシャルストリーム」 と呼んでいる. そのうえで,「ソーシャルメディア」 を分析し,それをうまくつかう方法を論じている. だが,せっかく定義した 「ソーシャルストリーム」 という概念がこの本のなかであまりいかされていないようにおもう. 「ソーシャル」 はいつもつかわれることばだが,なぜ 「ストリーム」 なのか? そういう意味で,ちょっとタイトルにうらぎられた感じだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ソーシャルストリーム・ビジネス@ [bk1] ソーシャルストリーム・ビジネス@Amazon.co.jp

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2010-10-10

1996 年以降の 10 年のインターネットをめぐる騒ぎをえがいている. 96-99 年のネットバブルも,その後でてきたホリエモンらの起業も主役は若者だといわれてきたが,著者はそこに出資した真の主役はは莫大なカネをもっていた中高年だという. インターネットに新鮮なものをみるひとが多いなかで,著者はむかしからあるドロドロした人間くさいものをみようとしている. 十分に論証されているとはいえないが,ひとつの見方としてはおもしろい.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: カネと野望のインターネット10年史@ [bk1] カネと野望のインターネット10年史@Amazon.co.jp

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電子化や Web にむしろ積極的にアプローチしている著者だが,書籍が電子書籍でとってかわられると,印刷屋である著者はメシのタネがなくなってしまうことをおそれている.

印刷屋はこれまでにも技術の断絶を経験してきた. つまり,著者は 「活版で身につけなければならなかった知識とコンピュータ平板印刷で必要な知識が一致するところは多くない」 と書いている. しかし,つぎにくるべき波はもっとおおきいということだろう.

だが,この本にあらわれている著者のこれまでのさまざまな積極的なこころみをみれば,この先もなんとか,いきのびていけるのではないかという気がしてくる. いまとはすっかりちがう業態になっているだろうが,どうなっていくのか,ちょっと興味をそそられる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す@ [bk1] 我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す@Amazon.co.jp

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「ツイッター部長」 というと,インターネットをつかった拡販専門の仕事をするひとのような印象をうける. しかし,著者はむしろ,休憩時間に顧客との Twitter による会話をたのしむ趣味人だといえるだろう. どういう表現や技法をつかえば Twitter によるコミュニケーションがうまくいくのか,さまざまな具体例をあげている. Twitter を拡販のためにつかうという意識がそれほどないから,うまくいっているといえるのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ツイッター部長のおそれいりこだし@ [bk1] ツイッター部長のおそれいりこだし@Amazon.co.jp

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2010-10-15

「ソーシャルウェブ」 的な 28 のサイトを紹介している. そのうち一部のサイトだけしか,つかってみてはいないが,つかってみた印象からすると,これは ちょうちん記事だ. いろいろ問題点もあるサイトのよいところだけを書いているという印象だ.

わるい点を書くと,つかってみようというひとがへるだろうから,それでもよいのかもしれない. しかし,つかってみて時間を浪費してしまったというおもいもある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み@ [bk1] 本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み@Amazon.co.jp

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MIT をはじめとするアメリカの大学が講義ビデオや教材を Web にのせ,日本や他の国の大学もそれにならっている. この本はこういう,まなぶためのコンテンツを提供する側の話題が中心になっている. まなぶ側についても DIYbio,TakingITGlobal など,いくつかのコミュニティが紹介されていたり,コラムとしてそういうコンテンツでまなんだひとの経験談がはいっていたりするが,まだよわい.

この本を読んでも,私には,どう選択してそういうコンテンツを利用したらよいのかわからない. この本のなかにも書いてあるが,いまは,まなびたいひとそれぞれが試行錯誤をくりかえすほかはないのだろう. 提供されているコンテンツやサービスについて知ることはできるが,まだ 「知の革命」 までには距離がある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ウェブで学ぶ@ [bk1] ウェブで学ぶ@Amazon.co.jp

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2010-10-26

「光の道」 は総務省のタスクフォースがうちだした構想だが,この本の出版社はソフトバンク,内容もソフトバンクの主張が中心だ. 税金をつかわずに 2015 年までに全世帯に光ブロードバンドを普及させる,そのためには NTT からアクセス回線会社を独立させる必要があるというのが主要な主張だ. しかし,他社の意見もかんたんにまとめられていて,最低限の客観性は確保されている. これに反対する NTT などの主張ももっときかないと判断はできないが,読むに値する意見だとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「光の道」革命@ [bk1] 「光の道」革命@Amazon.co.jp

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2010-10-27

「光の道」 をタイトルにふくむ本は 2 冊. もう 1 冊はソフトバンクの主張をまとめた 「「光の道」 革命」 だ. それとくらべると,孫と,かならずしもソフトバンクの主張に同意しない佐々木との対談からおこしたこの本のほうが,もうすこし客観的にソフトバンクの主張をきくことができる. しかし,佐々木は総務省や NTT よりは孫にちかい位置にいる. 最初は対立点が強調されているが,2 人の意見はしだいに収斂していく. けっして 「決闘」 にはなっていない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 「光の道」革命@ [bk1] 「光の道」革命@Amazon.co.jp

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2010-10-29

Twitter での著者の USTREAM スタジオ開設の提案がただちにソフトバンクの孫社長にうけいれられてからの 「めくるめく 2 ヵ月」 をもとに書かれた本だ. 孫社長との会話も何回かあらわれていて,その決断のはやさやユーザ目線がえがかれている. わずか 2 ヵ月の経験だというが,USTREAM のさまざまなつかいかたが紹介されている. 興味ぶかい指摘もいろいろあるが,とくに視聴者はずっと USTREAM の映像をみているわけではないので 「映像より音声のクオリティーが大切」 という指摘が興味ぶかい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: USTREAM@ [bk1] USTREAM@Amazon.co.jp

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2010-11-04

Twitter が日本の政治をどう変えるのか,とくにこれまで閉鎖性がずっとかえられなかった記者クラブが Twitter によってどう変わってきたのかを,著者が 8 人の政治家やジャーナリストなどとの対話のなかで,あきらかにしていく.

類似のテーマで 8 人と対話しているため,何回か重複している話もあるが,比較的うまく,いろいろな話をひきだしている. それは,おなじメディアをつかっていても,ひとりひとりちがう世界をみているという Twitter というメディアならではのことなのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか@ [bk1] なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか@Amazon.co.jp

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2010-11-05

CD-ROM から携帯向けまでの電子出版について,アカデミックに書いている. アメリカでは CD-ROM 以前にビデオテックスがあるが,日本では 「キャプテン」 がほとんどつかわれなかったから,CD-ROM が最初といってよいのだろう.

アマゾンやグーグルもあつかわれているが,全体としては従来の出版や書籍の延長線上のものとして電子出版をとらえている. 電子出版にはそこからはみだす部分もあるはずだが,過去を向くのが 「学」 のつく本の宿命なのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子出版学入門 改訂2版@ [bk1] 電子出版学入門 改訂2版@Amazon.co.jp 電子出版学入門@ [bk1] 電子出版学入門@Amazon.co.jp

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2010-11-26

電子書籍に関するさまざまな話題とくに問題点を解説している. 日本における過去の電子書籍の失敗,iPad における検閲の問題,グーグルがまきおこしたさわぎなどなど.

最後の章ではなかなか有料化できない Web と電子書籍との微妙な関係が分析されている. だが,その関係が今後どうなっていくかは著者にもわからない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 電子書籍の時代は本当に来るのか@ [bk1] 電子書籍の時代は本当に来るのか@Amazon.co.jp

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2010-12-01

Facebook の創業者でありプログラマであるマーク・ザッカーバーグを中心に,彼をとりまくひとびとをドラマ仕立てでえがいている. Facebook のアイデアやマークの geek ぶり,対立,女,裏切り,訴訟など,さまざまな内容をふくんでいる.

しかし,いろいろなものを追いかけすぎて,いささか中途半端になっている印象もうける. マークという人物をえがくのが目的であれば,そこにフォーカスして,もうすこしきめこまかくえがくこともできたのではないかとおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: facebook@ [bk1]facebook@Amazon.co.jp

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日本電子出版協会 (JEPA) は 1986 年に結成されて現在まで活動してきている. 電子出版について 1980 年代から書いている本はすくないだろう. うすい本であり情報量はすくないが,年表などでこの 30 年間くらいを俯瞰することができる.

電子出版というと現在ではネットワークが欠かせないが,1980 ~ 90 年代には CD-ROM や ROM (電子辞書など) がおもな媒体だった. この本のおもなテーマは辞書や事典であり,それが電子出版をリードしてきたことがわかる. 日本における電子出版の記録として貴重な 1 冊だといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子出版クロニクル@ [bk1]電子出版クロニクル@Amazon.co.jp

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USTREAM そのものの本ではなくて,著者のもともとの仕事であるテレビや,ラジオ,新聞などの従来メディアとの比較や,テレビの裏話などにウェイトがある. USTREAM の番組のつくりかたなども書いてあるが,多分にテレビ的だ. USTREAM らしさは,こういうところからでてくるのではないようにもおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: USTREAMがメディアを変える@ [bk1]USTREAMがメディアを変える@Amazon.co.jp

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2010-12-04

この本では 「デバイス」 とよばれている Kindle や iPad などについての本のおおくは,電子書籍や情報端末の表層的な紹介や比較にとどまっている. そのなかで,この本はそれらがもつもっとふかい意味を分析しようとしている.

この本の一番のエッセンスはインターネットの歴史において,自由でひらかれたインターネットをささえてきた 「パソコン=純インターネット生態系」 から,インターネットをとじた世界に分割する 「デバイス=クラウド生態系」 への移行がすすんでいくというところにある. 著者はそれがさらに 「インタークラウド」 というつぎの時代につながっているということまで書いている.

しかし,このような論旨がストレートなかたちで展開されず,また,一般の読者には解説なしではわからないであろう概念がいろいろ登場してくるため,読むのはかならずしも容易でない. しかしそれらが,著者がさまざまな本を読んでかんがえてきたことの結晶であることはまちがいないだろう. 論旨の展開や用語にはいろいろ疑問もあるが,じっくり読めば,いろいろ得ることがあるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: Kindleショック@ [bk1]Kindleショック@Amazon.co.jp

つづく…

2010-12-16

著者が映画製作にたずさわったあと,パイオニアでレーザーディスクをあつかうようになったいきさつから,アメリカでボブ・スタインという人物とボイジャー社に影響をうけてボイジャー・ジャパン社を設立し,米社が解散したあとも日本で電子書籍をつくりつづけたこと,そして電子書籍の未来についてまで書いている. 日本のボイジャー社がてがけてきたエキスパンド・ブックや T-Time,青空文庫などについての貴重な記録だといえるだろう.

最後のほうで著者はハードウェアがうつりかわっても本はいきのこっていかなければならない,そのためにはフォーマットの統一が必要だということを強調している. ハードがなくなると読めなくなるだろうアプリとして電子書籍を制作しているひとには,ぜひ読んでもらいたいものだ.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 電子書籍奮戦記@ [bk1]電子書籍奮戦記@Amazon.co.jp

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2010-12-27

なんでも自由にできたパソコンとインターネットが,セキュリティや使い勝手を理由に,不自由なアプライアンスでおきかえられようとしている. アップルは自由なアップル II をつくっていたが,いまや不自由な iPhone や iPad をつくっている. この本は自由だったインターネットの過去から不自由になりつつある現在までをえがき,どうすれば自由をとりもどせるかをかんがえている. しかし,その道はけわしい. 著者の提案も,どれだけ実現されるかわからない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: インターネットが死ぬ日@ [bk1]インターネットが死ぬ日@Amazon.co.jp

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2011-01-01

この本はいわゆる Web 2.0 のしくみ,つまり,おおくのひと (= 群衆,クラウド) がネットを通じて協力して,ソフトウェアや百科事典や研究成果などをつくりあげていくしくみについて書いている. おおくの例はすでにおなじみのものだが,そのなかで著者がかかわってきた 「カレント」 というサイトでのできごとについては,ひとびとが協力するためのしくみをどうやってつくったかがかなり詳細にえがかれていて,興味ぶかい.

また,ほんとうに 「協力」 しているのかどうかわからないが,アメリカの 10 代の少年少女の半数以上が Web 上のマルチメディア・ストーリーをふくむコンテンツをせっせとつくっているという話も書かれている. 日本でも携帯電話が少年少女をつないでいるが,Web にくらべると貧弱におもえる. このちがいが将来どういう差になってあらわれるのか,いささか不安だ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: クラウドソーシング@ [bk1]クラウドソーシング@Amazon.co.jp

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2011-01-08

この本の内容は 2002 年にはだいたいできていたというが,出版されたのは 2009 年だ. 最近の変化はとりいれられていない. 30 年前をかんがえてみれば,30 年後のメディアのかたちを予測するのがどれだけ困難かがわかるが,著者はあえてタイトルに 「2030 年」 をいれている.

著者がとらえているのはおもに,大型コンピュータからパソコンへというような,「集中」 から 「自律・分散」 へのながれだ. グーグルやアマゾンにはふれているが,それらがもたらした,ある意味での分散から集中への逆行にはふれていない. 著者にとっては 1 人 1 人にとって最適なサービスが提供される (つまり,マス・カスタマイゼーション) ことであり,サービス提供者が寡占的かどうかが問題ではないのだろう. しかし,それならもうすこし説明をくわえてもらわないと,うまく理解することができない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 2030年 メディアのかたち@ [bk1]2030年 メディアのかたち@Amazon.co.jp

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2011-01-15

「もっとも強力なマーケティング手法のひとつ」 つまり 「あるものをタダであげることで,別のものの需要をつくりだす」 のが 「フリー」 である. それは 19 世紀のおわりに誕生し,デジタル・メディアの登場でひろがった. Microsoft 対 Linux,Yahoo 対 Google など,この本ではさまざまな具体例をあげて,なぜタダにしてももうかるのかを説明している. この本のなかには 10 数個のかこみ記事があり,そこでさらにおおくの具体例をとりあげている. これらを読んでいくことで,読者も具体的な戦略をみつけることができるかもしれない.

評価: ★★★★☆

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つづく…

iPad をタイトルにふくむ本はやまほどあるが,この本はガラパゴスなど,iPad 以外の 「電子書籍リーダー」 にも配慮している. まだ iPad 以外は未知の点がおおい現在では iPad 中心にならざるをえないが,アンドロイドやキンドルでの操作もあつかわれている. ウィンドウなどの図版を多用してわかりやすくしようとしているようだが,200 ページにみたないうすい本であり,図版はちいさくて,見づらい. 1 冊でひととおりのことを知りたいひとにはよい本だろう.

評価: ★★★☆☆

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2011-01-20

Kindle や iPad につづいて日本でも Galapagos や Sony Reader が登場してきたが,著者は事情通としてそれらの裏をさぐる. この本にはいろいろ知らなかったことをおしえてはもらった. しかし,エピソードをつらねているだけで,それらをつないでストーリーがみえるようにするところまではいっていない. それは読者にあたえられた課題なのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍革命の真実@ [bk1]電子書籍革命の真実@Amazon.co.jp

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2011-01-22

ネットワーク社会の未来についての本のなかには,あまり跳んでない,つまり現在の延長上のことだけ書いた本がおおいようにおもうが,この本は HMD (ヘッド・マウント・ディスプレイ) や脳波による制御までも視野にいれている. 監視社会にからんでパノプティコンの話も登場し,ライフログも登場する. 「いずれ 「コンピュータ」 はなくなるだろう」 という記述は,ユビキタス・コンピューティングからきているのだろう. しかし,これらの元情報がなんなのか,だれがいったことなのかは書いてない. もうすこし内容も出所もはっきり書くことが,この本の価値をたかめることにもなっただろう.

評価: ★★★☆☆

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2011-01-25

「リアルタイムウェブ」 というタイトルであり,実際にそれを紹介し,それが将来の方向だとさししめしている. しかし,著者がほんとうに書きたかったのは,ポスト・グーグルの Web はどうなるかということだったのではないか. リアルタイムウェブはそれに関するひとつのながれだが,すべてではないだろう.

これまでの Web つまり Web 2.0 というキーワードにかわるものとして,著者はクラウド・コンピューティングとソーシャル・メディアとをあげている. これらはかならずしもリアルタイムのものではない. リアルタイムと直接関係はないが将来の方向として重要なことが,この本にはほかにもいろいろ,ふくまれている.

そのことじたいは評価するべきだが,「リアルタイムウェブ」 というタイトルがあたえられたことで,それらに注目があつまりにくくなっていることに対しては,すこし減点が必要だろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: リアルタイムウェブ@ [bk1]リアルタイムウェブ@Amazon.co.jp

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2011-02-12

著者はこの本を書くにあたって何百の本,何百メガバイトのオンライン・メッセージを読んだという. それらからえられたことが 6 つの章にまとめられている. 各章のテーマは明確だが内容は章内でも種々であり,よみおわってみるとそこから著者の明確なメッセージをうけとることができない. 10 年前には集大成として価値があったかもしれないが,その後のおおきな変化をかんがえれば,もはや,やくわりを終えた本なのだとおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ネットワーク社会の深層構造@ [bk1]ネットワーク社会の深層構造@Amazon.co.jp

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著者はグーグルのこともよく知らなかったが,自著の本の著作権がおびやかされていることを知って怒り,すぐに行動をおこす. そして,「黒船」 がうちはらわれるまで,ずっとたたかいつづける. この本はその過程を書きつづったものだ.

「グーグルブック検索事件」 に関して第 3 者が書いた本はいろいろあるが,当事者のナマの声はそれらとはちがって,読者につよくひびく. もちろん,当事者だからこそ知っていることもある. この事件そのものは,もはやすぎさったことだ. しかし,今後のグーグルをみる視点としてもやくにたつだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: グーグルに異議あり!@ [bk1]グーグルに異議あり!@Amazon.co.jp

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2011-02-21

謝辞によるとフェイスブックの日本語公式ガイドに 「あったことのない人は友達リストから消そう」 と書いてあるということだが,著者は会ったことがないひとともどんどん友達になることをすすめている. メイリングリストでもそうだが,会ったこともないひとをリストにいれて,そのうち気がむいたらオフ会をやればいいのだろう.

この本にはモノクロだが画面コピーが多数のせられていて,イメージがつかみやすくなっている. ただ,私にはさほど興味がないゲームの画面が何 10 枚もならべられているのには,どうかとおもった. 新書だから,どっちみちすべては書けないが,もうすこし幅をひろげて書いたほうがよいようにおもう.

評価: ★★★☆☆

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2011-03-12

電子書籍のレイアウトやフォーマットを解説し,EPUB 形式にしぼって,InDesign, Dreamweaver, Sigil というツールを順につかうつくりかたを解説している. 「作り方」 をこれだけ詳細に書いた本はほかにないのではないか.

しかし,いまのところ EPUB は日本語に対応していない. この本で例題としてとりあげているのも英文の本だ. この本を読んで英文の本をつくろうというひとはほとんどいないだろうから,この点はおおきな弱点だ. EPUB が日本語に対応したらこの手順でつくれるだろうが,もしかしたら,そのころには適切なツールもいまとはちがっているかもしれない.

もうひとつ書いておきたいのは,この本におけるスタイルシートのつかいかたには疑問があるということだ. かんたんにするためにひとつのスタイルシートをあちこちでつかうのはわかるが,タイトルのスタイルとして bookcover をつかうのがよいとはおもえない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 電子書籍の作り方@ [bk1]電子書籍の作り方@Amazon.co.jp

つづく…

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