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言語・コミュニケーションとネットワーキング アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, Web とインターネット仕事と起業メディア・アート・イベント・エンターテイメントインタフェース,アメニティとデザイン思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境生活知的生産とリテラシー社会・経済秘密・プライバシー保護とセキュリティ言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

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2007-10-01

本書はおもにインターネットがもたらした変化,とくに言論のフラット化 (匿名でも権威があっても 「何を言ったか」 だけで判断される) と,ウィキペディアなどにおいて意見の集約が困難になっいること,セレンディピティによって人と人とが出会いやすくなったことについてのべている. しかし,それと同時に日本において 2000 年代前半に 「戦後世界」 のわくぐみとそれを象徴する共同体が完全に崩壊した崩壊したことによって人々がばらばらにされたこともフラット化のひとつであり,それが 「出会い系」 へののめりこみを生んでいることも指摘している. このようなネットだけにとらわれないはばひろい視野はまなぶ価値がある.

評価: ★★★★★

関連リンク: フラット革命@ [bk1]フラット革命@Amazon.co.jp

つづく…

2007-10-09

220 ページほどの本のなかでモバゲータウンそのものについて書いた部分は 50 ページほどではあるが,モバゲータウンについての本がわずかしかないなかでは貴重な記録ということができるだろう. 著者はモバゲータウンを試用し,それを運用する DeNA と一部のユーザに取材し,それをこの本に反映させている. しかし,それらのいずれについての記述も中途半端だという印象をまぬがれない. 入門者のためにはモバゲータウンだけでなく周辺の説明も必要だろうが,もうすこしモバゲータウンそのものについてのページをふやして,もっと 「すごさ」 がわかるようにしてほしかった.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: モバゲータウンがすごい理由@ [bk1]モバゲータウンがすごい理由@Amazon.co.jp

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本書においては,一般市民がブログを通じてジャーナリズムに参加できるようになったいまジャーナリズムがどうなり,また将来どうあるべきかという点を論じている. 著者のジャーナリストとしてのこれまでの経験,ジャーナリズムがこれからどうなっていくのか,プロのジャーナリストや新聞社はどうするべきなのか,などなど,さまざまな問題があつかわれている. しかし,よみおわってみて,雑然とした印象しかのこらない. 前著 「ネットは新聞を殺すのか」 を出版したあと,著者は 「不完全燃焼のような思いを抱いていた」 とあとがきに書いているが,本書においてもまた不完全燃焼におわっているようにみえる. むずかしい問題が山積しているので,不完全燃焼するのはやむをえないのだろうが,もうすこし明確な主張をもりこんでほしかった.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ブログがジャーナリズムを変える@ [bk1]ブログがジャーナリズムを変える@Amazon.co.jp

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2007-11-13

本書は,おおくのひとびとが Web などをつかって共同で創造していくさまざまなしかけをとりあげている. そのうちのいくつかは,ほかの本や Web などを通じて,すでにおなじみになっている. しかし,「サイエンス 2.0」 などについては,まだ日本ではあまり議論されていないようにおもわれる.

また,本書を読めばウィキノミクスの弱点もわかってくる. たとえば,「ピアリング」 が機能するための条件のひとつとして生産物が部分に分割できることがあげられているが,これは複雑系のように分割できないものはウィキノミクスでつくりにくいことを意味している. いろいろと興味ぶかい内容をふくんだ本である.

評価: ★★★★☆

関連リンク: ウィキノミクス@ [bk1]ウィキノミクス@Amazon.co.jp

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2008-04-04

著者の主張をひとことでいえば 「NTT はいまだに電話的価値観の呪縛からぬけだせないために低迷している」 ということになるだろう.フレッツ網の障害も NGN の低迷も電話的価値観のせいにされている.しかし,この本の内容をすなおによむと,これはこじつけだとおもえる.

フレッツの成功はこの呪縛をまぬがれて自由にサービス開発ができたからだという. しかし,フレッツよりまえ / よりあと (NGN) においても,フレッツにおいても,NTT が電話以外にめぼしいサービスを開発したことがあっただろうか? この本に書かれた NTT の動向は読むに値するが,著者の意見は聞くに値しないとおもわれる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: NTT の自縛@ [bk1]NTT の自縛@Amazon.co.jp

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2008-04-12

iPhone をタイトルにふくむ本は日本でもすでに何冊か出版されているが,iPhone がまだ当分日本ではつかえないためか,これまでの本は iPhone そのものにはあまりページをさかず,iPhone をつくった Apple や Steve Jobs について書いていた. この本は iPhone そのものに正面からとりくんだ最初の本だといえるだろう. iPhone の機能や日本の携帯電話との比較,日本での発売の可能性などについて書いている. 意外な話はとくにないが,iPhone の概要を知るにはよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: iPhoneが日本に上陸する日@ [bk1]iPhoneが日本に上陸する日@Amazon.co.jp

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2008-05-04

「放送と通信の融合」 に関する本は何 10 冊かあるが,本書はそのなかでももっとも示唆にとんでいる. テレビの進化をかんがえるうえでコンテンツをどのように発展させていくかをかんがえることが重要なのはいうまでもない. しかし,著者はテレビ局や従来の放送・通信政策におさえつけられていた古典的な意味でのコンテンツ制作者を自由にすることを主張してはいない. むしろ,「次のテレビ」 や 「テレビの次」 として,YouTube やニコニコ動画がしめしているような Web 2.0 的な方向をみている. 「テレビの次」 のビジネスモデルのヒントを Google や楽天にみている. とはいっても,よみおわると,むしろいろいろともやもやした感じがわきあがってくる. むしろ,そのもやもやをそだてていくことが今後のたのしみだとおもえる.

評価: ★★★★☆

関連リンク: テレビ進化論@ [bk1]テレビ進化論@Amazon.co.jp

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2008-05-08

「調べる技術」 というと,最近ではまず Web をかんがえてしまうが,オリジナリティのあるものを書くにはいまでも取材が重要ということになるだろう. この本の中心は 「わすれさられた」 取材と執筆のルールを読者につたえることにある. 古典的な取材法と執筆法,そして書くテーマも古典的なテーマのなかからあたらしさをみつけるところに価値をおいているのだろう. しかしそれにしても,変化がはげしくなった時代のなかで 「あらゆるテーマがすでに書き尽くされているのではないかと思えてくる」 と書かれているのを読むと,違和感を感じてしまう. 取材の場を世界にひろげれば,あたらしいテーマはいくらでもあるはずである.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 調べる技術・書く技術@ [bk1]調べる技術・書く技術@Amazon.co.jp

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2008-08-11

タイトルには 「ウェブ」 がついているが,むしろケータイの話題,とくにこどもによるケータイ使用に関する話題がおおい. しかし,全体として散漫な印象であり,なにがいいたいのかよくわからない. その理由はこの本が新聞などからとった多数の文章を PHP の編集者が中心にまとめたものだからだろう. また,サル学が専門の著者がサルのはなしを書いていないことも,文章のおもしろさを減じているのかもしれない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ウェブ人間退化論@ [bk1]ウェブ人間退化論@Amazon.co.jp

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2008-08-12

この本がとりあげている問題は重大である. 子供がケータイを何にどのようにつかっているかを分析し,ネットいじめ,ケータイがもたらす心理的な罠,フィルタリングの問題などについて論じている. しかし,子供をすごく,とおくから見ている印象だ. 直接,子供にきいたナマの情報というのはないようにみえる. こういう情報はもう聞きあきたし,そういう本ならほかにも,いくらもあるようにおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ケータイ世界の子どもたち@ [bk1]ケータイ世界の子どもたち@Amazon.co.jp

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2009-01-13

タイトルをはじめとして,実用的な本であるかのようにみせかけているが,実は言語学者によるメール作法の分析書である. メールを書くときの実用にはあまりならないだろうが,ケータイ・メールまでふくめて,これだけ様々な場面を分析した本は他にないだろう. ただ,メール作法はコミュニティによってかなりのちがいがある. 大学生が書いたメールを中心に分析しているので,企業でメールをみている私には違和感がある部分もあった.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: デジタル社会の日本語作法@ [bk1]デジタル社会の日本語作法@Amazon.co.jp

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2009-02-03

ケータイや 2 ちゃんねるから,つぎつぎと顔文字やこれまでの日本語になかったあたらしい表現がうまれている. 著者はそれを分析するところからはじめて,かな小文字,外来語表記,濁点・半濁点,長音,句読点などに関して,あたらしい表記法を提案している. こういう問題についていろいろかんがえるのはたのしいことではある. しかし,とびきりおもしろい話題があるわけではない. 結局のところ,1 冊の本が表記法に影響をあたえる可能性はすくないとおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本語ヴィジュアル系@ [bk1]日本語ヴィジュアル系@Amazon.co.jp

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2009-07-26

世界中で現在つかわれている言語をカバーしようとしている. 新書のページ数でそれをやろうとすれば,個々の言語に関しては最低限の記述にならざるをえない. それでたしかに 「地図」 をえがくことに成功してはいるが,地図以上ではない. エピソード的な話もいろいろ書かれているが,つっこみが浅いので,あまりつよく興味をひく記述はなかった.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 言語世界地図@ [bk1]言語世界地図@Amazon.co.jp

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2009-08-08

認知心理学者ノーマンは著書 「誰のためのデザイン?」 において既存のさまざまな工業製品のデザインを分析していた. するどい分析ではあったが,その内容はむしろ保守的にみえた. 本書では知的な機械と人間とのインタラクションがテーマとなっていて,よりノーマンらしい内容だとおもえる. 本書の内容はそのなかに書かれている 「6 つのデザインルール」 にまとめられ,また 「機械によって [実はノーマンによって] 作られた 5 つのルール」 もあわせて書かれていて,そのほうが私にはピンとくる. いずれにしても,マイコンなどを内蔵した知的なインタフェースのデザイナーは,本書をてもとにおくとよいだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 未来のモノのデザイン@ [bk1]未来のモノのデザイン@Amazon.co.jp

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2009-09-04

ローレンス・レッシグがつかいはじめた意味での 「アーキテクチャ」 は,権力がひとびとを規制するためというネガティブな意味をおびていたが,著者はそれをもっとポジティブにとらえようとしている. ミクシィ,ウィニーなどの P2P ソフト,ニコニコ動画,初音ミクなどがとりあげられて,アーキテクチャという観点から論じられる. あたらしい視点のはずだが,そのわりには新鮮味が感じられない. 著者の議論をすでにブログなどでみているせいかもしれないが…

評価: ★★★☆☆

関連リンク: アーキテクチャの生態系@ [bk1]アーキテクチャの生態系@Amazon.co.jp

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2009-10-07

「論理」 といえばまず 3 段論法をおもいだすが,この本では 「対」,「言い換え」,「媒介」 の 3 つがすべてである. 3 段論法があつかわれていないわけではなくて,それは 「媒介」 の一種としてあつかわれている. つまり,ふだんの日本語でつかわれる論理としては 「対」,「言い換え」 という 2 つのものの関係 (2 項関係) のほうがもっと重要であり,3 段論法は 3 つのものの関係 (3 項関係) である 「媒介」 のなかのひとつ (にすぎない) ということだろう.

この本のなかには 「類書はすでに多数あります」 と書いてあるが,こういう方針が単純で実用的な読解の本は比較的すくなくて,価値のある本だとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本語論理トレーニング@ [bk1]日本語論理トレーニング@Amazon.co.jp

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2009-10-16

話が通じない理由をいろいろ分析している. ひとことでいえば 「非・論理的コミュニケーション」 をしているからだという. しかし,私の経験では互いに論理的に話をしようとしていても通じないことがしばしばだ. この本を読んでもその理由や対策はよくわからない. いろいろな話が書いてあるが,あまり新鮮な話題はなかった. 結局,知りたいことはわからなかった.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: なぜあの人とは話が通じないのか?@ [bk1]なぜあの人とは話が通じないのか?@Amazon.co.jp

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2009-11-10

「読解」 というと文章のなかにあるものを解読することだとおもってしまうが,この本はむしろ本のなかには書いてないことがいかに文章の解釈に影響するか,とくにそういう 「文脈」 をただしく理解しないと 「わかったつもり」 つまり誤解することになるかを,いろいろな例をつかって説明している. この本をよめば,「わかったつもり」 というおとしあなにおちるのをふせぐことができるようになるだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: わかったつもり@ [bk1]わかったつもり@Amazon.co.jp

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2009-11-21

日本の近現代の地名のなかで,区別しにくい地名,まぜこぜの地名,まぼろしの地名など,さまざまな珍地名に横綱から前頭までの番付をつけて紹介している. まぎらわしい地名のなかにも (著者はそういう視点ではみていないが) 人間にはくべつしにくいがコンピュータにはくべつしやすいものや,その逆のものなどあって,コンピュータ・プログラムを書くものにとってはとくに後者に興味がわく. もちろん,それ以外の点にも興味はつきない.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 日本の珍地名@ [bk1]日本の珍地名@Amazon.co.jp

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2009-12-21

著者は日本語が形式論理と同等であり論理的だという. 「同等」 ということばの意味がよくわからない. しかし,形式論理と 1 対 1 に対応するとはかんがえられないから,形式論理と対応づけられるという以上につよい意味はないだろう. 日本語が論理的でないといわれるのは,形式論理と対応づけられないということではなくて,それとの対応関係のあいまいさが英語にくらべておおきいということだろう. それを否定する議論はこの本のなかにはないから,「日本語が英語とくらべて論理的でない」 というかんがえを否定する根拠はあげられていないとかんがえられる. だから,この本はその主要なテーマにおいて失敗しているとかんがえられる.

しかし,この本にはおしえられることもおおい. 著者は日本では外国人向けには学校文法より合理的な文法が教育されているのに,英文法を無理にまねた学校文法が支持者がほとんどいないのに昔のまま教育されていることを批判している. そこには制度的な問題があることを指摘しているが,民主党政権がそこにきりこんでくれることを期待しておこう.

また,著者は日本語においては母音を左脳できくが,英語をはじめたいていの言語においては母音を右脳できいていることを指摘し,それを小学校での英語教育の問題にむすびつけている. 小学校で音声中心の英語教育をすれば母音を左脳できかなくなることを心配している. かんがえすぎのようにもおもうが,興味ぶかい議論ではある.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 日本語は論理的である@ [bk1]日本語は論理的である@Amazon.co.jp

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2009-12-25

著者は携帯電話の危険を指摘しつつ,こどもにもたせることを否定してはいない. こどもに携帯電話をもたせている親がその得失をよくかんがえていないことに問題があると指摘し,その得失を議論している. しかし,実はこの本には携帯の利点つまり積極的にもたせるべき理由はほとんど書いていない. 基本的には,こどもにせがまれて携帯を買わざるをえなくなったとき,どうすればできるだけ危険をさけることができるかを知るための本ということだろう. いささか中途半端だ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 子どもとケータイ@ [bk1]子どもとケータイ@Amazon.co.jp

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2010-04-05

どうすれば学会のポスターセッションで効果的なプレゼンテーションができるのかを説明している.ポスターセッションもしだいに紙のきりばりなどに依存しなくなってきているとおもうが,この本ではまだ,のりやはさみのつかいかたにウェイトがおかれている.本の末尾にはさまざまなポスター・セッションの写真とともに失敗している部分の説明が書かれている.成功例もわずかにふくまれているが,もっと成功例をふやしたほうが参考になったとおもう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ポスターセッションガイド@ [bk1] ポスターセッションガイド@Amazon.co.jp

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2010-11-12

パソコンやケータイをつかうのにあまりなれていない親のために,こどものケータイをどう管理したらよいかを書いている. こどもとどう向きあい,ケータイやパソコン をどう設定し,どう監視していけばいいか,ひととおりのことが書いてある. たぶん,ほかの本からは得にくい情報もあるのだろう.

しかし,新書だからページ数がかぎられているということもあり,あまり具体的なところまでは書いてない. それに,本のタイトルにあるケータイのことだけでなくパソコンのこともまぜて書いてあるから,どれがケータイのことでどれがパソコンのことなのかも,よくよく読まなければわからない. ケータイについては,さらに電話会社ごとにちがう点があるはずだが,会社ごとの情報にはまったくふれていない. いささか不親切な書きっぷりだ.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: ケータイ不安@ [bk1] ケータイ不安@Amazon.co.jp

つづく…

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