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教養・教育と学習 アーカイブ

0001-01-01

tetu_bn_161.gif 書評・読書カテゴリーには私が Amazon や BK1 に投稿した書評や,本について書いた文章をあつめています. 以前はすべての書評をひとつのページにいれていましたが,書評の数がおおくなり,書評・読書カテゴリーのページがながくなりすぎたので,書評・読書カテゴリーを分割しました. 書評以外のカテゴリーにあわせて, Web とインターネット仕事と起業メディア・アート・イベント・エンターテイメントインタフェース,アメニティとデザイン思想・哲学・宗教情報学・計算・プログラミング政治・法律・憲法教養・教育と学習歴史環境生活知的生産とリテラシー社会・経済秘密・プライバシー保護とセキュリティ言語・コミュニケーションとネットワーキング というように書評を細分するようにして,書評カテゴリーのページにはそれらに分類しづらいものをあつめました. なお,このページは各カテゴリーのページの先頭に表示されるように,意図的に投稿日時を 0001-01-01 00:00:00 としてあります (実際の投稿日時は 2007-11-03 10:39 です).

2006-05-15

この本は教育基本法制定から改正論の歴史と条文の抽象的な解釈がのべられているが,改正論の背景となっている現在の教育における具体的な問題点との関係がのべられていない. 改正に反対するのであれば,すくなくとも,いま教育現場でおこっているさまざまな問題が教育基本法に起因するものでないことをしめす必要があるし,できれば問題を解決するうえで教育基本法がどう役立つのかをしめしてほしい. こうした記述がない以上,改正への反対論としては失敗しているとかんがえざるをえない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: いま、教育基本法を読む@ [bk1]いま、教育基本法を読む@Amazon.co.jp

つづく…

2007-05-18

この本を読んだのはもう 20 年以上まえであり,それ以後は読んでいないが,いまでも文章を書くときにはこの本からえた知識がやくにたっている.読点のうちかたと修飾語のならべかた (ながいものからみじかいものへ) はいつも意識している.とくに理科系むきにはほかの著者による本がすすめられていることがおおいが,私は理科系・文科系をとわず,この本をすすめたい.本多のほかの本 (「殺す側の論理」) の書評で本多勝一を「ばか」よばわりしたが,この本は秀逸である.

評価: ★★★★★

関連リンク: 日本語の作文技術@ [bk1]日本語の作文技術@Amazon.co.jp

つづく…

2007-07-27

Amazon には本のリストを登録することができます. たいていのリストは,なぜそれらの本がひとまとめになっているかもよくわかりません. そのなかで 「我が家の教科書~「教育改革」は当てにならない」 は,ありふれた教育書には興味がなくなってきた私にも,リストされた本のおおくに興味がもてます.

つづく…

2008-03-05

本書では,第 1 章を中心として,ゆとり教育のさまざまな深刻な問題がとりあげられている. しかし,第 2 章ではゆとり教育の理念がとりあげられて検討され,結論としては今後もこの理念を実現するべく,ゆとり教育をつづけていくべきだといっている. しかし,ゆとり教育の理念がどうすばらしいのか,第 2 章でとりあげられている 寺脇 研 のことばは,すくなくとも私には説得力がない. 著者がどうしてそのことばに説得されたのかがわかるように書かれないかぎり,消化不良からすくわれないままである.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ゆとり教育は本当に死んだのか@ [bk1]ゆとり教育は本当に死んだのか@Amazon.co.jp

つづく…

2009-01-20

現代の大学生や大卒で就職した若者たちと,そういう若者たちをおしえる大学教授や会社員,若者たちの親にきいた結果をまとめた本である. タイトルも内容も 「下流大学がわるい」 というトーンだが,すなおに読めば大学以前の教育や親の問題のほうがおおきいように読める. バカにされている若者が読めば気分がわるいだろうが,調査にもとづいた問題提起として価値がある. 「…さ」,「…ね」 などの表現をつかった文体は新書としてはいささか異様だが,これもタイトルとともに事態の深刻さをすこしやわらげる意図か?

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 下流大学が日本を滅ぼす!@ [bk1]下流大学が日本を滅ぼす!@Amazon.co.jp

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2009-01-23

日本では 「幅広く底上げする」 教育から 「一部の優秀な子を引き上げる」 教育に方針転換することによって教育格差が拡大し,親の収入や学歴などがこどもの収入や学歴をきめるようになってきている. この本はこのような現象を実例をもとに具体的に検証している. 「底」 にきびしい方針に著者が異をとなえているのはあきらかだが,この問題に対して,予算をふやせという以上の明確な答案はしめしていない. いろいろなエピソードがもりこまれてはいるが,迫力は感じられない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 教育格差が日本を没落させる@ [bk1]教育格差が日本を没落させる@Amazon.co.jp

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2009-03-05

ひとが自分の意志で 「身ひとつで」 まなぶ,それが学問のすがたであり,それを役にもたたない本を読む二宮金次郎が体現しているのだと著者はいう. 著者もそういう独学の精神でまなんできたゆえに,この本にあらわれているような 「独創性」 があるということだろう.

しかし,独学にはやはり独断と偏見の危険があるようにおもえる. 同意できない部分も多々あるし,論理的にはよわい. 日本の学校教育のやりかたを否定し,会社や役所の仕事のやりかたを否定しているが,それは極論だとおもう. しかし,現代日本にはびこっている 「エセ学問」 を斬るにはこのくらい凶暴なナイフのほうがよいのかもしれない.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 独学の精神@ [bk1]独学の精神@Amazon.co.jp

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2009-03-29

著者は日本中に 「思考停止」 したひとがはびこっているのをうれいている. 藤原正彦の 「国家の品格」 を 「思考停止のススメ」 と評し,「ものを考えない」 小泉純一郎にだまされた国民も思考停止しているといい,食品偽装に関しては 「日本の食品には,真実性のかけらもない」 と評している. こうなった原因のひとつとして,思考をきたえない 「偏差値教育」 をあげ,「少年ジャンプ」 もヤリ玉にあげている. 中国,インドをはじめ日本以外の国では学生が必死に勉強しているなかで日本の学生だけが意欲をうしなっていることに危機感をもっている.

興味ぶかい点のひとつは,「いわゆる教養主義は 1970 年前後に消滅し」,「最近では世界のエグゼクティブと言われる人間でも,伝統的な教養をあまり知らない」,だから 「古典的教養」 を復活させるのでなく,ネット社会重視の 「21 世紀の教養」 を身につけるべきだといっていることである.

この本の内容にはうたがわしい点も多々ある. 「思考停止」 してそれを信じるのは著者がもっとものぞんでいないことだろう. 刺激的な著者の意見を自分のあたまでかんがえなおせば,えられるものはすくなくないだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「知の衰退」からいかに脱出するか?@ [bk1]「知の衰退」からいかに脱出するか?@Amazon.co.jp

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2009-04-29

350 ページをこえる,新書としては大作である. 大学法人化へのみちすじを行政改革とグローバル化,筑波大学の設立,東大医学部紛争にまでさかのぼって検討している.

行政改革とグローバル化はまだそれほどとおい過去のことではないが,筑波大学が設立された時代にはまだ私にはその背景がよく理解できていなかった. 当時は上からの改革ということで反感をもっていたが,この本を読むことで,あらためて改革の必要性を問いなおすことができた. しかし,著者は筑波大学の改革が結局は挫折し,従来の大学にもどってしまったと書いている.

法人化に関してはこの本が書かれたのはまだ進行中の時期だが,各大学のとりくみが紹介されている. その効果に関しては続編に書かれているのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大学法人化@ [bk1]大学法人化@Amazon.co.jp

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2009-05-03

[よのなか] 科などを通じて公立中学の 「改造」 をめざし,この本の執筆後に杉並区和田中学校校長となった和田和博と他の 3 人の著者との対話をまとめた本である. 対話のなかで従来の公立を中心とする中学がかかえる問題点はいろいろ指摘されているし,にじみでているものはいろいろある. しかし,「改造」 のための具体的な提案はかぎられている. 櫻井との対談のなかでは彼女のおいたちなどがかたられていて,「改造」 とは関係ないが,そのほうが興味をひく. やはり,いまこの著者の本を読むなら,校長になったあとのものを読むべきなのだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 中学改造@ [bk1]中学改造@Amazon.co.jp

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2009-05-26

結局のところ,この本のおもな内容は,ラテン語の時代から著者の世代まで,教養とはどういうものだったかということだ. 現代において教養がどういう意味をもちうるかという問にはこたえていない. 電車のなかでコミック雑誌を読むのをみっともないと評しているのをみても,単なるノスタルジーでしかないだろう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: あらためて教養とは@ [bk1]あらためて教養とは@Amazon.co.jp

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2009-06-28

日本のこどもの学力低下の原因を教師や文科省にもとめる議論がおおいが,著者はこどもがかわったのが原因だという. こどもが 「モンスター」 化し,努力して勉強することもしなくなった. 勉強がおもしろくなく,する意味もわからないからしなくなったのだろう.

8 章は 「「なぜ勉強するの?」 と問われたら」 というタイトルだが,そもそも,おもしろければこんな問はでてこないだろう. 問われたら答えざるをえないが,答えたからといって勉強するようになるわけではないだろう. 著者はいろいろ,こむずかしい議論をしているが,こどもに興味をもたせる方向の議論は欠けていて,問題の解決にはほどとおいようにおもえる.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: なぜ勉強させるのか?@ [bk1]なぜ勉強させるのか?@Amazon.co.jp

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学力低下をはじめ,学校ではさまざまなことが問題にされている. 著者は,教師がかわったわけではなくて,1980 年代にはいって,こどものありようがおおきくかわったことがその原因にあるという. ジャーナリズムでは 「こどもが変だ!」 という表現はタブーになっているため,教育問題はいつも学校,教師,文科省などのせいにされるのだという.

NHK スペシャルでとりあげられた,おおくのこどもが 「人間は死んでも生き返る」 と信じているということがとりあげられているが,著者は 「学校で教えられる近代の知識とは,むしろこどもたちの感覚とは衝突するものが多い. そして現代のこどもたちは,客観的な事実 (科学) よりも 「この私」 の感覚のほうを大事にする.」 と書いている. そして,著者はこどもに 「近代」 をおしえることの重要性を説いている. しかし,学校教育というものがはじまって以来つづいてきたはずの近代をおしえることで問題が解決するのなら,もうとっくに解決されているはずではないだろうか? これはむしろ時代錯誤であるようにおもえる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: オレ様化する子どもたち@ [bk1]オレ様化する子どもたち@Amazon.co.jp

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2009-09-30

いささか過激なタイトルにひかれて買ってしまったが,だまされた感じだ. 内容はこどもをきちんとしつけようとか,美しい心をおしえこもうというような,もっともな内容ではある. しかし,浅い議論に終始している. タイトルにあらわされているような強い主張と説得力がもうすこしほしい.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 「自由」が子どもをダメにする@ [bk1]「自由」が子どもをダメにする@Amazon.co.jp

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2009-10-13

教師や学校に不当な要求をするモンスター・ペアレント,日本だけでなくアメリカやイギリスでも類似の現象があるという. イギリスの 「フーリガン・ペアレント」 は教師に暴力をふるうというから,日本のモンスター・ペアレントにちかくて,ある意味ではより,たちがわるい. しかし,アメリカの 「ヘリコプター・ペアレント」 は大学生になった子供についていって,大学教育に口をだすという. 日本でもありそうだがモンスター・ペアレントほど深刻だとはおもえない.

外国の状況を紹介するのもよいが,モンスター・ペアレントとの関係はよくわからないし,対策もそれぞれちがうのではないかとおもう. いっしょに論じる利点がよくわからない.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 親たちの暴走@ [bk1]親たちの暴走@Amazon.co.jp

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2009-10-14

1994 年に出版され,当時はちからをもっていたいわゆる 「ゆとり教育」 でめざされていた教科書の内容削減に反対する本だ. 教育内容をへらして意味がわからなくなった内容をまるおぼえするのは困難だし,おぼえても効果がないことを本 1 冊かけて主張している. 教科書はもっと厚くして,そこに記述されたことがらの関連がよく把握できるようにするべきだという.

これはむしろ,いうまでもないことだとおもえる. いまでも廃刊されていないということは,いまだにこの本からまなぶべきひとがおおいということを意味しているのだろう. 実際,「ゆとり教育」 以前から日本の教科書はうすくて,記述がみじかすぎ,わかりにくかった. こういう教科書で教育されてきたから,社会にでてもひとが書いた文章をなかなか読まないひとがおおいのではないかとおもえる. そうだとしたら,これからも読まれるべき本なのだろう.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 間違いだらけの学習論@ [bk1]間違いだらけの学習論@Amazon.co.jp

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2010-02-02

5 章で構成されるこの本の 4 章までを暗澹たるおもいで読んだ. 大学教員になって食っていけるようになるためには,師事するに値する教授にとりいってイエスマンになり,チャンスをつかむことが必要だ. 大学ならどの世界でもそうというわけではないが,そういう 「白い巨塔」 のような世界はいまもあるのだろう. そういうものにすがらなければ食えない時代になったということだろう. しかし,5 章にはどんでん返しが待っている. 4 章までに書かれた現時点での解にとってかわれる解にはなっていないが,もっと本質的な解にせまろうとしている. もしもこの章をよまずにこの本をほうりだしてしまうとしたら,著者のかんがえの半分以下しか見ずにおわることになるだろう.

評価: ★★★★★

関連リンク: アカデミア・サバイバル@ [bk1]アカデミア・サバイバル@Amazon.co.jp

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2010-02-03

博士号をとったものの就職できず,無給にちかいのに大学で必死に働き,論文を書くフリーターをえがいている. おなじ著者の 「アカデミア・サバイバル ― 「高学歴ワーキングプア」 から抜け出す」 をさきに読んだ. それとくらべるとこの本はまだ救いがあるが,それはこの本以降にさらにきびしい状況になっているということだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 高学歴ワーキングプア@ [bk1]高学歴ワーキングプア@Amazon.co.jp

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2010-02-07

大学教授になるための資格,こころがまえ,勉強のしかたなど,さまざまな内容がかかれている. 大学教授になりたいという動機にはいろいろあり,それぞれに対応しようとしているが,きびしい (無理な?) 要求もしている. つまり,「自由時間のすべてを研究活動に使う」,家事労働も研究の敵と書いている. 対談やアメリカの大学教授の紹介などもふくんでいて,大学教授になるつもりのない身にもおもしろい.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 新 大学教授になる方法@ [bk1] 新 大学教授になる方法@Amazon.co.jp

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2010-10-29

少子化がすすむなかで,おおくの大学が定員割れして,いきのこりをかけた競争がおこっている. 著者は実名をあげて日本の大学がかかえる具体的な短所や長所を指摘し,問題解決のための案をしめしている. とくに重要な指摘は,これまで大学は 「研究機関」 という面が強調されてきたが,「教育機関」 という面が重視されるべきだ,つまり大学教授は教育のプロでなければならないということだろう.

少子化がとまらなければ大学が淘汰されるのはさけられないだろう. しかし,著者が指摘するように大学教育が改善されていけば,日本の将来はよりあかるいものになるのではないだろうか.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大学破綻@ [bk1] 大学破綻@Amazon.co.jp

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2011-01-01

「理系脳」 ということばからは,それが 「文系脳」 とはちがうという印象をあたえる. この本ではたしかに 「理系脳」 とはなにかということは書いてあるのだが,「文系脳」 については書いてないから,なぜそれが 「理系脳」 とよばれるのかが書いてない. 実際,著者はその能力が弁護士など,文系の仕事にも必要だと書いている. 理系にも文系にも必要な能力を 「理系脳」 とよぶのはおかしい.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: 理系脳@ [bk1]理系脳@Amazon.co.jp

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2011-02-03

明治以来の日本の教養主義について書いている. 旧制高校に発したエリート学生文化における教養主義はやがてマルクス主義にとってかわられていく. 1930 年代にマルクス主義が弾圧されるようになると教養主義が復活するが,戦後はふたたびマルクス主義とのむすびつきがつよくなる. しかし,石原慎太郎に代表されるあたらしい世代は教養主義ともマルクス主義とも距離をおく. 戦後つぎつぎに新設された文学部に教養主義はささえられるが,全共闘運動のあと 1970 年代にキャンパスから駆逐されていく. そして,教養主義への反乱を最終的に完成したのがビートたけしだと著者はいう.

終章で著者は現代の大学生が人間形成の手段として従来の人文的教養ではなく,友人との交際を選ぶ傾向が強いこと,そして前尾繁三郎や木川田一隆にみられるように教師や友人などの人的媒体が教養がやしなわれる場として重要であり,これからの教養を考えるうえで大事にしたいと書いている. 教養主義が没落したといっても,今後もべつの教養主義がいきのこっていく可能性を指摘しているといえるだろう.

この本には海外の教養主義についての記述もわずかながらみられるが,ほとんどの記述は日本にフォーカスしている. 海外とのつながりについて,もうすこし語ってほしかった.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 教養主義の没落@ [bk1]教養主義の没落@Amazon.co.jp

つづく…

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