大学 1 年でマイコンを自作したときのことを書きます. デジタル回路をつくった経験がないのに,Intel 8080 のセカンドソースを安価に 買ってきて,当時販売されていた高価なマイコンをまねて果敢に製作したという話です.
秋葉原で Intel 8080 が売られるようになると,それをつかって マイクロコンピュータをつくりたいとおもうようになりました. デジタル回路を一度もつくったことがなかったにもかかわらず, AMD 9080 という名の 8080 のセカンドソースと 8 個のメモリ IC (1 kbit) がセットになったものを買ってきて,アナログ回路用の半田ごてによって,直径 1 mm のビニル線をつかって,果敢にも ユニバーサル基板に 1 kB のメモリ回路を配線しました. この配線は想像以上にたいへんで,うまくうごいたのは奇跡かとおもわれましたが, とにかく,アドレス入力用の 16 個,データ入力用の 8 個 (8 bit) のトグルスイッチを操作して, みじかいプログラムを入力して実行させました. 結果は 8 個の LED によって表示されます. トグルスイッチで入力するのはまたおそろしく手間のかかることなので, あまりおおくのプログラムを実行させないまま,つかわなくなってしまいました.
このときまで,ラジオやステレオアンプ (KM-1, KA-1) など,ハードウェアにはいろいろ手を そめていましたが,ソフトウェアはほとんどさわっていませんでした. しかし,これ以降は逆にハードウェアはあまりさわらず,ソフトウェアに手を そめるようになりました. それは,このマイコンの配線があまりにたいへんで, もうハードウェアはやめようとおもったからなのでした. この決断が現在の私につながっているということがいえます.
P.S. ところで,なぜわざわざパネルにトグルスイッチをならべたかということなのですが, それが伝統のデザインだとかんがえていたからです. 当時 Altair 8800 という けっこう高価なマイクロコンピュータが売られていて,それも (トグルスイッチではありませんでしたが) パネルにずらっとスイッチがならんでいました. 東大のマイコンクラブでも 駒場祭などでそういうマシンをならべてみせていました.
ここではハードウェアのことばかりを書きましたが, 「研究トピックス」 のところで ソフトウェアとハードウェアについて書いています.