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Web とインターネット, 情報学・計算・プログラミング

クラウドコンピューティングに期待するのはファイルが散逸しない環境

最近,クラウドコンピューティングということばが氾濫している. その意味もさだかではないが,すくなくともファイルや計算力 (computing power) がてもとで管理しているコンピュータにあるのではなくて 「あちら側」 で管理されているコンピュータにあることはまちがいない. これまでコンピュータをとりかえるたびに,実は保存するべきだったいくらかのファイルが散逸してしまったという経験をしている私としては,この点はぜひクラウドコンピューティングに期待したい.

クラウドコンピューティングならずとも,WWW サーバ上にファイルをおいておくとファイルが散逸しにくいし,プログラムやデータがすぐにつかえる状態をたもちやすいことはすでに経験している. WWW にのせるまえはドキュメントにせよプログラムにせよ,機種をいれかえるとふるいものはそのままではつかえなくなってしまっていた. しかし,HTML で書いたファイルは 10 年以上たってもよめるし,Java や JavaScript で書いたプログラムもそうである.

HTML ドキュメントについては説明するまでもないが,Java で書いたプログラムとしては CCM というモデルをつかって書いた N クイーン問題やグラフのぬりわけ,魔方陣などのプログラムがある. また,JavaScript のファイルとしては 電卓のプログラムがある. これらはその後,改訂してはいるが,もとのままだったとしても,現在でも動作するだろう. 世界中からアクセスできることももちろん画期的だが,10 年以上たってもつかえることも画期的である.

WWW のばあいはだれでもアクセスできるようになっているが,クラウドコンピューティングのばあいはむしろ特定のグループのなかだけでアクセスできることがミソである. しかし,データセンタにある WWW サーバと同様に,ハードウェアなどが交換されても通常はもとのままつかえるようになっている. これがクラウドコンピューティングの最大の利点だとかんがえられる.

ただし,クラウドコンピューティングは 「あちら側」 でサポートされるから,サポートする会社が破産するなどすればサービスが継続されず,ファイルが散逸してしまう危険もある. 実際,SMS サイトが突然閉鎖されてすべてのファイルがうしなわれるようなことがあった. 「Google はでかすぎてつぶせない」 というような話もあるが,ほんとうにつぶれないかどうかはわかったものではない. Google がつぶれてもミッション・クリティカルな情報はなんらかのかたちでまもられるだろうが,無償でつかってきたひとの情報がどうなるかはわかったものではない. それが (無償でないにしても) 保証されるなら,クラウドコンピューティングもわるくないとおもえる.

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