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音楽評

精神分析が生きる (?) シノーポリのシェーンベルク

最近買った新ウィーン楽派のオムニバス 「新ウィーン楽派作品ボックス シノーポリ & シュターツカペレ・ドレスデン 8 枚組」 (2564 69414-0) については 「オープンリール・テープにいれて聴いた時代をおもいだすベルクの曲」 にも書いたが,このなかの CD 1 にあるシェーンベルクの 「オーケストラ歌曲 op. 8」, 「ワルシャワの生き残り」 や 「室内交響曲第 1 番」 などをきいた. 表現主義的な傾向があらわれている歌曲にはシノーポリの 「精神分析的」 な演奏がむいているのではないかとおもった.

Teldec-Sinopoli-New-Wien.jpg シノーポリの没後 8 年ほどたつが,彼がマーラーの交響曲を 「精神分析的」 に解釈したという話はよくしられている. 数小節ごとに気分がかわるマーラーの音楽をそれにあわせて演奏するということだった. しかし,シェーンベルクの op. 8 の歌曲の最初の曲など,彼の無調時代にもっともつよくあらわれた表現主義的な傾向がすでにあらわれていて,気分がはげしく変化する. こういう曲はシノーポリ向きといってもよいのではないだろうか?

一方,「ワルシャワの生き残り」 などはあまりに曲の細部をきかせることに向かいすぎているのではないかとおもえる. 曲の最後の合唱のすごみがでていないようにおもう.

また,「室内交響曲第 1 番」 の演奏はわるくはないが,シノーポリの声が気になってしかたがない. この曲に関しては高校のころ買ったシェーンベルク全集にあったロバート・クラフトによる演奏をもっともよくきいてきたが,その後に買ったズービン・メータの LP が気にいっていた. しかし,いずれも,ちかごろはきいていない.

キーワード: 無調音楽, 20世紀音楽, アルノルト・シェーンベルク, Arnold Schönberg, Arnold Schoenberg, ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli

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