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著者の 「モノづくりの神話」 批判はまちがっている ― 奥野 卓司 著 「ジャパンクールと情報革命」

著者によれば,日本は源氏物語の時代から,おおくの芸術や芸能をうみだしてきた. しかし,現代日本においては 「今なお 80 年代の好景気から生まれた 「モノづくり」 に対する神話が残り続けている」,「人々はバブル時代のモノづくり神話を信じ続け,経済大国のノスタルジーに浸っている」 という. ソニーのトップだった出井氏もそうだという. その神話をすてて,日本は 「涼宮ハルヒ」 で代表されるクールなコンテンツをのばすべきだと主張している.

だが,日本のモノづくりはむしろバブル時代におろそかにされていたのであり,それ以前につちかわれてきたはずである. また,ソニーは CBS やコロンビア映画を買収してコンテンツ・ビジネスをおこなってきた会社である. ジャパン・クールのコンテンツをいかすべきだという主張には賛成だが,モノづくりとくみあわせてこそ,つよみをいかせるのではないだろうか.

著者がソニーと対比するアップルは,たしかにコンテンツ中心に収益をあげているのだろうが,iPod にせよ iPhone にせよ,モノづくりによってもたらされるユーザ・エクスペリアンスを重視している会社である.その点で著者の認識は根本的にまちがっているとおもう.

評価: ★★☆☆☆

関連リンク: ジャパンクールと情報革命@ [bk1]ジャパンクールと情報革命@Amazon.co.jp

注記: BK1書評Amazon.co.jp書評 に投稿しています.

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