[個人ブログから転載します.]
東日本大震災では阪神淡路大震災とくらべてボランティアの数がすくないといわれている.
この本によれば阪神淡路のときは最初の 2 ヶ月くらいに圧倒的な数のボランティアがやってきたというが,東日本大震災ではその期間は被災地の混乱をおそれてボランティアのうけいれがおさえられていた.
著者は阪神淡路のときの経験から,ボランティアはそういうときにおしかけていけばよいという.
また,「考える」 ボランティアであればマニュアルは不要だという.
しかし,東日本大震災のような大災害においてはこのようなかんがえは危険であり,この本は有害なのではないだろうか.
たしかに,よく組織されたボランティアなら大災害の直後でもうまくはたらけるだろう.
しかし,なんの条件もつけずにだれでもがおしかけていけばよいというのは無責任だとおもえる.
東日本大震災の直後の被災地にはさまざまな危険や混乱があった.
それに対処できるそなえのないボランティアはおしかけるべきでなかっただろう.
阪神淡路とのちがいのひとつは,はやい時期から自衛隊や米軍が被災地にはいったことだ.
かれらの仕事は危険や混乱のなかで 9 割,あるいは 99% のひとをすくうことであるのに対して,著者がいうようにボランティアがめざすべきは危険や混乱がある程度のぞかれたなかで 「最後の一人まで救う」 ことだろう.
ボランティアはときには 「おしかけて」 いくことも必要だろうが,もっと重要なのは臨機応変さ,著者のことばでいえば 「考える」 ボランティアが重要だろう.
著者はボランティア・マニュアルが 「考えない」 ことにつながるから不要だと主張しているが,東日本大震災をかんがえると危険から身をまもるためのマニュアルは必須だったとかんがえられる.
ボランティアにはマニュアルをみて考える能力が必要であり,私が石巻などで実際にみたボランティアは,自分もふくめてそうしていたとおもう.
評価: ★☆☆☆☆
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