2012年3月 アーカイブ

[個人ブログから転載します.]

震災復興に 20 兆円くらいかかるというのは大嘘で,実は被害は 5 兆円程度だと著者は主張する. 復興のためと称して過大なインフラをつくるべきではない. しかし,この差はおもに,(復旧でなく) 復興に必要な全額をみつもった金額か,減価した資産の震災時の評価金額かというところからきているのだろう. この差額をだれがどういうふうに負担するべきなのか? すべてを被災者や被災地の自治体に負担させるというのは非現実的だろう. しかし,すべてを返済不要のものとして国民全体で負担するのが適切だと自信をもっていえるだろうか. とくに,もしそれが景気を悪化させるとしたら... だから,著者の主張も疑問は多々あるが読むに値するものだといえるだろう.

評価: ★★★☆☆

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[個人ブログから転載します.]

震災後,他の仕事をすべてキャンセルして官邸の参与となったという著者がみた原発事故処理の問題点が書かれている. 重要な指摘はいろいろあるが,そのなかから 2 つをあげると,まず,政府や専門家がおちいりやすいおとしあなとして,国民の不安をかきたてないために安全性を強調すると,自分も 「安全だ」 という暗示にかかってしまうという指摘がある. そういう暗示が 「根拠のない楽観的空気」 という最大のリスクにつながっているという. また,政府や専門家は国民の社会心理あるいは精神的な被害を軽視しているという指摘をしている. 「科学的」 であろうとするとおちいりやすいあやまちなのだろう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 官邸から見た原発事故の真実@ [bk1]官邸から見た原発事故の真実@Amazon.co.jp