2011年7月 アーカイブ

[個人ブログから転載します.]

東日本大震災ではおおくの人命や住宅とともに農業,漁業,工業,商業などの施設もうしなわれた. そのおおくはいまも再建されずにいる. 国や県,金融機関などはまだそのおおくをたすけられずにいる. 被災地の金融機関はそれじたいもおおきな被害をだしているから,融資できる金額にも制約がある. そういうなかで,最近注目されいるもののひとつが市民ファンド,あるいは市民ファイナンスだ. ミュージック・セキュリティーズという会社と,それが運営するセキュリテ被災地応援ファンドがあちこちから注目されている.

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阪神淡路大震災時には膨大なエスノグラフィーつまり被災者からききだされた話の記録がのこされていた. そのなかには,消火と人命救助のどちらを選択するかで苦悩した消防士や,避難所で奪いあいを目撃したり不当な要求をするひとをおいかけまわした話など,これまであまりきいたことがなかった話がいろいろふくまれている. 東日本大震災でも,おそらくまだきいたことがない話がエスノグラフィーとしてのこされることになるのだろう. それにしても,ともに大震災とはいっても被害の内容がおおきくことなる東日本大震災で,この阪神のエスノグラフィーをやくだてることはできたのだろうか.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 災害エスノグラフィー@ [bk1] 災害エスノグラフィー@Amazon.co.jp

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著者は 4 月 28 日に被災地にはいり,いろいろなひとの話をきいてこの本にまとめた. 震災前ならもっとひとびとに感動をあたえられるだけの内容をふくんでいるのだろうが,震災後はもっと感動的な話をいろいろ耳にし目にした. そのなかではこの本の内容はそれに 「ならぶ」 話ということになるだろう.

著者はこの本の最後のほうで,震災で助け合うことの重要性を思い知らされたいま,「人間として生きるための目的と動機が,震災前と震災後とで大きく変わらなければなりません」と書いている. しかし,それとともに 「特別になにかをする必要はありません」 とも書いている. しかし,変化を行動につなげなければ,日本を再興することはできないのではないだろうか.

評価: ★★☆☆☆

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タイトルにふくまれる 「震災」 をみて買ってしまったが,これは帯にあるように日本の災害と信仰の歴史についての本であり,震災についてはむしろわずかしか書いていない. 災害については 1 章で書いている. 2 章は 「災害にへこたれない日本人」 というタイトルだが,おもに日本の神仏について書かれている.

日本の歴史に関するおもしろいエピソードなどをいろいろふくんでいるが,いささか,まとまりがない.

評価: ★★☆☆☆

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東日本大震災に関して他の本にはあまり書いてない 「当然のこと」 や辛口の内容がこの本にはふくまれている. 1000 年に一度の大災害でもチェルノブイリほど深刻な事態にはならなかったことからかんがえて軽水炉は安全だということ,「想定外」 ということばがさんざん批判されたが工学的には 「想定」 が必須であること,だから原発事故の原因はほかにあること,再生可能エネルギーを推進するより発送電の分離が重要であること,人口が減少するなかでは人口が集中する地域によりおおく投資するべきである (「地方切り捨て」 をやらざるをえない) ことなどだ. もし震災復興に関していろいろな意見を知りたいなら,この本もぜひそこにくわえるのがよいとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 3.11 後 日本経済はこうなる!@ [bk1] 3.11 後 日本経済はこうなる!@Amazon.co.jp

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さまざまな立場の 30 人をこえるひとが東日本大震災のなかでなにができるかについて書いている. それぞれ自分ができることを中心に書いているし,そのなかには対立あるいは矛盾している部分もある. しかし,そのおおくは震災をのりこえるための真摯な提案であり,読むに値する.

だが,この本の冒頭付近には,かつてはおおきな影響力をもっていたが,震災後,思考停止してしまっている評論家の文章があったりする. そんな,読んでもなにひとつえるところがない文章があると,読むのをやめたくなる.

評価: ★★★☆☆

関連リンク: 大震災のなかで@ [bk1] 大震災のなかで@Amazon.co.jp

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災害にあったとき,どういう症状がでやすいのか,それに当人やまわりのひとはどう対処したらよいのかといったことがらをさまざまな側面からみている. しかし,自分自身が津波や原発被害にあっていない身には,この本の内容はどうもピンとこない. 災害にあってから本をよむのではおそすぎるのだから,もっと興味をひくように書いてもらいたいものだ.

評価: ★★☆☆☆

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災害関連の出版物」 にはふくまれていない災害ボランティアに関する本は 「ボランティアに関する本」 にあつめています.

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東日本大震災では阪神淡路大震災とくらべてボランティアの数がすくないといわれている. この本によれば阪神淡路のときは最初の 2 ヶ月くらいに圧倒的な数のボランティアがやってきたというが,東日本大震災ではその期間は被災地の混乱をおそれてボランティアのうけいれがおさえられていた. 著者は阪神淡路のときの経験から,ボランティアはそういうときにおしかけていけばよいという. また,「考える」 ボランティアであればマニュアルは不要だという. しかし,東日本大震災のような大災害においてはこのようなかんがえは危険であり,この本は有害なのではないだろうか.

たしかに,よく組織されたボランティアなら大災害の直後でもうまくはたらけるだろう. しかし,なんの条件もつけずにだれでもがおしかけていけばよいというのは無責任だとおもえる. 東日本大震災の直後の被災地にはさまざまな危険や混乱があった. それに対処できるそなえのないボランティアはおしかけるべきでなかっただろう.

阪神淡路とのちがいのひとつは,はやい時期から自衛隊や米軍が被災地にはいったことだ. かれらの仕事は危険や混乱のなかで 9 割,あるいは 99% のひとをすくうことであるのに対して,著者がいうようにボランティアがめざすべきは危険や混乱がある程度のぞかれたなかで 「最後の一人まで救う」 ことだろう.

ボランティアはときには 「おしかけて」 いくことも必要だろうが,もっと重要なのは臨機応変さ,著者のことばでいえば 「考える」 ボランティアが重要だろう. 著者はボランティア・マニュアルが 「考えない」 ことにつながるから不要だと主張しているが,東日本大震災をかんがえると危険から身をまもるためのマニュアルは必須だったとかんがえられる. ボランティアにはマニュアルをみて考える能力が必要であり,私が石巻などで実際にみたボランティアは,自分もふくめてそうしていたとおもう.

評価: ★☆☆☆☆

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かつて地震予知は期待される「科学」だったが,しぼんでしまった. この本はそれがなぜ科学として成功しなかったかをおしえてくれるとともに,政治的にはいまだに予知が可能とかんがえられていたときの体制がいまだにくずされていない理由やしくみをあばいている. 原発に関しても地震で被害が生じる危険を指摘している. しかし,津波に関して言及している部分はあるものの,ほとんど揺れだけに注目している. 地震予知をめぐる科学と政治それぞれ,そして両者のかかわりについて,もっともするどく書かれた本だとおもう.

評価: ★★★★☆

関連リンク: 「地震予知」はウソだらけ@ [bk1] 「地震予知」はウソだらけ@Amazon.co.jp

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幕末から明治維新までを第一の敗戦,太平洋戦争を第二の敗戦,そして構造不況から東日本大震災を第三の敗戦と呼んで,第一,第二の敗戦からまなんで第三の敗戦に対処する方法をかんがえている. 第一,第二の敗戦に 2/3 ちかいページ数がさかれているが,そのなかにも第三の敗戦からたちなおるためのヒントがちりばめられている. ただし,話題の中心になっているのは震災以前からある問題点だ.

震災後は理由も不明確なまま日本を賛辞する本がおおいなかで,この本は手きびしい. 日本はいまきびしい状況にあるのだから,元気はださなければならないが,解決するためには問題点をきちんとみすえなければならないということだろう.

評価: ★★★★☆

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ふるい家電製品を買いかえると消費電力がへるということで,買いかえがすすめられている. 「しんきゅうさん」 というサイトでは,エアコン,冷蔵庫,テレビなどに関していまつかっている機種と買いかえようとしている機種とを入力すると,どれだけ節約できるかをおしえてくれるようになっている. しかし,機種が登録されていないとテキトーな情報をおしえてくれるので,それにしたがって買いかえるとバカをみることになるだろう.

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エアコンの設定温度は 28 ℃ にしようとか,エアコン運転時の室温は 28 ℃ にしようとか,だいぶまえからいわれてきているが,いまだにあまり,まもられていないようだ. 28 ℃ ではあつすぎてダメだということもあるだろうが,リモコンでの設定温度を 28 ℃ にしたからといってそのとおりにはならないというのが,そのおおきな理由なのではないだろうか. いろいろくふうして,温度をはかって効果をたしかめてみるとよい.

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経済理論を現在の日本にあてはめるとどうなるか. 世間の常識にとらわれた結論とはまったくちがう結論がえられることをしめしている. そのポイントは震災で電力不足がおこり,ケインズ的経済がなりたたず古典派的経済がなりたつ世界になったということだ.

いま,復興財源として税金をつかうか国債をつかうかがおおきな争点になっている. これに対して著者は両方の選択肢が可能であることをしめしている. 国債を日銀にひきうけさせるのは可能だが,この方法ではインフレが生じて,低所得者にきびしい. 税のほうが公平になるという. だが,はたしてそうだろうか. もし声がおおきい者がよりすくなく税負担することになると,かならずしも税金のほうが公平とはいえないのではないか.

ほかにも,疑問の点がいろいろある. たとえば,電力不足に対処するのに輪番というような統制的な方法でなく電力価格値上げで対処するべきだという主張にはそれほどの説得力があるとはおもえない.

評価: ★★★★☆

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東日本大震災をうけて再刊された本だが,おもな部分は戦前に書かれたようだ. 前半はタイトルになっている流言蜚語について書いているが,抽象的なのと,インターネットがある現在とはことなる状況のものなので,途中で読むのをやめようかとおもった.

しかし,後半は著者の関東大震災の経験をつづった文章をあつめていて,具体的かつ印象的な文章だ. そこではしばしば 「天譴 (てんけん)」 ということばがあらわれる. 「天罰」 にちかい意味だ. 石原慎太郎のことばがおもいだされる. 過去の震災が書かれている本として鴨長明の 「方丈記」 とヴォルテールの 「カンディード」 があげられている. 後者はヨーロッパに広範な被害をだしたリスボン地震について書いているという. 「カンディード」 との比較で日本の 「天譴」 ということばの軽さが指摘されている.

著者は 「東京が消失しても,300 万の日本人が死んでも,涙を流す外国人は 1 人もいないでしょう」 と書いているが,東日本大震災でわかったことはそれとはまったく逆だった. そして,著者はまた大威張りで朝鮮人を殺して銃剣の血を洗っている兵隊と出会っておどろいているが,東日本大震災では日本人みなが献身的にはたらく自衛隊員のすがたを見た. このコントラストは現代の日本人の希望であり自信につながるものだ.

評価: ★★★★☆

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東北の復興そして日本の復興がかかっているだいじなときに,政治家たちは目先のことであらそっているといわれている. 復興のために,原発や自衛隊など,現場のひとたちが最大限の努力をはらっているときに,政治家は無能ぶりを発揮しているともいわれる. だが,もうすこしながい目でみるとき,復興をおくらせる要因は政局や政治家の無能ではなくて,日本の針路に関する対立なのではないかとおもえる. 「復興の精神」 という共著本を読み,東京脱出に関するかんがえかたのちがいをみるにつけて,いまや,あらゆる点で国民のなかに対立があり,それを解消することの必要性と困難とを感じざるをえない.

[個人ブログから転載します.]

東日本大震災をどう経験し,どうとらえ,どう復興すればよいとかんがえるかは,この 9 人の著者もひとそれぞれだ. 自分は被災しなかったにもかかわらず,これまでとはすっかりかんがえかたがかわってしまったひともいる. また,これまでとかわらない,つまりある意味で震災に対する準備がすでにできていたひともいるようだ.

読者 (としての私) からみれば,共感をおぼえる意見もあれば,嫌悪を感じる意見もあるだろう. 自分にちかい意見にちからづけられることもあれば,自分とはちがう意見からまなぶこともあるだろう. しかし,ひとびとはすくなくともこれだけの幅のあるかんがえをもっているということを知るべきだ. 東北をそして日本を復興させるためには,そういうかんがえをまとめていく必要があるということになるのだろう.

評価: ★★★☆☆

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